あなたは、言わなければいけないことでも、言わないで済まそうとしないだろうか。
相手に言わなければいけないことがあるけれど、「言わないでおこう…」と考えることがある。
その場合は、ちょっと自分が我慢していれば、そのうち相手が気づくだろう…。わざわざカドを立てることはない、そのために余計な時間とエネルギーを使うことはない、と考えるのである。
この感情は、距離の遠い人にもあるし、近い人にもある。距離の遠い他人はもちろんだが、距離の近いパートナーや家族に対しても、同様の感情を抱くことがある。もしかすると、後者の方が数としては多いかもしれない。今回は、言わなければわからない、というテーマで書いてみたい。
目次
言わないと意図が伝わらない
言わなければ伝わらない
言わなければいけないことが、相手に伝わることもある。
以心伝心という言葉があるように、相手に対し自分が強く思っていることは、相手に伝わる。
このことはある意味正しい。相手のことを「お前のことが大嫌いだ」と思っていると、大抵その思いは相手に伝わることになる(笑)。※ネガティブな思いは伝わりやすいのだ。
内容が複雑になると伝わらない
たしかに、そのような好きとか嫌いとかの感情は相手に伝わるかもしれない。
だが、内容が少し複雑になるとそうはいかない。夫婦やカップルの間でも、「この話は了解しているだろう」と思っていると、実は「そうではなかった…」ということが後でわかったりする。
常識だとは限らない
たとえば、カップルにおける誕生日のプレゼントにしても、「必ずあげるもの」ではない。
自分は当然もらえるものだ…と思っていても、そうとは限らない。「自分もいらないし、相手にもあげない」という考え方はあるだろう。※釣った魚に餌は与えない…という人もいるだろう。
また、食事を相手の誕生日におごることが、プレゼントになる、という考え方もあるだろう。
このように、二人の間に当然の「暗黙の了解」のようなものがあると思っていても、相手が同じ考えを共有しているとは限らないのだ(相手に言われてはじめてわかることがよくあるのだ)。
※つまり、相手に言わなければこちらの考えや意図は伝わらないのだ。
不満が怒りに変わることが…
言いたいことがあるけれど、ちょっと我慢して「言わないでおこう…」とすると、
それは小さな不満になる。そのときは、そのうち状況が変わるだろう、相手が気づくだろう…と自分を納得させるが、そのまま状況が変わらなければ、その不満は成長して大きくなる。
たとえば、1年つき合ったカップルがいて、女性の方がそろそろ「結婚したい」と考えているとする。それを直接言葉にして相手に伝えるのは気が引けるので、機会があるたびに、遠まわしに結婚したいことを匂わせるトークをする。
なぜわたしの気持ちがわからないの!
彼はこちらの気持ちに気づいているはずだ…と思うも、彼の反応は鈍い。
そうなると、不満を感じイライラしてくる。デートも食事も楽しくなくなってくる。その不満が成長して大きくなると、いつしか怒りに変わる。「なぜわたしの気持ちがわからないの!」となるのだ。この怒りは、何かをきっかけにして爆発する。そうなると、二人の関係は暗雲に包まれる。
この行き違いが、別れるきっかけになるかもしれないのだ。
言わなくてもわかってくれる?
そもそも、「言わなくてもわかってくれる…」という前提を立てるからおかしくなるのだ。
無論、気の利いた男性であれば、記念日には何も言わなくても女性にプレゼントをするだろう。
この状態では、(女性側からみれば)「言わなくてもわかってくれる」が成立しているが、その後結婚して子供ができたら…(子供のことが中心になり)状況が変わってくるかもしれない。
相手が同じ人物でも、状況の変化で「言わなくてもわかってくれる」が成立しなくなることがあるのだ。もちろん、気の利かない男性であれば、最初から「言わなくてもわかってくれる」は成立しない(笑)。
他人に期待しない方がいい
そうであれば、そのような前提は誰に対しても、安易に持たない方がいいのかもしれない。
少なくとも、無条件では持たない方がいい…ということになる。言わなくてもわかってくれる…は、他人間では通用しないと考えた方がいい。※たとえ、夫婦やカップルでも他人だ。
言わなければわからないので…
人はひとりひとり違う。たとえ家族であっても違う。
性格や考え方、認識の方法、思考パターンも違う。人は(家族であっても)自分とは違うので、その違いを尊重するために、おたがいの考えを言葉にして確認すべきだ…と思えないだろうか?
たとえば、婚活をしていたAくんの話がある。
彼は婚活サービスを通じてある女性と知り合った。初対面でそこそこ意気投合し、二度目、三度目と会うことになった。
会う回数が増えるにつれて、お互い打ち解けデートのような雰囲気になっていった。Aくんは、当然このまま「つき合い」に発展するのだろう…と思い、相手も同じ気持ちだろうと思っていた。
言うことでケリをつけたい
しかし、若干彼女に読めない雰囲気もあった。
そこで彼は、五度目のデートではっきりと「付き合ってほしい」と言葉にして伝えたそうだ。彼女はその場では何だかんだと言葉を濁し、後からメールで「NO」の返事をしてきたそうだ。
言わなければいけないことを言ったせいで、ケリがついたのだ。
Aくんは、これまでの彼女の言動とそのお断りの内容から、彼女の目的が「暇つぶし」と「食事」だったことが(ようやく)わかったそうだ。彼は、あの時点で相手に言ってよかった、あのままズルズルは最悪だった、傷が浅くて済んだ…と話していた。
結果はふられた形になったが、Aくんはそこで言って正解だった。言わなければわからない(気づかない)ことがあるので、言うべきことは言うべきタイミングではっきり言えばいいのだ。
言わなければわからない - サマリー
まとめ
今回は、「言わなければわからない」というテーマで書いてみた。
軋轢や手間をかける面倒さを避けるために、相手に言いたいことがあっても自重することがある。距離の遠い他人はもちろんだが、距離の近いパートナーや家族に対してもそんなことがある。
自分が強く思っていることは、相手に伝わることがあるが(ネガティブな感情など)、内容が複雑になるとそうはいかない。夫婦やカップルのような近い関係の相手でも、「この話は(言わなくても)了解しているだろう」と思っていると、実は「そうではなかった…」ということがある。
相手が同じ考えを共有しているとは限らないのだ。
言いたいことがあるけれど、ちょっと我慢して「言わないでおこう…」とすると、それは小さな不満になる。そして、(相手の対応により)その不満が成長して、怒りに変わることがある。怒りは何かのきっかけで爆発する。そうなってしまうと、予期せぬトラブルに発展することになる。
人はひとりひとり違う。たとえ家族であっても違う。
したがって、人は自分とは違うので、その違いを尊重するために、おたがいの考えを言葉にして確認すべきだ…と思えばいい。言わなければわからないので、適切なタイミングで言えばいい。
行動メモ:
言わなくてもわかってくれる…には、リスクがある。
自分が常識だと思っていても、相手もそう思っているとは限らない。
言いたいことを我慢して言わないと、「不満」になる。ひとつひとつは小さな不満でも、積み重なると大きくなる。不満の総量が閾値を超えると、「怒り」に変わり相手にぶつけることになる。
※言うことで、不満を解消できる。
言わなくてもわかってくれる…という前提を立てない。言わなければいけないことは、(TPOや相手の感情を考えながらだが)言うようにする。こちらが言わなければわからないと考え言う。
今回の記事:「言わなければわからない|言わないと意図が伝わらない」