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短気は損気の意味を深く考える

短気は損気という言葉を、聞いたことがあると思う。

短気は損気の「損気」という単語は、聞きなれないものだが、なんとなく「損」につながることだろう…ということは、想像に難くないだろう。※短気に合わせた造語かもしれない。

今回は、短気は損気の意味について書いてみたい。

短気は損気になる

短気は損気という言葉がある。

短気を起こすと、自分が損をする…という意味だ。

たしかに、短気を起こして得をする、というケースはこれぐらいだろう。

あるレストランで客がウエイトレスに水をこぼされた。
その男性客は、即座に大声を出してウエイトレスを怒鳴りつけた。私は反射的に怒鳴りつけたように感じた。現場には、私も含めてそこそこ客がいたのだが、(怒声にあまりにも迫力があったので)その場は時が止まったかのように凍り付いてしまった。
粗相をしたウエイトレスはその場で固まってしまったが、しばらくして、マネージャーのような人が、その男性を別室に連れて行った。
出典:性格も変えることができる|嫌われる勇気

おそらくこの男性は、別室で被害の補償をしてもらったのだろうと思う。

実は私も同じ目にあったことがある。そのときは、「これぐらいはかまわない」としたので、被害の補償などは何もなかった(笑)。私と怒った男性を比べると、金銭的にはその男性が得をしたのだろうと思う。なのでとりあえず、短気を起こして得をするケースもある、としておこう。

※一期一会的なシーンでしか通用せず、かなり限定的ではある。

・短気を起こすと損をする

だが、ほとんどの場合は、短気を起こすと損をする。

つい短気を起こした場合、後から「短気を起こすのではなかった…」、「恥ずかしい振る舞いをした」、「人を傷つけることになった…」と、後悔することになるのではないだろうか。

また、短気を起こす人を見ると、こちらまで嫌な気持ちになる。

自分が誰かに短気を起こされると、「感情的な人だな」と思い、その人に対する評価を下げる。また、誰かが短気を起こされている姿を見ても、やはり「感情的な人だな」と思い、怒る人に対する評価を下げる。いずれにしても、短気を起こすと、人からの評価が下がってしまうのだ。

※文字どおり、短気は損気になる。

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短気を起こすと理性が飛ぶ

短気を起こすと、感情的になり、理性が吹っ飛んでしまう。

※身体が感情に乗っ取られた状態になる(コントロール不能の状態だ)。

口にする言葉というのは、頭の中で選択した後、出るものだ。

冷静な状態であれば、理性が働くため、その選択を大きく間違える…ということはない。しかし、短気を起こすと、理性が機能しなくなるため、選択を大きく間違える…ということがある。

感情的になり、「ひどいことを言ってしまった…」という経験をしたことがないだろうか。

※特に未熟な子供時代には、多くの人が経験することだろう。

・言葉は取り消すことができない

大人になっても、感情的になって思わず不要なことを口走ってしまう…ということはある。

一度口にした言葉は、外形的に(表面上)取り消すことはできても、「その人の本音が思わず出たのだ」と解釈されることになる。なので、本質的には取り消すことができないのだ。

短気を起こすと理性が飛び、言葉の選択を間違えやすくなるのだ。

※交渉事の場合は、短気を起こした方が負けになる。相手に言質をとられて、そこを責められる…ということになりやすいからだ(攻めているようだが、カウンターをもらうことになる)。短気をおこすと覆水盆に返らずで、取り返しのつかないことになりやすい。

人間関係が悪くなる

短気を起こす人は、人間関係が悪くなる。

ひとつは、今述べたように、直接人を傷つけてしまう…ということがある。

もし、あなたが部下を持つ上司であり、ある部下の行為に短気を起こし、その行為のみならず、部下の人格にまで踏み込んで、批判や叱責したとしよう。その時点で、その部下とは(やや大げさに言えば一生涯)良い人間関係を築くことができない…ということが決定する。

人格攻撃は、取り返しがつかない

また先に、 短気を起こす人を見ると、こちらまで嫌な気持ちになる、と書いたが…

短気を起こす人には、「感情的な人だな」、「近寄りたくない人だな」、「雰囲気を悪くする人だな」、「寛容さのない(狭量な)人だな」という印象が(周囲から)集まることになる。

自分が直接被害を受けなくても、まわりの人は、ネガティブな印象を抱くようになるのだ。一度、ネガティブな印象がついてしまうと、それを払しょくするのは大変な努力が必要になる。

なので、短気は損気なのだ。

怒りを抑えた方がいい

短気は損気を戒めにして、怒りを抑えた方がいい。

人格者で知られるリンカーンだが、自分の指示をないがしろにした将軍に対し、怒りの手紙をしたためたことがある。しかし、その後冷静になり、その手紙を出すのはやめたそうだ。※将軍がリンカーンの指示を守らなかったため、戦争の局面が悪くなってしまった。

リンカーンは激怒したと思うが、冷静さを取り戻し手紙を出さなかったこと、さらにその手紙を自己の今後の戒めにした…というところが、さすがだと思う。
このように(感情に突き動かされるようにして)一気に書き上げたものをそのまま出してしまうと、後で後悔することが多いのだ。
出典:文書アウトプットは数日寝かせた方がいい

これは、リンカーン大統領のエピソードだ。

部下の将軍が自分の大切な指示をないがしろにし、その結果、事態が悪くなってしまった…ということであれば、激怒しても不思議はない(事態悪化の責任を問われるのは、大統領になる)。そして、リンカーンは、その感情に突き動かされるようにして、一気に手紙を書き上げた。

だが、その後冷静さを取り戻したリンカーンは、その手紙に「決して送らない手紙」と書いて、引き出しの奥深くにしまったという。※怒りを書くことで、冷静さを取り戻したのだ

もし、その手紙をそのまま将軍に出していれば、事態はさらに悪化しただろう。

このように、怒りは何らかの手段で、抑えた方がいい。

※書くことは、その一手段になり得る。

健康面でも短気は損気になる

最後に、短気は身体にダメージを与える、という話をしておきたい。

ドラマなどで、怒っている人が、急に倒れる…というシーンがある。

その結果、慢性的なストレスは脳卒中のリスクを高めるという結論に達した。また、とりわけ性格的な特徴が大きな影響を及ぼしていることが判明。「タイプA」と呼ばれる競争心が強く、攻撃的、イライラしやすく、怒りっぽいという性格的な特徴がある人は脳卒中にかかるリスクが比較対象の健康な人の2倍という結果になったのだ。これは、喫煙経験者と同レベルのリスクの高さだった。
出典:怒りっぽい性格」は脳卒中になるリスクが2倍になることが判明

あのシーンは、医学的な根拠に基づくものだ。

※ある研究によると、怒りっぽい人は、脳卒中にかかりやすくなるそうだ。

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怒ると身体がどうなるか…だが、

体の変化としては、『血管が破れることがあるよ』、『脳や心臓の血管が詰まることがあるよ』ということになります。怒りや興奮が長く続く、また、急激な怒りに見舞われると、一気に血圧が上がって血管が収縮するため、血管が破れやすい状態になります。怒りや興奮、それに強いストレスが原因で、脳出血を起こす例はあとを絶ちません
出典:内科医に聞く。怒ると血圧が上がるのは本当?

血圧が上がって、血管が破れやすい状態になるのだ。

怒り(戦闘モード)により、交感神経が働く ⇒ 心拍数が高くなり、血液量が増える、ということになり、血圧が上がるのだ。このことは、増水した川をイメージすればわかりやすい。

川が大雨などで増水すれば、堤防にかかる圧力は大きくなるのだ。

また、短気な人は、認知症になりやすい…という話もある。

認知症になりやすい性格というのがわかっていて、短気な人というのは、それに該当するのだ。認知症は正常に機能する脳細胞が失われるために起こる、とされるが、短気な人は、そうなりやすいそうだ。※もしかすると、上で述べた血圧の高さが、関係するのかもしれない。

健康面から考えても、短気は損気なのだ。

まとめ

今回は、短気は損気について書いてみた。

なぜ、短気が損気なのかと言うと、1)短気を起こすと理性がとぶ、2)人間関係が悪くなる、3)健康面でも短気は損気になる、ためだ。一期一会のシーンで、自分が不当に不利益を受けたときに怒って補償を引き出す…というケース以外で、短気が役に立つことは想像しにくい(笑)。

※ほとんどすべての場合が、自己の不利益につながる。

そのケースでも、怒ることにより自分の身体にダメージを与えているわけで、トータルで利益になっているのかどうかは微妙だ。短気は損気であり、そのことを理解しておいた方がいい。