会議などで、他人とはひと味違うおもしろい意見を出す人がいる。
そういう見方もあるのか…と感心することもある。そのようなユニークな意見を言える…ということは、普通の考え方をしていないということだ。「普通の考え方をしていない」は言い過ぎかもしれないが、「普通の考え方+何か」があるのだ。
一体彼らは、どのようなものの見方や考え方をしているのだろうか。それがわかれば、普通の人でも真似をすることができるかもしれない。
今回は、おもしろい考え方をする人の思考の秘密について書いてみたい。
目次
- 目次
- 時間軸と空間軸を伸ばして考えている
- 時間軸を伸ばして過去から示唆を得る
- 空間軸を伸ばして考えを広げる
- 別の方向からみている
- 競合店ができたらどう考える?
- 上からながめている
- 上司の立場から考える
- まとめ
時間軸と空間軸を伸ばして考えている
おもしろい意見を出す人は、時間軸と空間軸を伸ばして考えている。
人はどうしても、自分の関心がある時間や場所の範囲内で、ものごとを考えようとする。
その範囲内で問題が解決するのであれば、それでいいかもしれないが、そうでなければ、何かを変えるしかない。そのひとつめが、「時間軸と空間軸を伸ばす」ということだ。
一般のビジネスマンにおいても歴史を時間軸や空間軸で広く深く見渡して、関係性を洞察するような歴史考察の力が求められる
出典:歴史考察から読み解く人事マネジメント
古典を読む
わたしはときどき、経済や金融をテーマにした古い本を読む。
経済は生き物なので、時代とともに刻々と変化する。それに連れて新しい経済理論も登場する。なので、(経済の基本を理解していれば)現状を反映して書かれた最新の本を読んでおけば、それで十分ではないか?と考えるかもしれない。
確かにある一面ではそうなのかもしれない。しかし、それでは普通の人と同じなのだ。自分を他人と差別化しようと思えば、そこから「+α」のインプットが必要になるのだ。
時間軸を伸ばして過去から示唆を得る
たとえば、経済であれば必ず循環する。良い時があれば悪い時が必ずある。
今が良い時であれば、次に来るのは悪い時だ。では、前回の悪い時はどうだったのかと考え、昔の書物をあたってみる。もちろん、前回の悪い時とこれから予想される悪い時は同一ではない。さまざまな細かい条件などが異なるので、同じではないのだ。※全く同じということはない。
変わらないものがある
それでも、昔の書物から何らかの示唆を得ることができるのだ。
たとえば、人の心理をベースにした動きなどは、昔も今もそう変わるものではない。
せいぜい、多少洗練されたかな…ぐらいの違いしかない(洗練されたと言っても、人の心理が洗練されたわけではない)。そうであれば、今後の動きがどうなるのかを(限定的ではあるが)予想することができる可能性があるのだ。つまり、過去から現在に通じる示唆を得ることは可能だ。
空間軸を伸ばして考えを広げる
以上の話は時間軸の話だが、空間軸も同様だ。
今では、「グローバルな視点でビジネスを考える」ということはもはや当たり前になったが、空間軸を伸ばして思考できる企業は、90年代以前から、そのような視点でビジネスを考えていたはずだ。※パナソニック(旧松下電器産業)が中国に進出したのは、1979年のことだ。
個人の思考においても、空間軸を伸ばして考えることは可能だ。
別の方向からみている
2つめは、ものごとを別の方向からみるということだ。
ものごとは「多面」で構成されている。したがって、色々な方向からみて評価する必要があるのだ。たとえば、ある企業の株価が上がるという現象がある。その現象を説明する一番簡単な理屈は、「業績が好調だからでしょ」というものだ。
しかし、考慮すべき点は、「今や半年後・1年後の業績」だけではない。
「もっと未来の業績」、「経営者の力量」、「株価対策の有無」、「配当政策」、「内外の経済状況」、「金利や為替の動き」、「地価や商品、資源価格の動き」など、さまざまな「面」がある。
競合店ができたらどう考える?
また、ビジネスにおける問題についても同様だ。
今度近くに競合する店舗ができるとしよう。あなたが経営者であれば、「客の取り合いになって困ったな…」と思うかもしれない。しかし、これは問題の1面しかみていない思考だ。
もしかすると、新しい店舗ができることで、エリア全体でみれば(魅力が増し)集客力が上がるかもしれない。また、危機感や緊張感を持って仕事をすることで、個人も組織もレベルアップすることができるかもしれない。「競争により自分が磨かれる…」ということはあるのだ。
このように、ものごとや問題は、いろいろな方向からみて評価した方がいいのだ。「おもしろい視点」というのは、そういう「意識」と「努力」から生まれるのだろうと思う。
上からながめている
上からながめるという意味には、「客観的にみる」という意味がある。
特に、自分自身のことや自分の利害と密接にからむ問題については、客観的にみることができない。「木を見て森を見ず」というフレーズがあるが、「木々の間をさまよう」という状態になることがしばしばある。その状態から、抜け出して「鳥の目で俯瞰する」ということだ。
自分が平社員であれば、課長の視点でものごとをみる、部長の視点でものごとみる、本部長の視点でものごとをみる、という意味もある。さらに突き抜けて、社長の視点でみてもいいだろう。
※さらに、業界の中で自社がどうなのか…という視点でみてもいい。
上司の立場から考える
以前の記事で、「上司の立場から考えてみてはどうか?」という提案をしたことがある。
これは自分の立ち位置より「上からながめる」ということだ。わたしが会社員のときにできなかった思考で、「ぜひ、やっておけばよかった…」と思うことでもある。
これを読んでいる若手の会社員の方は、ぜひこれを実践してみてほしい。今いる上司を、3年先の自分、5年先の自分、10年先の自分としてリアルに感じることだ。
これまでとは、オフィスの景色が違って見えてくるはずだ。
まとめ
おもしろい考え方をする人の思考の秘密をまとめてみた。
ユニークな意見を言えるのは、別に頭がいいからではない。「普通の考え方+α」があるからだ。大抵の人は、「普通の考え方」で止まってしまうため、普通のことしか言えないのだ。では、「+α」とは何か?ということだが、ここでは3つ紹介した。
1)時間軸と空間軸を伸ばして考えること
2)別の方向からみること
3)上からながめること(俯瞰すること)
指摘されると「そうだね」と思うかもしれないが、実践できる人は少ないのだ。
たとえば、3)上からながめる、だ。あなたは上司の視点から、ものごとを考えたことがあるだろうか?若手の平社員のころは、どうしても上司にいろいろ求めてしまう。わたしも「部下が動きやすい環境を整えるのは、上司の役割ではないか」と考えて、それを放棄するような上司に対して憤りを覚えたことがある。部下の立場からは、尊敬できる上司であってもらいたいと願うものだ。
自分視点から離れてみたい
しかし、そこには自分視点しかない。
相手に求めるということは、自分視点でものごとを考えている証なのだ。そこに気がつけば、別の考え方ができるかもしれない。そしてその考え方は、人と差別化できるユニークなものになるのではないかと思う。ぜひ、この3つの方法を自分に取り入れて、深く思考してみてほしい。
今回の記事:「ものの見方や考え方が深い|おもしろい意見を出す人の思考の秘密」