不器用な生き方をやめたい

人の心理や特徴を踏まえて合理的に行動したい

不快な思いをさせる「ありがとうございました」がある

書店で「ありがとうございました」と言われることがある。

このお礼の言葉で、客が不快な思いをすることがある。本を買ったときにそう言われるのは当たり前のことだが、買わなかったときでも、「ありがとうございました」と言われることがある。客がお礼を言われる筋合いはない、嫌味で言っているのか…と感じれば、客は不快な思いをする。

店側にそのような意図はなく(嫌味の意図はなく)、不愉快になりやすい客が、勝手に不愉快な思いをしているだけだろうか(笑)。今回は、この問題について書いてみたい。

目次

嫌味で不快な思いをさせることがある

不快な思いを表現した図

ありがとうに嫌味を込め、客に不快な思いをさせることはあるだろう。

ある種の「ありがとうございました」が、買わない客に対する嫌味だと確信したのは、ある本屋での出来事からだ。

かなり前の話になるが、当時住んでいた場所の近くに夫婦で営んでいる小さな個人書店があった。ときどきそこを利用していたのだが、ある日、店主にある雑誌の有無を確認したあと、その雑誌を軽くチェックし、(買うのをやめて)そのまま店を出ようとした。

時間にすれば数分だ。店内には5分もいなかったと思う。

そのとき、店主のおじさんが、「ありがとうございました」と大きな声で言ったのだ。「えっ?」と思って、店主の顔を見ると、不快そうな表情をして顔を背けている。普段は(買わずに退店しても)スルーされていたので、「えっ?」と思ったのだ。

不快な思いを嫌味で解消する

その店主の態度から、嫌味で言っていることは明らかだった。

たまたま店主の虫の居所が悪かったのかもしれないし、雑誌の有無を聞いたことが悪かったのかもしれない。また、私のことを認識していて、「あなり買わない客だから、嫌味を言って切ってもいいや」と思っていたのかもしれない。当時は結構コミックをそこで買っていたのだが(笑)…

そのお店は、いわゆる「立ち読み」の客に対して厳しく、マンガ雑誌を立ち読みしていた子どもたちに、「いいかげんにしなさいよ!」と言い放っているシーンを見たことがあった。このときは、奥さんの方であったが、同じように不愉快な態度を隠そうとしていなかった。

要は、自分たちが不快な思いをしているので、反発しようということだ。

店主の立場から考えると…

このことを、店主の立場から考えてみたい。

本屋の店主の立場から考えると、最初から買う意思のない「立ち読み」は迷惑千万だろう。

立ち読みにより、本が汚れるかもしれないし、折り目などがついてしまうかもしれない。雑誌だとすぐに中古感が出てしまう。伝票を落とされてしまうこともあるだろう。立ち読みのポジティブな面を無理やり探すと、店の賑わいを演出できることぐらいだろうか。

(特に長時間の)立ち読みが迷惑なことは、よく理解できる。そういう人たちに対しては、不愉快な思いを抱いているはずだ。

短時間の立ち読みについては問題ないが、最初から買う意思のない(立ち読みで有料コンテンツを消費しようとする)長時間の立ち読みは禁止したい…というのが、本屋さんの本音だろう。

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大手の書店でも…

最近ちょっと驚いたのは、一部の大手の書店でもこれ(不買時の「ありがとうございました」)をやり始めたということだ。さすがに、不快な思いを表現しながら「ありがとうございました」とは言わないが、同様の意味が込められているのかもしれない。

※万引き防止のために声かけをしている可能性もある。大手書店の場合は、こちらの意味の方が大きいのかもしれない。声かけをすることで、「あなたのことを見ていますよ」というメッセージを伝えているのだ。これは、コンビニなどにおける入店時の声かけと同様だ。

ただし、仮に万引き防止でやっているとしても、客に嫌味と受け取られる可能性はある。

※お礼を言われる筋合いがないためだ。

もし、面倒な客に「嫌味を言うな!」とクレームをつけられたら、「ご来店に対する感謝です」と答えるのだろう。もしくは、「ご購入された・されないにかかわらず、平等に感謝を申し上げております」と答えるのかもしれない。このあたりは、応答マニュアルがあるのではないだろうか。

心理的な効果を狙っているのか?

不快な思いを抱く少女

声かけで立ち読みを防止しよう、としている書店があるとしよう。

その場合、書店の狙いはこうだ。

立ち読みをしてそのまま店を後にする客には、多少なりとも心理的に負い目がある。そこを「ありがとうございました」という言葉で刺激し、不愉快な思いをさせる。それにより、立ち読みに対する罪悪感を大きくし、立ち読みを防止するという狙いだ。

立ち読みには嫌子を与える

つまり、その体験を嫌子にする、ということだ

多くの人は、(本屋に限らないが)何も買っていないとき、「ありがとうございました」とお礼を言われる筋合いはないと考えるだろう。したがって、その場面で「ありがとうございました」と言われると、「嫌味なのか?」と思うのだ。人に嫌味を言われて心地よくなる人はいない。

つまりは、「ありがとうございました」で、不快な思いをするのだ。

普通は、接客商売で客に不快な思いをさせたら、客からクレームを受けることになる。しかし、上で述べたように、クレームに対する対策は万全だ。なので、書店側は外形上はノーリスクで、この人の心理を利用する立ち読み対策を講じることができるのだ。

ご来店に対する感謝です…は本当か?

書店側にそのような意図はないとしよう。

ご来店に対する感謝の気持ちとして、お買い上げのないお客様に対しても「ありがとうございました」と声をかけている…という言い分を是としよう。

本当にそうであれば、この声かけは悪手だ。

嫌味だと受け取る人はいても、「へ~買わなくても店に立ち寄っただけで感謝してくれるんだ、客思いのいいお店だな」と思う人はまずいないからだ。

もちろん、なんとも思わない人もいるだろう。ここが一番多い層かもしれない。なので、大半は何とも思わないか、嫌味と受け取り不快な思いをするかのどちらかだ。

商品を買った後の「ありがとうございました」には、「どうも」と答えたり、目礼したりする客はいるが、商品を買わなかったときのそれには、誰も無視して答えないのがその証拠になる

やはり意図がある

つまり、客が抱く印象という点から考えれば、マイナスの打ち手なのだ。

なぜそのようなマイナスのことをわざわざするのかといえば、客の立場からは見えにくい(店側も積極的には明らかにしたくない)意図があるからだ。

ざっと思いつくのは、1)万引き防止、2)立ち読み防止、3)両方、のどれかだ。私が個人的に経験したことは、2)だが、(書店にとり)万引きの問題の方が大きいとすれば、1)の可能性が高い。いずれにせよ、「ありがとうございました」は、書店がひねり出した苦肉の策なのだ。

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まとめ

客に不快な思いをさせる「ありがとうございました」について書いてみた。

※「買わない客は客ではない」とする意見もあると思うが、ここでは話がズレるのでおいておく。

このことは、書店に限ることではない。実店舗を持つ小売全般に言えることだ。

文章を書きながら自分なりに考えを深めていったのだが、大きな書店の場合は、「万引き防止」を狙って行っているのではないか…という気がしてきた。書店にとっては、立ち読みよりも万引きの方が大きな問題だからだ。小さな書店の場合は、わからない。店主の考え方次第だろう。

※しかし、万引き防止であれば、コンビニなどであるように、入店時の声かけの方が有効だろう。客に嫌味だと思われるリスクはないし、事前に万引きを防ぐ効果があるためだ。

定期的にお金を落としてくれる、馴染みの客だけでやっていきたいと考えていれば、それ以外の買わない立ち読み客は迷惑だと思うかもしれない。そう考えれば、迷惑な客を排除するために、嫌味を込めて「ありがとうございました」と言うことがあるのかもしれない。

以上つらつらと書いたが、ここに書いたことは、私の仮説にすぎない。なので、的を外しているかもしれない。書店には別の意図があって、「ありがとうございました」と声をかけているのかもしれない。なので、こういう考え方もありますよ…程度で受け止めてもらえればそれでいい。

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行動メモ:

相手が「皮肉かもしれない…」と思うようなことは言わない。

その行動が迷惑だ、と思うのであれば、仕組みで解決するか、丁寧にお願いして(ある意味自主的に)やめてもらう、という形の方がいい。皮肉によるハレーションを抑えるためだ。

※相手に不快な思いをさせて、いいことはない…と、考えた方がいいだろう。

今回の記事:「不快な思いをさせる「ありがとうございました」がある」