仕事で話をするときは、結論から話せばいいとされる。
たしかに、プレゼンなどでは、結論⇒理由・根拠⇒具体例、経験・感想等…という流れで話が進むと、話が理解しやすい。また、話すときも、この「型」に沿って話せば、(論理的になり)話しやすくなる。
小説や映画にしても、どういう話か理解してからみる(読む)と、鑑賞しやすくなる。結論をすでに知っている二度目にみる(読む)方がわかりやすくより理解できる、ということもある。
だが、仕事などで話をするときは、本当に結論から言えばいいのだろうか。どんなケースでも、結論から話せばいい、と言い切れるのだろうか…。今回は、このことについて書いてみたい。
目次
結論から話すと
聞き手にやさしくなる
話をするときに、結論から話すメリットがある。
まず、聞き手が話を聞きやすくなる、ということだ。「この人はこういう話をしたいのだ」ということがわかれば、「その根拠は何だろう」と思い、(その結論に興味があれば)興味を持ちながら話を聞くことができる。要するに、聞き手の立場からすると、話がわかりやすくなるのだ。
相手思いの話し方になる
次に、結論から言うことは、相手の時間を大切にすることになる。
結論から言うことで、「この話に興味がなければ、根拠以下の詳細は聞かなくていいですよ」とすることができる。さらに、時間のない相手の場合は、最も大事なことを手短に相手に伝える必要がある。それは多くの場合、話の背景や個人的な経験・感想ではなく、「結論」になるのだ。
※聞き手が話を聞きやすくなる、というのが最大のメリットだ。
相手のストレスがなくなる
結論を話の最後にもってくる人がいる。
話の背景から始まり、個人的な経験や感想、根拠を経て、最後に結論をもってくる、という話し方をする人がいる。こういう話し方をされると、「何が言いたいのか?」、「だから何だ?」、「それはそうだけれど、結論の根拠にあたる部分なのか?」と聞き手はやや混乱するのだ。
相手がストレスを抱える
そんなときは、「結論を早く言えよ」と思うものだ。
聞く時間が限られているときや、とにかく結果が早く知りたいと思っているときにこれをやられると、ストレスになるだろう。ビジネスシーンでは、上司から「結論を早く言うように」と指導されたことのある人も多いと思う。※相手に「結論を早く言え」と思われてはいけないのだ。
負の印象を与えない
ごまかそうとしているのか…と思われることもある。
相手に伝えたくないけれど、伝えなければいけないシーンでは、状況や背景、言い訳などを先に述べて、結論を後回しにしたくなる。結論を言いたくないのでそうなってしまうのだが、こういう姿勢は、「ごまかし」と受け取られることがある。
怖がっているのでは…
また、「自分の意見に自信がなく、怖がっている」と思われることもある。
自分の結論に対する相手の反応が怖いときは、ごまかしの場合と同様に、論点や背景、状況などを先に述べて、結論を後回しにしたくなるのだ(そういう心理になってしまうものなのだ)。
※結論を後回しにすると、相手にネガティブな印象を与えることもある。
結論から…がNGのケース
相手が望まない結論の時
結論から話すデメリットについても、考えてみよう。
私の個人的な経験だが、結論から言って相手の不興を買ったことがある。
それは、相手が望まない結論であったケースだ。
結論⇒理由という順番で話をしたのだが、結論を伝えた瞬間に相手の顔色が変わった。その後、理由を伝えて少しは理解してもらえたと思うが、理由⇒結論にした方がよかったと思っている。
ストーリーを語る場合も
話がストーリーになっている場合も、結論から言うのはマズいだろう。
最初に結論を描いている小説や映画というのは、ほとんどないと思う(回想物語の場合は、近いものがあるが)。また、結論が最重要でない場合も、結論から言うのはマズい。原因の分析など、結論に至るまでのプロセスの方が重要であれば、そちらの方を優先すべきだ。
※このように、結論から話すデメリットもある。
こうすればいい
簡潔な理由をセットにする
私は、「理由+結論」を最初にもってくればいいと思う。
ただし、ここでの理由(根拠)は、抽象度を上げ短くする必要がある。
たとえば、「意見を述べるときは、聞き手の観点を重視し、結論から言えばいいと思います」、または、「意見を述べるときは、聞き手にメリットが多いので、結論から言えばいいと思います」などとする。
その後、詳しい理由(根拠)や具体例、個人的な経験・感想などを述べればいいのだ。
こうすれば、相手の望まない結論を言って、相手の不興を買うリスクが小さくなるだろう。
あらかじめ相手の不興を買うリスクが大きいことがわかっていれば、理由の部分をもう少し長くしてもいい。そのあたりは、相手のことを考えながら調節すればいいだろう。
重要度の高いものから話す
ただし、上で述べたように、話がストーリーになっている場合や結論が最重要でない場合は、その限りではない。
わかりやすく説明するためには、重要度の高いものから説明した方がいい。
相手が聞きたがっているものから話せばいいのだ。したがって、結論が最重要でない場合は、必ずしも結論を最初にもってくる必要はない。※結論に至るプロセスの話の方が重要なことはある。
結論から話せばいいのか - サマリー
まとめ
今回は、「話をするときは結論から話せばいいのか」というテーマで書いてみた。
この話の結論は、結論が最も大事である場合は、結論から話せばいい。
ただし、抽象度が高い簡潔な理由(根拠)をつけて結論を言えばいいよね、というものだ。その理由(根拠)は、クッションの役割を果たすため、相手が望まない結論の場合は、役に立つのだ。
※相手が聞きたい結論、誰もが納得するような結論の場合は、結論だけでもいいだろう。
結論から話すかどうかは、話の形式や結論の重要度にもよる。話が物語になっている場合は、結論を最後にもってきてもいい。結論に至るプロセスの話の方が重要であれば、結論は後でもいい。
今回の記事:「話をするときは結論から話せばいいのか」