不器用な生き方をやめたい

人の心理や特徴を踏まえて合理的に行動したい

部下の指導|部下のミスを注意する方法

上司であれば、部下の指導に頭を悩ませるシーンがある。

そのひとつが、部下のミスを注意するシーンだ。人を注意するというのは、ある意味しんどい行動だ。注意するこちらの気分も良くないし、注意される方の気分も悪くなるためだ。注意するのが嫌で「あえてスルーする」という上司もいるかもしれない。だがスルーしすぎると、自分の職務を果たしていないことになるし、仕事の成果の面でもマイナスの影響が生じかねない。

今回は、部下のミスを注意する方法について書いてみたい。

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目次

注意する目的を確認する

部下の指導

注意する目的を再度確認しておきたい。

まず、間違った目的というものがある。それは、自分の苛立ちを相手に知らしめる、相手を攻撃・非難して憂さ晴らしをする、相手をへこませる、という類のものだ。部下のミスにより自分が被害を被った場合、感情的になりこれらのような誤った目的を設定してしまうことがある。

また、そのミスの重大性を知らしめる、という目的を設定する場合もある。この目的が適切かどうかは、ケースバイケースだ。部下がミスの重大性に気づいていなければその目的は適切だが、十分に理解している場合は、不適切になる。追い打ちをかけることになりかねないからだ。

正しい目的とは

注意する目的は、端的に言えば「再発を防ぐこと」だ。なので、自分にも責任があるのでは…ということを頭において注意すべきだ。能力が不足している人に過分な仕事を与えたり、あいまいな指示しか与えていなかった…ということであれば、自分にも責任があるということだ。

もっと注意しろ!は意味が薄い

もっと注意しなさい…という注意は、あまり役に立たない。

部下がミスをすると、「もっと注意して!」と言いたくなるが、そう言ってもあまり効果は期待できない。そんなことは、ミスした本人が一番よくわかっているからだ。また、「もっと注意しなさい」というのは、抽象的な表現だ。コップを倒した子供に、「もっと注意しなさい」と言っても意味がない。代わりに、「肘の当たらないところにコップを置いたら」と言うべきだ。

※大人でも同様のことがある。

ミスを厳しく指摘してもダメ

部下に対し、ミスを厳しく指摘してもダメだ。

もし上司が部下に対し統制的に接すると、部下は防衛的になる。「再発を防ぐこと」がどうのよりも、この場をどうしのごうか、どんな言い訳や責任転嫁をすればいいのか、うるさいから適当に言わせておいて、こちらは黙ってスルーしておこう…というネガティブな思考になるのだ。

人格攻撃は絶対にNG

勢いあまって部下の人格を攻撃する人がいるが、これは絶対にNGだ。「相変わらずダメなやつだな」、「だ・か・ら、お前はダメなんだよ」、「どういう躾をされたのか」などというのは、人格に対する攻撃であり、暴言としてもいいだろう。これを一度でもやると、取り返しがつかない。

※上司が部下に対し人格攻撃をすると、最悪の事態になることがある。人に刃を向けると、自分もその刃で傷つくことになるケースがよくあるのだ(望まない反作用を受けることになる)。

過去の出来事とリンクしてはいけない

注意するときは、過去の出来事とリンクしてはいけない。

注意する側の上司は、部下にミスをされると「またかよ…」と思うことがある。部下のミスで困った…という経験は、エピソード記憶として頭に残りやすいためそうなる(笑)。だが、注意される部下の側から考えると、「以前のミスとリンクするのはやめてくれ~」となる。確かに自分は以前もミスをしたけれど、それは終わったことだし「蒸し返すのはやめて…」となるのだ。

※夫婦げんかでも、過去の出来事を蒸し返されるのは嫌なはずだ(笑)。

部下の考えを聴いてみる

まずは、そのミスに対する部下の考えを聴いてみよう。

注意する目的のところで、「ミスの重大性を知らしめる、という目的を設定する場合もある」と書いたが、部下の考えを聴いてみないと、ミスの重大性を理解しているかどうかわからない。それを理解していれば、ミスの重大性を知らしめる必要はないし、理解が足りなければ、そうする必要があるだろう。このことは、ミスに対する部下の考えを聴いてみないとわからないのだ。

※部下を支援したければ、部下の視点からスタートすることが大事だ。

自分で考えてもらう

いくら注意しても、注意だけでは人は変わらない。

このことがわかっていない上司は、「何度注意したらわかるのか」、「使えない奴だな…」と思ってしまう(苦笑)。人は自分が心底納得して、自発的にそうしたい…と思ったときに(はじめて)変わるのだ。したがって、上司は部下の自律性を支援するような言動を選ぶ必要がある

具体的には、上で述べた「部下の考えを聴いてみる」ということもそうだし、「自分で考えてもらう」ということもそうだ。フラットに「一緒に考える」ということでもいいだろう。

具体的に伝える

部下の考えを聴いてみると、意外によくわかっている…と思うことがある。

外から見る限りではよくわからないのだが、話を聴いてみると自分のことや自分がとった行動について、よく理解しているのだ。ただ、理解していても行動できないとか、改善できない…ということはある。そんなときは、「こうすればどうか」と具体的に自分の考えを(押しつけがましくならないように)伝えてみよう。部下がその話に納得すれば、行動を変えるかもしれない。

※「肘の当たらないところにコップを置いたらどうか」ということだ。自分から行動・改善できずに困っており、上司からの「ひと押し」を待っている…というケースもある。

フォローする

部下をフォローする気持ちは大事だ。

注意する目的が「再発を防ぐこと」、「ミスを防いで組織の生産性を上げること」などであれば、相手に対する気遣いなしでは、それらの目的を達成することができない。ミスをした部下が、やる気を出し(やる気を保ち)、自律的に問題を解決する…という姿勢になる必要があるためだ。

また、(部下にすると)強く注意される…というシチュエーションは、エピソード記憶として長く記憶に残る。下手すれば、一生残るかもしれない(笑)。そこで、相手に配慮のない対応をすると、お互いの信頼関係が消滅したり、嫌われたり・恨まれたり…ということになってしまう。逆に、好ましい対応をすると、信頼関係が深まったり、感謝されたり…ということになる。

※この関係性が、同じ会社にいる限り長く続くのだ(笑)。

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まとめ

今回は、部下のミスを注意する方法について書いてみた。

まずは、してはいけないことをキチンと把握しておくことが大事だ。人格攻撃などはもってのほかで、絶対にNGだ。そして、部下を温かく支援する…という気持ちを持つことだ。部下の自律性を支援し、部下がやる気を持ち自律的に動けるようにするためにはどうすればいいのか…とよく考えることだ。かつて自分がそうしてもらえなかったので、自分もそうしない…ではダメだ(笑)。

今回の記事:「部下の指導|部下のミスを注意する方法」