不器用な生き方をやめたい

人の心理や特徴を踏まえて合理的に行動したい

あいさつをしない部下にあいさつをさせる方法

挨拶しない部下に困っていないだろうか。

挨拶しない新人に悩むことがないだろうか。挨拶しない部下は一定の割合でおり、「彼(女)らに挨拶させるためには、どうすればいいのだろうか…」と、頭を悩ますことがある。

そもそも、彼らはどうして社会人として当たり前のことができないのだろうか。

今回は、挨拶をしない部下に挨拶をさせる方法について書いてみたい。

目次

あいさつの強要はNG

挨拶をしない部下(新人)

あいさつしない部下がいると、「どんな躾(しつけ)を受けてきたのか」、「あいさつぐらいキチンとしろ!」、「あいさつひとつできずに、何ができるのか…」と思うかもしれない。

そう思うと、イラッとして感情的になる。

そして、怒気を込めながら注意したくなる(笑)。昔の人であれば、その場で厳しく注意する、ということがあったかもしれない。しかし、今の時代でそうすることは不適切だ。

そんなことをしても、効果がないためだ。

効果がないどころか、「うるさい上司だな」、「面倒な人だ」と煙たがられたり、嫌われたりすることになりかねない。もちろん、注意する方も嫌な気分になる。お互いにいいことがないのだ。

無視された「あいさつしなさい」

上司が部下たちに、「あいさつをするように」と言ったことがある。

正確には、そこまで直接的な言い方はしなかったが、そのような話だった。

当時、わたしが所属するチームは、オフィスと作業する場所が(同じビル内ではあったが)フロア違いで離れていた。そこで、チームのメンバーは、上司がいるオフィスに立ち寄ることなく、(少しでも早く仕事に取り掛かるために)作業場に直行する、というケースが多かった。

上司はそのことに苛立ちを覚えたのだろう。「一旦、オフィスに立ち寄り自分にあいさつしてから、作業場に行くように」と言いたかったと思う。

わたしを含むチームのメンバーの考えは、「毎日毎日残業続きで、滅茶苦茶に忙しいのだから、あいさつだけのためにオフィスに立ち寄る時間がもったいないではないか…」というものだった。

※そのときは、普通の状態ではなく、「1分1秒が惜しい…」という状態だった。

そして、上司の指示はないがしろにされたのだった。

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自分の都合だけを押し付けてもダメ

このように、「あいさつしろ」と他人に強要してもダメだ。

そもそも人は、自分が納得しないと動かないものだ。いくら上司が言うことでも、「それは違う」、「納得できない」と思えば、面従腹背になる。そうなって困るのは、上司の方だ。

なので、相手の事情を考えず、あいさつを強要しても意味がない。

原因を理解して対策を立てる

あいさつしない人には、それぞれ理由がある。

その理由を理解し踏まえた上で、対策を立てればいいだろう。

自分からあいさつしない人やあいさつをしても返さない人がいる。その理由は、1)合理性を取り違えている、2)人の好き嫌いが激しい、3)自己肯定感が低い、4)他人とコミュニケーションを取りたくない、などだ。

1)合理性を取り違えている、については、「あいさつしても無駄な人にはあいさつしない」と思うことだ。たとえば、他部署の新入社員が、自分にあいさつをした。そんなとき、「オレがお前にあいさつしても意味ないし」と思うのであれば、合理性を取り違えている可能性がある。

2)人の好き嫌いが激しい、については、「嫌いだから無視をする」というものだ。マナーを守るということよりも、嫌いという感情が優先するため、あいさつができなくなるのだ。

3)自己肯定感が低い、については、自己肯定感が低いため、「自分があいさつをされている、ということに気づかない」ということだ。誰かが自分にあいさつをしても、「自分の後ろにいる人にあいさつをしている」と解釈し、無視してしまう。自分にあいさつするはずがない、と思う。

なんとも、悲しい話だ…。

他人とコミュニケーションを取りたくない

4)他人とコミュニケーションを取りたくない、については、

過去のできごとがトラウマになっているなどの理由で、他人とのコミュニケーションを最低限にしよう、と考えてしまうことだ。

たとえば、あなたもあいさつを無視されると、(今後は)その人にあいさつするのをやめよう…と思うはずだ。こういう嫌な体験が自分の中で広がると、あいさつ自体をやめよう…となる。

※これ以上自分が傷つくのは嫌だ、ということだ。

これらの理由から、自分からあいさつしないし、あいさつを返そうともしないのだ。

あいさつさせる方法

まず、部下の自己肯定感の低さが原因で、あいさつしない場合だ。

この場合は、部下の自己肯定感の低さをなんとかする必要があるだろう。

具体的には、「キミには期待している」というメッセージを送り続ける、マメに気遣って声をかける、「ありがとう」と感謝する、などだろうか。

とにかく、「キミの存在自体に価値がある」ということを知らしめることだ

なかなか面倒だし、他の部下とのバランスの問題もあり、むずかしいことではあるが、そのむずかしい方程式を解くのも上司の役目だ。チャレンジだと思い、取り組めばいい。

あいさつの「得」を説く

あいさつの「得」を説くことにより、あいさつするようになる。

1)合理性を取り違えている、2)人の好き嫌いが激しい、4)他人とコミュニケーションを取りたくない、という人には、あいさつのメリットを本当の意味で理解させる、という方法が有効だ。

あいさつすることには、大きなメリットがある。

まず、誰かとあいさつを交わすことができれば、気分が良くなる。もちろん、自分があいさつして相手に無視されると気分が悪くなるが(笑)、そのマイナスを考えても、トータルではプラスになるのだ。

そもそも、あいさつを返してくれる人の割合の方が多いし、(最初から)一定の割合で無視する人がいる、と想定していれば、「統計どおりだよね」と意に介さずにすむ。

また、セルフイメージが高くなる、ということもある。「自分はあいさつできる人間であり、無視する人に対しても大人の対応ができる人間だ…」と思えば、セルフイメージが高くなる。

あいさつで人間関係が良くなる

さらに、あいさつで人間関係が良くなる。

笑顔であいさつをする人と無表情であいさつをしない人がいれば、ほとんどの人が前者に好感を抱く。どちらかに話しかけるとすれば、当然、好感を抱く前者の人になる。笑顔であいさつする人には、話しかけやすいのだ。

もちろんどちらが良い人なのかはわからない(笑)。一見とっつきにくい人の方が良い人だった…ということはあるだろう。だが、同程度の人であれば、笑顔であいさつをする人の方が、(人間関係の点で)はるかに有利になる。社内外の人脈という点でも、こちらの方の人が勝る。

会社で出世するのも、笑顔であいさつする人の方だ。

あいさつしない「損」を説く

あいさつの「損」を説く、という方法もある。

人には損失回避性があるので、こちらの方が有効に働くかもしれない

損は得の裏返しだ。あいさつしないことで、自分の気分が悪くなったり、セルフイメージが低くなったりする。「自分はあいさつひとつ満足にできない人間だ…」と思えば、セルフイメージが低くなってしまい、そのイメージが行動に反映されるようになってしまうのだ。

また、あいさつしないことで、人に嫌われたり、不用意に敵を作ることになる。

当初はあまり気にならないかもしれないが、このマイナスはボディーブローのようにじわじわ効いてくる。「なんでこの人は、自分を嫌っているのだろう…」、「妙に自分の足を引っ張る奴がいるな…」と思うときは、非礼を恨みに思っている…ということがあるのだ

※こういうことは、後々あきらかになってくる。

自分からあいさつをする

あいさつしない部下にあいさつさせようと思えば、自分からあいさつすればいい。

なぜ目下のものに、自分からあいさつしなければいけないのか…と思うかもしれないが、相手を変えるためには、自分が変わる、自分から働きかける、ということが必要になる

親子関係を考えてもそうだろう。

あいさつする子供に育てようと思えば、親があいさつすることが必要になる。自分があいさつをしないのに、子供にだけ「あいさつしろ」と言っても、子供は従わないだろう。

上司にあいさつされて、意図的にあいさつを返さない部下はいないと思うが(笑)、意図的ではなく(結果的に)無視してしまう…ということがある。先に述べたように、あいさつされても、「自分があいさつをされたのではない」と思ってしまうことがあるのだ。

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名前を呼んであいさつをする

わたしはこれをやってしまったことがある。

わたしが歩いているとき、横から突然あいさつの言葉が聞こえてきたのだが、「まさか、自分にあいさつしているわけではないだろう…」と思い、目線すらそちらに向けることなくスルーしてしまったのだ。

わたしはそのまま歩き続けたのだが、背中に妙な視線を感じた。そのとき、突然「これはヤバい…」と冷や汗が出た。「あの人は、自分にあいさつしたのだ…」とわかったからだ。

このようなつまらない行き違いを防ぐためには、名前を呼ぶことが有効だ

「おはようございます」だけではなく、「○○さん、おはようございます」と言えばいい。人は自分の名前には強く反応を示す。なので、名前を呼ばれれば、必ずこちらを向くことになる。また、名前を呼ばれれば、相手に「リスペクトされているな」と感じることもある。

名前を呼ぶことには、いいことが多いのだ。

まとめ

今回は、あいさつしない部下にあいさつさせる方法について書いた。

あいさつをさせると言っても、あいさつをするよう無理強いしたところで、気持ちの良いあいさつはしないだろう。

あくまでも部下が、「あいさつした方がいいよね」と自分から思い、納得して行動しないと良いあいさつにならない。なので、相手の自律性を毀損しない形で、あいさつをうながす、という手段が必要になるのだ。

一番手っ取り早いのは、自分から部下にあいさつすることだ。そのとき、名前を入れるとなおいいだろう。また、モゴモゴしている部下がいれば、「あいさつすると、気分が良くなるね」、「セルフイメージが上がって、いいことがあるよ」と、笑顔でひと声かければいいだろう。

今回の記事:「あいさつをしない部下にあいさつをさせる方法」