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井上尚弥の課題が見えた日#2

先日、井上尚弥がV3を達成した。

WBO世界スーパーフライ級1位の挑戦者ペッチバンボーン・ゴーキャットジム(31)を、10回KOでくだし、V3ということになった。井上の通算戦績は、11戦11勝(9KO)。

※最後は、右ストレートのダブルで決めた。

ただ、試合後井上自身が「こんなんじゃ、ビッグマッチなんて言ってられない」と自嘲気味に語ったように、井上尚弥の課題が前の試合に続いて、明らかになった試合でもあった。

今回は、井上尚弥の課題が見えた日#2ということで書いてみたい。

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 目次

 ゴーキャットジムという挑戦者

今回の相手は、ペッチバンボーン・ゴーキャットジム(31)であった。

井上との対戦前の戦績は、46戦38勝(18KO)7敗1分け。河野公平に判定負けしたことのある選手だが、16連勝中でランキング1位ということで、正直見るまでは評価に困っていた。

※ゴーキャットジムは、3年前にも別の日本人選手にKO負けしている。

実際に見た感想だが、攻守ともそれなりのレベルにはある。

卓越した技術やパンチ力があるわけではないが、シングルランカーでもおかしくはない、という印象だ。特筆すべきは、ハートの強さと耐久力だろう。井上の強いパンチを受けても、笑ってみたり、「さぁ、打ってこい」というスタイルを崩さなかった。あれだけヒットされながら、10Rまで耐えたのも、たいしたものだ。

※井上のパンチに、(故障の影響で)腰が入っていなかったからだろうか?

トータルでは、普通の世界ランカー、というところだろう。

 やはり拳の問題がある

井上には依然として、「拳を痛めやすい」という問題がある。

前回のカルモナ(当時:ランキング1位、24、メキシコ)戦では、2Rで右の拳を痛め、中盤で左の拳を痛めている。右の拳は、6Rで強く打てない、と思ったそうだ。

今回も、同様のことが起っている。

何ラウンドで右の拳を痛めたのか、現段階でははっきりしないが、 ゴーキャットジムが「5回くらいに気づいた」とコメントしているので、前回同様序盤に右の拳を痛めた、ということになる。

今回は、「パンチが打てるくらいの痛みだった」ということらしい。ただ試合の度に拳を痛めることが、半ばお約束のようになってきている。「ガラスの拳」とも言われるようになった。

※手術をして、1年間のブランクを作ったこともある。

・拳の負傷は敗戦につながる

拳の負傷は敗戦につながる、と前回も指摘した。

前回の挑戦者であるカルモナは、井上の拳の負傷に気が付かなかったが、今回のゴーキャットジムは、それに気が付いてる。今後、井上と対戦する相手も、拳の負傷に気が付くようになるだろう。

※いつ拳を痛めるのか、注意してみるようになるはずだ。

もし、相手陣営が試合中に拳を痛めたことに気づけば、当然そのことを利用してくる。相手はある種のパンチ(痛めた拳によるパンチ)を想定から外すことができ、(井上の)狙いもわかりやすくなるため、対応しやすくなるのだ。※手数が減るので、ポイントで勝てる可能性も出てくる。
出典:井上尚弥の課題が見えた日

もし、相手陣営が試合中に拳を痛めたことに気づけば、当然そのことを利用してくる。相手は、痛めた拳によるある種のパンチを想定から外すことができ、対応しやすくなる。

今後は、井上が拳を痛めることを想定して、拳を痛めるまでは(ガードを固めるなどし)我慢して、井上が拳を痛めたら勝負に出る、という作戦を立ててくる可能性もある。

※序盤を我慢して、中盤~終盤に勝負する、というプランだ。

それでも、左手のジャブ1本でコントロールできるような相手であれば、勝つことができるかもしれないが、相手がロマゴンのような超一流であれば、拳を痛めると即敗戦につながるだろう。

※大一番では、試合中の拳の負傷は致命傷になりかねない。

・中盤の失速は…

今回の中盤の失速は、拳を痛めたせいだ…と思っていたが、

腰を痛めたせいかもしれない。

大橋会長が、「2週間前に腰を痛め、スパーリングができない状態だった…」と明かしている。(痛めてからは)腰を入れたパンチを打てなかった。※トレーニングによる疲労が原因。

上手く仕上げることができず、その影響が出た、ということだろうか。

※集中力を欠いたシーンも、その影響かもしれない。

 対応力の問題

対応力の問題も、前回指摘した問題だ。

自分より相手の方が研究で勝る場合、どう対応するのか…ということだ。

相撲でいえば、(動きの中で)巻き替えを試みる、相手の上手を切る、小手に振るなど、自分から動いて局面を打開しようとしなければ、不利な体勢のまま、自分の力を出すことなく敗れてしまう。
出典:井上尚弥の課題が見えた日

研究負けした場合、不利になる、ということがある。

※同等の実力であれば、研究負けした方が不利になりやすい。

ボクシングでは、自分の距離で戦えない(相手の距離になる)、自分の得意なパターンを封じられる・逆用される、不利な状況から、局面を打開することができない…などということが考えられる。

そんなときは、「引き出し」の多さがモノを言うのだろう。

今回井上は、相手のガードを破るために、スイッチしたり、距離を変えてみたりしたようだ。上下の打ち分けやステップ、コンボやフェイントにも、微妙な変化をつけていたのかもしれない。

※また、録画でじっくり確認してみようと思う。

 ディフェンス重視だったが…

今回は、ディフェンス重視だったはずだ。

前回のカルモナ戦で、「修正するポイント」として挙げていたためだ。

ディフェンスに集中している局面では、パンチをもらわないのだが、脚や上体の動きが止まったときに、不用意にパンチをもらっているように見えた。本人も、「これぐらい(のパンチ力)ならば、もらっていいか、という気持ちがあって、パンチも結構もらった」とコメントしている。
出典:井上尚弥の課題が見えた日

前回は、「これぐらいならば、もらっていいか」と思い、もらってしまった。

今回も、この気分が少しあったようにも感じた。解説の話で、「あえて打たせて、相手のパンチ力をはかる」というコメントがあったように思うが、それ以上にもらうシーンがあった。

井上は接近戦もできるので、頭をつけた接近戦をやるが、

接近戦では、相手との力量差がなくなるので、パンチをもらってしまうのだ。

また、「ディフェンスに集中している局面では、パンチをもらわないのだが、脚や上体の動きが止まったときに、不用意にパンチをもらっているように見えた」というシーンが今回もあった。

※井上は、「(相手のパンチを)身体で受けすぎて印象が悪かった」と反省している。

また、腕でガードを固めてはいるが、相手の正面で棒立ちになる、というシーンがある。

内山にもあるシーンだが、反撃の含みなしに、「相手の正面で棒立ちになる」意味がよくわからない。相手にガードの上から打たせて、休もう…という意図なのだろうか。しかし、相手にパンチがある場合は、非常に危険だと思う。ガードの上からでも、パンチが効いてしまうためだ。

※動きがないので、ガードの隙間からねじ込まれることもある。

集中力がきれる時間帯に、そうなってしまうのだろうか…。

 トレーナーがいなかった理由

試合後、井上慎吾トレーナーがリングの中にいなかった。

試合まで1カ月を切った8月上旬。スパーリング中のジムに父の真吾トレーナーの怒声が響いた。「何回言わせるんだ」。指摘されたのは防御。足が止まり、パンチをもらった瞬間だった。
出典:日刊スポーツ

おそらく、井上慎吾さんは、この試合にテーマを設定していたはずだ。

※練習でも本番でもそうだが、テーマを設定することは、大事なことだ。特に相手との力関係により、勝敗があらかじめ見えているときは、設定したテーマをクリアできるかどうかがとても大事になる。

それは、「打たれずに打つ」、「相手に何もさせない」ということだ。

尚弥はそれができなかった…と自覚したので、「家に帰ったら(父親から)お説教ですね」というコメントになったのだろう。井上慎吾トレーナーは記者会見にも、姿を見せていない。

今回の尚弥のパフォーマンスに、失望を覚えたのかもしれない。

※前回の課題を修正できなかった…ということになる。

 ロマゴン戦が不安になる

私は以前の記事で書いたように、2017年末までに、井上尚弥 vs. ロマゴンがあると思う。

だが、今回の試合を見る限り、非常に不安だ。

ひとつは拳の問題だ。先にも書いたが、ロマゴンは、試合中に拳を痛めて勝てる相手ではない。かといって、拳を痛めないようにパンチをセーブしても勝てないだろう。

拳を痛めないようにする方法も、ちょっと思いつかない。

試合後井上自身が「こんなんじゃ、ビッグマッチなんて言ってられない」と語ったように、今回のようなパフォーマンスでロマゴンに勝つことはできない。※拳の件は、困った問題だ。

・ジャブに磨きをかける

今回、左のジャブがよかった。

ゴーキャットジムは、井上のジャブが「早くて重かった」と評価している。また、「ジャブのせいで上手く戦えなかった…」という主旨の発言もしている。右の拳を痛めやすいのであれば、この左のジャブにさらなる磨きをかける必要があるだろう。※内山がやったことだ。

いきなり打つこともあるし、バックステップで誘ってから打つこともある。また、右を意識させて打つこともある。相手のパンチをスウェーでかわしてから、そのためを利用してカウンター気味に放つ左フックもある。バリエーションが豊富であるため、相手は対応がむずかしくなるのだ。
出典:井上尚弥の強さの秘密

もちろん、この得意の左フックを研ぎ澄ますことも必要だ。

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・次戦はコンセプシオンとの統一戦

井上尚弥の次戦は、ルイス・コンセプシオン(30)との統一戦かもしれない。

※年末を視野に入れ、打診しているそうだ。

コンセプシオンは、先日河野公平に勝って、WBA世界スーパーフライ級の王者になった選手だ。

※3-0の判定で、河野をくだした。

第43代WBA世界フライ級王者。第25代WBA世界スーパーフライ級王者。フックやアッパーの威力はすごく、打撃戦に優れている選手。試合に勝利した場合はコーナートップからバク転のパフォーマンスを行っている。
出典:ウィキペディア

身体能力が高くパンチがあり、ハートも耐久力もある選手だ。

※河野のカウンターをダブルでもらっても、平然としていた。

骨のある選手で、井上尚弥の対戦相手としては、(実力的には)過去最強ということになるかもしれない。ロマゴン戦へ向けてのステップとしては、いいマッチメークになると思う。※個人的には、 コンセプシオン ⇒ クアドラス ⇒ ロマゴン、と進んでほしい気持ちがある。

実現したときは、打たれずに打つで、鮮やかに勝ってほしいものだ。

 追記(11/7/16)

井上尚弥の次の試合の相手だが、コンセプシオンはなくなったようだ。

その代わり…ということではないと思うが、次戦の相手はコンセプシオンではなく、コンセプシオンに負けて王座を失った河野公平選手ではないかと噂されている。その根拠が、こちらだ。

スーパーフライ級王者井上尚弥(大橋)選手に、WBA世界同級王座を失ったばかりの河野公平(ワタナベ)選手が、年末に挑戦することが内定している(ジョー小泉氏)。
出典:Boxing Master

この話が正しければ、現時点で河野戦が内定しており、あとは正式な発表を待つだけという状態…ということになる。年末にやるのであれば、そろそろ発表があるはずだ。

※9日に正式な発表があった。大橋会長によると、相手に逃げられマッチメークに苦労したそうだ。河野サイドの渡辺会長はこのマッチメークに躊躇したそうだが、河野本人が「是非やりたい」ということで決まったそうだ。大橋会長は河野の実力を評価し「事実上の統一選」とみている。

井上は河野選手について、かつてこんなコメントをしている。

井上:できれば河野さんとはやりたくないですね。「年間表彰」(1月23日)でお会いして話した時も、すごくいい人だったので。でも、試合が決まれば「仕事」としてやりますよ。決められた相手とやるだけですね。
出典:「35歳でも現役」井上尚弥がブチ上げた超長期“安定政権”の野望

そのときは、「いい人なので、できればやりたくないが、試合が決まれば仕事としてやる…」ということだった。河野選手がいい人だというのは、メディアを通しても伝わってくるし、河野選手が井上選手に負けるところは、正直あまり見たくない。

※今回の発表の席では、「日本人対決は盛り上がるので楽しみ…」としている。また、「一方的に❝やっぱり強い❞と思わせる勝ち方をしたい」と述べている。

もちろん、河野選手は亀田興毅に勝ったり、王座を3度防衛した実績がある実力者で、井上選手に勝つ可能性もあり、いい試合になるかもしれない。だが、この試合を個人的にはあまり見たいと思わないのだ。どちらも好きな選手なので、あまり見たいと思わない…ということだ。

とは言え、やるからには好試合を期待したい(試合はみます)。

井上尚弥関連の記事です。

self-esteem.hatenablog.jp 

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