人を評価する場面というものがある。
人を採用するとき、仕事を発注(受注)するとき、プライベートで人と親交を深めるとき、
投資するときでもそうだ。会社のトップの資質・能力は、会社の業績の大きな変数になる。経営者を正しく評価することができれば、投資の役にも立つのだ。※正しい評価の基準があれば便利だ。
今回は、「人を評価する方法」について書いてみたい。
目次
- 目次
- 長所と短所を比較する
- 長所と短所を紙に書き出す
- 短所のないことを評価すると失敗する
- 能力があるのか?
- エゴイストでないか?
- エゴイストは自己主張が強い
- 見た目を重視しすぎると失敗する
- 人を評価する方法 - サマリー
長所と短所を比較する
当たり前のことだが、人には長所と短所がある。
長所・短所で難しいのは、場面により変化するということだ。
たとえば、「何度も確認しないと気が済まない」という性格があるとしよう。この性格は、スピード優先のタスクでは、短所になる可能性がある。1度のチェックでOKにもかかわらず、2度3度とチェックしていると、この場合に最も大事な「スピード」が損なわれてしまうからだ。
一方で、正確さ優先のタスクでは、長所になる。
2度3度チェックすることで、間違いを拾って訂正することができるからだ(正確さを上げることができる)。鍵の開け閉めなどのセキュリティに関することや、ガスの元栓を閉めるなどの命に関わるタスクでは、「何度も確認しないと気が済まない」という性格が長所になるのだ。
自分が求めるものを基準にする
したがって、人の長所と短所を比較するときは、自分が求めるものを基準にして、それらを決める必要がある。
先に述べたように、スピード優先のタスクでは、完璧主義は欠点になるし、正確さ優先のタスクでは、完璧主義は長所になる、ということだ。何を基準にするかで、人の評価は変わるのだ。
以下、そのような前提で話を進めたい。
※ただし、一般論として完璧主義はおすすめしない。
長所と短所を紙に書き出す
まず、当該人物の長所と短所を紙に書き出したい。
それらを書き出すことにより、視覚化し整理するのだ。
長所については、「自分(自社)が求めるもの」と合致しているのか?をチェックする。ここの一致がなければ、せっかくの長所も自分(自社)にとっては、魅力に欠けるものになってしまう。
許容できるのか?
短所については、許容できるのかどうかチェックする。
まず、短所だけを(単独で)見て許容できるのかと考え、次に、長所と短所のプラマイで許容できるのかと考える。両方の視点で考えるといいだろう。短所がひとつでも、それが決定的なものであればアウトだ。
たとえば、コミュニケーション能力が重視される職種であれば、コミュニケーション能力が低いということは、致命傷になり得る。なので、その場合はアウトとする。
短所のないことを評価すると失敗する
短所のないことを評価すると、失敗することがある。
長所と短所はコインの裏表であり、誰にでも長所と短所はあるのだ。もし、「この人には短所がないな」と思うのであれば、自分が短所に気がついていないだけ…という可能性がある。
また、長所と短所は光と影とする見方もある。光が強ければ影も濃くなるというものだ。
天才肌でずば抜けた能力のある人が、同時に(別の部分で)大きな問題を抱えている…ということは、珍しいことではない。この仮説を信じれば、目立った短所がないということは、目立った長所がないということにもなる。短所がないことは、必ずしも長所ではないのだ。
能力があるのか?
人を評価するときは、その人の能力がどうなのかを見る必要がある。
たとえば、人を採用するときは、まずその人物が、こちらの求める役割を果たす能力を持っているかどうかが問題になる。即戦力として採用する場合は、すでにその能力を備えていなければいけない。育てるつもりであれば、将来的にその能力を取得できる見込みがあるかどうかがポイントになる。
人間性を見極める
将来性を計る場合は、人間性(考え方など)をよく見ることだ。
たとえば、素直さに欠ける人や聞く耳を持たない人、腰の重い人や自尊心の低い人は、のびしろが小さい。さらに、好奇心が弱い人、粘りがなくすぐに諦めてしまう人も伸びない。
エゴイストでないか?
その人物がエゴイストでないかどうかの見極めは、非常に重要だ。
理由は簡単で、エゴイストと付き合ってもロクなことがないからだ。その人物がエゴイストかどうかの判断だが、チェックポイントがいくつかある。
気配りができるかどうか
ひとつは、他人に対し気配りできるかどうかだ。
このことは、数人のグループで討論(会話)などをさせてみればよくわかる。
積極的に発言するのはいいことだが、人の話を聞いていなかったり、自分が目立つことを目的として発言するタイプの人はNGだ。自分が発言したいがために、他人の発言機会を奪うような人もダメだ。このような傾向の強い人は、エゴイストの可能性がある。
エゴイストは自己主張が強い
もうひとつ、わかりやすいポイントがある。
エゴイストは自己主張が強く、自分を外部にアピールすることを好む。わたしはある業界のプロのツイートなどに注目しているが、よくSNSを通じて自分の画像を流す人がいる。
もちろん、(タレントではないが)人気商売のプロなので、自分の画像を流すのは構わない。しかし、その頻度がやけに高かったり、自分アピールの画像がメインであれば、エゴイスト寄りの人かな?と推測できる。※このタイプの人とは距離を取った方がいいだろう。
報告書をチェックする
投資をしている人は、会社から送られてくる報告書をチェックしてみよう。
報告書の最初の方に、社長や会長の写真が掲載されているはずだ。その写真の大きさや雰囲気を見て、自己アピールに熱心な経営者だな…と感じれば、投資をやめた方がいいかもしれない。エゴイストである可能性があるからだ。
※エゴイストは後継者を育てないので、その会社の先行きには暗雲が漂う。
見た目を重視しすぎると失敗する
見た目を重視しすぎると失敗しやすい。
外見は内面の一番外側ということもあり、そこには内面が滲み出る。
したがって、外見を見れば、内面のことも少しはわかる。だが、外見は限定的な情報でもある。外見である程度人を評価してもいいのだが(たいていの人はそうする)、あくまでも限定的な情報から評価している、ということを理解しておく必要がある。
外見を過大評価しない
外見は万人にわかりやすいので、そこに引っ張られてしまうことがある。
特に人を雇う場合には、注意が必要だ。
外見を見て、その人のことをわかったような気にならないことが大事だ。外見で人を選ぶことは、誰にでもできることであって、難易度の低いことには、大抵の場合お宝は存在しないのだ。
ただし、自分が選ばれる立場の場合は、外見をしっかり整えた方がいい(笑)。
人を評価する方法 - サマリー
まとめ
今回は、人を評価する方法について書いてみた。
今回の記事で書いたのは、1)長所と短所を比較する、2)短所のないことを評価すると失敗する、3)能力を見極める、4)エゴイストでないかチェックする、5)見た目を重視しすぎると失敗する、の5つだ。人を評価する際、自分なりの評価基準を持っていれば、作業が楽になる。
また、感情に基づく評価ではなく、客観的な評価ができるようになるだろう。
特に注意すべき点は、エゴイストかどうかの見極めだ。この点に注意するだけでも、人を評価する目というのは上がる。人を見るときは、この点がどうか…と考えてみるといい。
今回の記事:「人を評価する方法」