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自分の要求を通すためには…交渉力を高める方法#2

前回、交渉力を高める方法(交渉術)について書いた。

前回の記事:「交渉術|あなたの交渉力を高める方法

前回述べたのは、1)相手の話をきく、2)自分の要求を提示する、3)自分の要求を通すためには、4)説得したければ、ということだ。また、その中で、交渉の基本形についても書いた。

今回は、その続きを「交渉力を高める方法#2」として書いてみたい。

目次

譲れない一線を決めておく

自分の要求を通す交渉術を表すイメージ

交渉においては事前に、「譲れない一線」を決めておいた方がいい。

前回、最初に自分の要求を提示し、そこから譲歩するという方法は、「アンカリング効果」や「何度も断るのは申し訳ない…」という人の心理を利用する方法であり有効だ、と書いた。

※そして、この方法が(自分の要求を通すための)交渉の基本形だ、とも書いた。

譲るプロセスがある

この交渉法では、譲るというプロセスが発生する。

旅行の提案の例であれば、1週間よりも期間の短い海外旅行、3泊4日の国内旅行、2泊3日の国内旅行、 1泊2日の国内旅行、と譲歩のカードをそろえておけばいい。
出典:交渉術|あなたの交渉力を高める方法

そこで、あらかじめ譲歩のカードを用意しておくわけだが…

譲れない一線というものも、あらかじめ決めておく必要がある。そのラインを決めておかないと、なし崩し的にズルズルと譲歩せざるを得ない…という状況に追い込まれるためだ

引用した海外旅行の提案の例であれば、1泊2日の国内旅行が譲歩できる最大のラインだ。これを超えて、日帰りの旅行ということになると、目論見が外れてしまう(交渉失敗)。

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相手の譲れない一線も尊重する

同様に、相手が譲れない一線を決めている場合がある。

その場合は、そこを突き崩そうとしても無理だし、無理やり突き崩したところで、しこりが残る。相手に不満が残れば、(交渉終了後)相手と良い関係を続けることがむずかしくなる。

なので、相手の譲れない一線も尊重した方がいい

沈黙を使う

交渉には、「沈黙を使う」という方法がある。

昔の話だが、契約書の内容に、おかしな点を見つけたことがある(不当に相手の利益になるような内容だった)。類似案件の判例もいくつかあったので、「これはおかしくありませんか?」と問いただしたのだが、その話を持ち出した途端、相手は横を向いて黙り込んでしまった。
出典:仕事相手の選び方|パートナーをどう選ぶ?

以前、このようなエピソードを紹介したことがある。

交渉の場でのできごとなのだが、契約書の内容におかしな点があり、わたしが相手に「これはおかしくありませんか?」と問いただしたところ、相手は横を向いて黙り込んでしまったのだ。

プレッシャーになる

場に沈黙が訪れると、気まずく・息苦しくなる

相手はそのことについて説明できないので、説明するつもりはない。

本来(わたしの立場であれば)、そのことを受けて、「ここをこう変更してください」と相手に要求するべきだ。

だが、相手の沈黙からプレッシャーを受けたわたしは、「だれがこのような(理不尽な)内容を入れたのか?」というような遠慮した質問だけに終わり、「ここをこう変更してください」と要求することができなかった。※当然、こういうことではダメなのだが…

沈黙が交渉の武器になることも

これは、相手の沈黙に窮し、交渉に失敗した…ということだ。

説明できないので沈黙する…というのは不誠実な態度で、相手の不信感を買う。ゆえに、好ましい態度とは言えないが、沈黙を使うことで相手に喋らせるなど、交渉の武器になることがある。

※ただし、(武器になるとはいえ)不誠実な沈黙はやめた方がいいと思う。

苦手だと思わない

相手を苦手だ…と思うと、交渉は上手くいかない。

また、交渉そのものに対し苦手意識があると、交渉は上手くいかない。

もし、相手や交渉を苦手だな…と思うのであれば、交渉はしない方がいい。失敗を引き寄せる状態になっており、失敗しても、(苦手意識のせいにし)そこから学べる見込みがないためだ。

※自分の要求を通すことができず、失敗してへこむだけだろう。

交渉のテーブルについたとき、相手の圧を感じることはあるが、そんなときは、「学ぶチャンスだな」と考えた方がいい。手ごわい相手と対峙することは、経験値を上げるチャンスなのだ

対人ゲームだと考える

交渉そのものに苦手意識があるのであれば、交渉を対人ゲームだと考えればいい。

たとえば、将棋を指すとき、勝つこともあれば負けることもある。初心者であれば、負けることが多くなるが、だからといって、将棋に対して苦手意識を持つようにはならない。

自分が未熟だから負けるのであって、知識を習得したり、経験を積むことにより強くなれば、勝てるようになる、と思うはずだ。交渉もそれと同じことだ。なので、苦手意識を持つことは全くないのだ。もし、苦手だ…と感じるのであれば、認知の歪みがある、ということだ。

譲歩するときに条件をつける

譲歩するときに条件をつける、という方法がある。

先のパートナーが旅行の提案をしてきた、という例であれば、たとえば「今回、希望どおり旅行はするけれど、今年はそれ以上の旅行はできないよ」という条件をつける、ということだ。

人には、時間的に近い利益に対し敏感である、という特徴があるので、このような条件は特に有効だ。また、相手はそこで条件についてゴネると、「今回の旅行自体がなくなるかもしれない…」と思うので、条件をのむはずだ。

悪く言えば、相手が欲しがるエサを目前にぶら下げて多少の利益を得る、ということだ。

※譲歩に条件をつけることで、自分の要求を通せばいいのだ。

相手の利益も考える

対等の交渉か、自分の力が強ければ、相手の利益も考えた方がいいと思う。

自分の力によるごり押しで相手を屈服させても、トータルでいいことがないからだ。

相手の不満や恨みつらみは、ブーメランのようになって(時間差で)必ず自分に返ってくる、と思っていた方がいいだろう。特に、相手が「理不尽である…」と感じれば、負のエネルギーも大きくなる。

それが返ってくれば、自分もそれなりのダメージを受けることになるのだ。交渉では、自分も相手も「ある程度満足できる」という結論に落とし込むことが大事なのだ(これが最善)。

※がめつく強引に自分の要求を通そうとすると、後に自分が損をすることになるのだ。

何より誠実さが大事

交渉では、誠実さが何より大事だと考えている。

交渉で誠実さはいらない、とする人もいるが、わたしは意見を異にする。

交渉というのは、その局面だけを近視眼的にみれば、ゼロサムだ。したがって、相手からできるだけ譲歩を引き出し、自分の要求を通し、自分の利益を最大化したい…と思う気持ちはよく理解できる。

こういう人となら仕事を一緒にしてみたいと思わさせる。何しろ、一緒に仕事をしたら楽しそうだと。こちらの要望にも、誠心誠意尽くしてくれようと試みてくれるに違いない。これこそ、究極の交渉力ではないでしょうか。
出典:ハーバード・ビジネス・レビュー

しかし、経験則から考えても、やりすぎは禁物だ、

わたしたちは、目先の利益を必要以上に追うと、トータルとしての利益は小さくなる、ということを経験則から知っている。※このことは、ビジネスにしても、人間関係にしても、たいていのことに当てはまる。

なので、人には誠実に接した方がいいのだ。誠実さが「究極の交渉力」なのだ。

 

自分の要求を通す交渉力 - サマリー

まとめ

今回は、前回に引き続き、交渉力を高める方法(交渉術)について書いた。

今回の記事で書いたのは、1)譲れない一線を決めておく、2)沈黙を使う、3)苦手だと思わない、4)譲歩するときに条件をつける、5)相手の利益も考える、という5つのことだ。

譲れない一線は、あらかじめ決めておいた方がいい。これがないと、「もういいや…」という厭戦気分になり、なし崩し的にズルズルと譲歩せざるを得ない…という状況になりかねない。

譲歩するときに条件をつける、ということも、決めておけばいいと思う。譲歩するなら必ず条件をつければいい。誠実さは究極の交渉力だ。相手の利益を考えることも忘れてはいけない。

今回の記事:「自分の要求を通すためには…交渉力を高める方法#2」