空間認識能力という能力がある。
不器用な人は、この能力が低いと思う。空間認識能力は、一義的にはモノとの関係を認識する能力だが、それだけの話にはとどまらない。対人関係における距離の取り方などの感覚も、この能力と関係があるのだろうと思う。今回は、大事な「空間認識能力」について書いてみたい。
目次
- 目次
- 空間認識能力を上げれば…
- 空間認識能力とは…
- 予測し動くことができる
- 自宅までの地図をかけるだろうか?
- 字の巧拙も関係がある
- 将来を正しくイメージすることにつながる
- ビジネスにもあてはある
- 右脳をきたえる
- 目を閉じて作業する
- 姿勢をよくする
- まとめ
空間認識能力を上げれば…
空間認識能力という小難しい言葉を聞いて、何を連想するだろうか?
幼い子どもが、投げたボールを上手くとれない…というのは、(ひとつには)空間認識能力が十分に発達していないためだ(大人でも上手にとれない人はいるだろう)。
地図をみて、実際の地形と上手くリンクできない、読み取れない…というのもそうだし、地下鉄の路線図をみても頭が混乱するだけで、乗り継ぎ方がよくわからない…というのもそうだろう。
わたしは、この「空間認識能力」をきたえることによって、ビジネスパーソンとして、レベルアップできるのではないか…と考えている。人としてレベルアップできるかもしれない。
空間認識能力とは…
空間認識能力とは、物体が空間にある状態や他のモノとの関係を認識する能力だ。
空間認識能力(くうかんにんしきのうりょく)とは、物体の位置・方向・姿勢・大きさ・形状・間隔など、物体が三次元空間に占めている状態や関係を、すばやく正確に把握、認識する能力のこと。
出典:空間認識能力 - Wikipedia
物体の状態や関係を、すばやく把握・認識する能力があれば役に立つ。
先のボールの例でいえば、ボールの現在の位置、進む方向、スピード、ボールと他の外部要因(障害物の有無や風の強さなど)の関係を素早く認識することができれば、うまく捕球できる。
予測し動くことができる
もう少し高度な例で考えてみよう。たとえばテニスの場合だ。
相手がショットを打つ前の目線や(足の)スタンスの広さや角度、肩や体の入れ方、打点、インパクトまでの時間、ラケットを持っていない方の手の動き…などを瞬時に正しく認識することができれば、どのコースにボールが飛んでくるのかを比較的高い精度で予測することができる。
もちろん、高いレベルでは(相手の認知を逆用して)相手の読みを外すようなテクもあるが、それは例外としたい。このように、空間認識能力が高ければ、かなり有利にコトを運べるのだ。
※空間認識能力は、スポーツ選手にとって必須の能力になる。
自宅までの地図をかけるだろうか?
自分で地図を描く、というシーンを考えてみよう。
あなたは、会社(または学校)から自宅までの地図を描けといわれて、すぐにスラスラと描けるだろうか?私はこれが結構苦手かもしれない(笑)。たとえ自宅近辺であっても、要所の建造物と道の位置関係を(方角とリンクさせて)キチンと把握しておかないと、上手く描けないのだ。
なので、地図を上手く描けない人は、空間認識能力が低いとされる。
字の巧拙も関係がある
あなたの場合はどうだろうか?地図をスラスラと描けるだろうか?
また、あなたの会社(自宅)までの道順を説明して欲しい、と電話でいわれたら、すぐに上手に説明できるだろうか?わたしは、理路整然と言葉で説明できる人を尊敬する(笑)。
また、字が下手という人も、空間認識能力が低いとされる。「字」にはそれぞれ何らかの空間(閉じた空間・開いた空間)がある。その空間の認識の仕方が悪いため、字が下手だという理屈だ。
将来を正しくイメージすることにつながる
空間認識能力が高ければ、(近い)将来を比較的高い精度で予想することができる。
上で挙げたテニスの例では、相手のボールのコースを正しく予想することで、半歩先に動くことができる。その半歩がかなり大きいのだ。
そのときポイントが取れるかどうかは別になるが、少なくとも(不利な状況であれば)五分に戻したり、(五分の状態であれば)ラリーの主導権を握ることができるのだ。
たまたまそのとき、自分のミスや予想のハズレ、相手の素晴らしいショットなどがあって、ポイントを取れないこともあるが、これら(空間認識+予想+行動)を粘り強く続けて行けば、たまたまの「アンラッキー」はならされて、試合全体でみれば勝利に近づくことになる。
ビジネスにもあてはある
これまで出したのはスポーツの例だが、日常生活やビジネスにもあてはまる話だ。
個々の情報を正確に読み取り(できれば見えていない背後まで想像する)、ノイズに等しい不要な情報を捨て、情報の優劣判定と関連付けをする。そして、情報(分析結果)のマップのようなものを頭の中に作っておく。※マップは、常に更新することが必要。
そうすれば、何かが起こったとき、次はこうなるのではないか…という自分の中では確からしい予想がすぐに立つ。つまり、まわりの人たちよりも、半歩先んじて進むことができるのだ。※人よりも早く行動できるようになる、ということであり、この自信を伴う半歩が大きい。
右脳をきたえる
空間認識能力は、右脳がコントロールしている。
空間認識能力は、視覚・聴覚など複数の感覚器の協力で成立し、右脳によってコントロールされる。
出典:空間認識能力 - Wikipedia
そうでれば、右脳をきたえることを意識したい。
たとえば、サッカーの日本代表の試合をテレビで観戦するのであれば…
俯瞰の絵を使う放送局を選び、(日本チームの攻撃時は)相手のディフェンダーの動きやボールを持っていない味方の動きもケアする。そして、それぞれの局面で最善のプレーは何かと考える。
※本来は、視野を広くとれる生観戦の方がいい。
テニスであれば、先に述べたように相手が次にどこに打ってくるのか、さらに(意味があるショット(布石)なのか違うのか)ウイニングショットとして何を狙っているのか。
選手たちがどのようなゲームプランを持っているのか、それが上手く行っているのかいないのか…などをイメージしながらみる…ということだ。※右脳の活性化につながる。
目を閉じて作業する
物理的なモノに対する空間認識能力の高め方には、
空間認識能力は目を開けている状態よりも閉じている状態の方が活発に稼働する為、目の前に置いてある物を取るなどの日常の中で何気なく行なっている作業を、両目を閉じて直観を働かせて行なうだけで、空間認識能力は鍛えられる。
出典:空間認識能力 - Wikipedia
このように、目を閉じて作業してみる…という方法がある。
難しく感じれば、まだまだ空間認識能力を高める余地がある、ということだ。やってみるとわかるが、自宅の中でも目を閉じると電灯のスイッチを上手く押せない…ということがある。
姿勢をよくする
さらに、姿勢をよくする…という方法もある。
モノサシが歪んでいたら、正確にモノをはかることができない。正確な距離感もつかめなくなってしまう…ということだ。歩くときにどちらかの肩が落ちていないだろうか?いつもうつむき加減で歩いていないだろうか?※自分の歩いている姿を撮影してみるといいかもしれない。
また、目を閉じて真っ直ぐ歩いてみたら、実際は左右どちらかに大きくずれていた…ということであれば、体の軸がズレているのかもしれない(体のバランスが悪いのかも?)。個人的には、イスに座るときに(下半身のねじれを防ぐため)足を組まないようにしている。
まとめ
空間認識能力をきたえれば、 レベルアップできるのではないかと考えている。
この能力の意味だが…狭義の意味では、空間におけるモノの形状や大きさ、位置などを正確に認識し、ほかのモノとの関係性も理解する能力…ということになる。だが、それだけではない。
たとえば、地図を読んだり描いたり、地下鉄の路線図を理解したり、読書やできごとから何かをイメージしたり、次に起こることを予想する…という行為も空間認識能力によるものである。
※自信を持って予想することができれば、意思決定が早くなる。
一流のスポーツ選手の空間認識能力が優れていることは間違いないが、一流のビジネスパーソンのそれも同様に優れている。※もしあなたが地図を上手く描けないのであれば、この能力を上げることを考えた方がいい。また、ワンテンポ遅れるのは、この能力が低いせいかもしれない。
空間認識能力のきたえ方
空間認識能力のきたえ方がいくつかある。まずは、右脳をきたえることだ。
たとえば、スポーツの観戦をするとき、実際にプレーしている選手の立場に立って、いろいろとイメージしてみる…ということだ。詳しくは上述のとおりだが、自分がその選手になったつもりでイメージしてみたい。小説などを読むときでも同様のことができるだろう。
さらに、普段の姿勢をよくするということだ。モノサシが歪んでいたら、正確にモノをはかることができず、正確な距離感がつかめなくなってしまう。空間におけるモノの形状や大きさ、位置などを認識し、ほかのモノとの関係性も理解する能力に支障が出る…ということだ。
これには、背筋を伸ばしてカラダの軸をしっかりとって…という物理的に姿勢をよくするという意味もあるが、できごとをフラットに素直な目でながめる…という「内面の姿勢をよくする」という意味もある。これを機に、当該能力の向上に意識を向けてみてはどうだろうか。
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今回の記事:不器用な人は「空間認識能力」を高めたい