「しくじり先生オリラジ中田のプレゼンの上手さ」の続きです。
前回は、中田さんはプレゼンの内容をよく理解した上で、「どうしたらおもしろくなるのか」、「どうしたら視聴者に伝わるのか」についてよく考えている、ということを書いた。さらに、中田さんは、プレゼンに必要な基礎(声の出し方など)がしっかりしている、ということも書いた。
引き続き、中田敦彦さんのプレゼンテーションの上手さ、について書きたい。
目次
中田敦彦のプレゼンが上手い
聞き手と意思疎通を図る
中田さんは、プレゼンを通じて、聞き手と上手にコミュニケーションをとる。
プレゼンが上手な人というのは、たとえパッと見、一方的に話をしているように見えても、聞き手と上手にコミュニケーションをとっているものだ。※下手な人はとることができない。
プレゼンでは、聞き手の反応や理解度を確認しながら、柔軟に(言葉や表現などに)修正を加えつつ進める…というのが理想だが、言うはやすく行うはかたしで、簡単なことではない。
たとえば、経験の浅いひとであれば、自分が話すべき内容を話すだけで精一杯になり、プレゼンを進めながら、「聞き手の反応や理解度を確認する」などということはできないはずだ。
※未熟なひとは、聞き手とコミュニケーションがとれない状態になりやすいのだ。
テンポよく変化をつけながら…
中田さんは、聞き取りやすい声で、テンポよく変化をつけながら話している。
※抑えるところは抑えて、上げるところは上げて話している(メリハリがある)。
野球で打席に立って、スピードボールを見ると、最初は「すごい」と思う。このピッチャー球が速くてすごいな…と思う。でも、球速に目が慣れてくると、スピードボールだけでは、「意外と単調だな…」と思うようになり、スピードボールばかりで組み立てが単調な投手への評価を下げるのだ。
なので、打者の投手に対する評価を上げておくためには、「変化」が必要になる。
※プレゼンも同じで、慣れによる「評価下げ」を避けるためには、変化が必要だ。
ボディランゲージを使う
中田さんは、ボディランゲージを積極的に使っている。
以下の公式動画をみてほしい。
まず、気がつくのは、よく手を動かしている、ということだ。
そして、ときどき姿勢を前傾にする。姿勢を前傾にする、ということは、聞き手との距離を詰めようとする行為で、「伝えたいことがある」、「ぜひ聞いて欲しい」というやる気を表すボディランゲージだ。※話し手のやる気は聞き手に伝染するので、やる気を見せることが大事。
アイコンタクトで離脱を防ぐ
また、中田さんの目線の動きに注目してほしい。
目が(聞き手の方に向かって)よく動いていることがわかる。
これは、それぞれの聞き手とアイコンタクトをしようとしている、ということだ。
このアイコンタクトは非常に大事だ。聞き手は、目を合わそうとしない話し手に対し、あまりいい感情を持たない。「自分に対して話していない」、「無視されている…」という印象を受けるからだ。
※アイコンタクトは、聞き手の(話からの)離脱を防ぐ役割を果たす。
一流のスポーツ選手も目を…
演技系のスポーツ選手が、観客とアイコンタクトを取る、という話を聞いたことがある。
この選手は世界のトップ選手だが、このアイコンタクトにも同じ意味がある。多くの観客とアイコンタクトすることで、自分の演技を(より感情を移入してもらい)見てもらおう…ということだ。
まんべんなく見る
アイコンタクトをする際は、偏らないようにしたい。
経験の浅い人や緊張でテンパっている人は、(プレゼン中に)とても個々の聞き手とアイコンタクトをする、ということはできない。※自分の演技で手一杯のスポーツ選手なども同様だ。
だが、少なくとも聞き手のゾーンを3つぐらいに分けて、左、中、右と、まんべんなく見るようにしたい。
わたしもやってしまったことがあるが、視線が偏る、同じ人、同じ方向ばかり見る、ということはさけたい。※中田さんのアイコンタクトには、「相手の反応を見る」という意図もある。
ポジションをとる
中田さんは、プレゼンの中でポジションをとっている。
ポジションをとる、という意味は、「自分の意見をはっきり述べる」ということだ。
ブログでもそうだと思うが、自分の意見を明確に述べる方がおもしろくなる。
こういう意見もありますが、別の意見もあります、だけでは、ただの意見の紹介に終わってしまい、おもしろみ味に欠ける。「自分はこう考える」とポジションをとることにより、「そのとおりだ」という共感を集めたり、「いや、違うだろ」という反論を受けたりすることができるのだ。
※ポジションをとることで、人の気持ちを動かすことができる。ポジションの根拠は必要。
お任せください!
中田さんは、「ゴールデンで結果を出して下さい」と言われたら、
「お任せください!」と答えるのが正解だとしている。
この時は、「チャンスを無にしないように、精一杯がんばります!」ということではなく、「お任せください!」で覚悟を示すのが正解だそうだ。このことも、ある意味「ポジションをとる」ということだと思う。
ポジションをとった以上、そのポジションに対する責任が生じるので、怖いことではある。だが、(何かを成そうと思えば)そのリスクを引き受ける覚悟が必要になるのだろう。
※優れた人は難しい仕事でも「できません」と言わない、ということと同じだ。
共感してもらえるフレーズを
中田さんは、ときどき「おっ!」と思うようなフレーズを口にする。
たとえば、先の動画のプレゼンで、「成功者は偉大なしくじり先生」、「成功した後に落とし穴があるが、そのことを考えることはできない」と発言しているが、それらの発言が「おっ!」と思うようなフレーズにあたる。
考えてみるとたしかに、成功者は失敗も数多くしている。
ゆえに、「成功者は偉大なしくじり先生」と言うことができ、「実は成功した後に落とし穴があるが、そのことを考えることはできない」から、成功者が思わぬ形で足元をすくわれるのだ。
前者については、「なるほど」と共感を集めると思う。後者についても、(話の流れから)思わず共感してしまうだろう。当然、成功した後の落とし穴に気づいてはまらない人もいるが、そのような厳密な話ではなく、(その場で)聞き手に共感してもらえるフレーズを口にすることが大事なのだ。
共感できればいい話だと思う
聞き手は、話し手の話に共感できれば、いい話だと思うし、共感できなければ、そうは思わない。
なので、相手にいいプレゼンだな…と思ってもらうためには、共感してもらえるフレーズを口にすることが大事なのだ。
ボクシングでいえば、見えない角度からパンチを打つように、少し違う切り口から「共感してもらえるフレーズ」を生み出すことができれば、聞き手に対し、強いインパクトを与えることができるだろう。※聞き手がうなづくなど、共感を示してくれると、話しやすくなる、ということもある。
この人のプレゼンもみたい!
最後に、この人のプレゼンもみてみたい、という人がいる。
お笑いタレントの石井てる美さんだ。
東大を卒業して世界最大の外資系コンサルティング会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー」に就職。そこでなぜか心機一転して会社を辞め、お笑い養成所に入学。お笑いの世界に足を踏み入れた異色の女性芸人・石井てる美さん。
出典:【東大卒・元マッキンゼー】芸人・石井てる美「大切なのは、流されず自分自身を信じること」
東大 ⇒ マッキンゼー ⇒ お笑い、と異色の進路をとった方だ。
石井さんであれば、どんなプレゼンになるのだろうか。お笑い芸人としてのおもしろいネタもあるのだが、この人ならではの「かけ算」で持ち味が出る人ではないだろうか。お笑いとコンサルが融合したプレゼンを、ぜひ一度みてみたい。この人ならでは、のプレゼンになるはずだ。
中田敦彦のプレゼンが上手 - サマリー
まとめ
今回も、中田敦彦さんのプレゼンテーションの上手さ、について書いてみた。
今回の記事で書いたのは、1)聞き手とのコミュニケーションが上手い、2)明確にポジションをとっている、3)聞き手が共感するフレーズを意図的に入れている、の3つになる。
中田さんのプレゼンから学べることはたくさんありそうだ。
もちろん、聞き手とコミュニケーションを取るように、と言われても、すぐにできるようになるわけではない。だが、そのことを意識して、行動を少しずつ変えていくようにすると、時間はかかるができるようになるものだ。焦らず諦めず時間をかけて改善の努力を積み重ねたい。
今回の記事:「中田敦彦のプレゼンの上手さ|プレゼン動画から学べます」
↓ 前回の記事です。