妬むことがあれば、妬まれることもある。
妬むことが多く、妬まれることは少ない。または、その逆もあると思うが、妬むことも妬まれることもあると思う。
妬みには自尊感情が関係している。なので、まわりに自尊心の低い人がいる、という場合は、その人に妬まれやすくなる。近くに自尊心の低い人がいる場合は特に、妬みに注意する必要があるだろう。
今回は、妬みや妬まれたときの対処法などについて書いてみたい。
目次
妬み(ねたみ)とは
妬み(ねたみ)の意味から見てみよう。
妬みは、「他者が自分よりも何らかの点において有利な立場にあることを知ることによって引き起こされる不快な感情反応」(澤田, 2003)と定義される。
不快な感情というのは、不満、恨み、怒り、悲しみ、憎しみ、挫折感というものだが、妬むとこれらの感情が羨望とともに発生する。
2種類の妬みがある
妬みには二種類ある、という見方がある。悪意のある妬みと悪意のない妬みだ。
前者は他者にベクトルが向き、後者は自分にベクトルが向く。他者にベクトルが向くと(相手に対する)怒りや憎しみが湧き上がり、自分にベクトルが向くと劣等感や挫折感を抱くようになる。
※ベクトルが自分と他者に交互に向く、ということもあるだろう。
どんなときに妬みが起こるのか
では、どんなときに妬みが起こるのかについて考えてみよう。
妬みは、1)比較される他者が自分と心理的に近い、2)自分にとって重要な領域である、という条件が揃ったときに起こりやすくなる。
たとえば、社内で年次や年齢の離れた同僚がいくら優秀でも、妬みはそれほど起こらない。自分にとって比較的どうでもいい領域で、自分より優れた人がいても、何とも思わない。
自分に近く重要であれば起こる
だが、年次や年齢の近い人物が自分より優れていれば気になる。
それが、自分にとって重要な領域であれば、妬みに結びつくだろう。
たとえば、自分が技術で相手が営業であれば、(相手が自分より優れていても)さほど気にならないが、自分の専門が技術であり、その分野で自分より優れた人がいれば、かなり気になるのだ。
相手とキャラが被れば被るほど、妬みが起こりやすくなる。相手と自分は違う、と思えば妬みは起こらない。キャラが被る場合は、自己の評価や価値が脅威にさらされる…と感じるためだろう。
妬みやすい人とは
妬む気持ちは万人にあると思うが、妬みやすい人とそうでない人がいる。
妬みやすい人というのは、他人との境界線がはっきりしない人だ。
他人との境界線がはっきりしていれば、「あの人は自分とは違う」ということで、妬みを処理することができる。はっきりしていなければ、優秀な相手を自分と同じ土俵に上げ、自分と比較し妬んでしまう。
自尊感情の問題もある
また、自尊感情の問題もある。自尊心の強さは妬みの強さと反比例するのだ。
つまり、自尊心が低ければ妬みが強くなり、自尊心が高ければ妬みが弱くなる。自尊心が低い人は「他人の不幸は蜜の味」を体感しやすいが、他人に対する妬みが強いためそうなるのだろう。
※まわりに妬みやすい人がいれば、注意する必要がある。
妬まれないようにする
ここからは、妬まれたときの対処法について書いてみたい。
他人に妬まれるよりは、妬まれない方がいい。
大きな会社で順調に出世する人というのは、比較的妬まれない人だ。まわりが嫉妬せず、「あいつなら仕方がないね」という人が出世するのだ。人事の立場から考えても、能力があり、まわりから嫉妬されない人を上にあげることには合理性がある。
彼らの特徴として、ポジティブであり、まわりに良い影響を与える、手柄をひとり占めしない、自慢話や誰かをおとしめるような話をしない、責任を転嫁しない…などがある。
自分の欠点を隠さずオープンで、他人の力を借りることができる、他者への気配りがあり、比較的謙虚である、ということもあるだろう。中には戦略的に行っている人もいると思うが、これらの特徴を自分に取り入れ、妬まれないようにすればいいのだ(意図してできることだ)。
まわりに得をさせる
まわりに得をさせれば、妬みを抑えることができる。
誰かひとりが「あいつだけいい思いをしている」と思えば、そう思っている人はほかにもいるだろう。その感情は妬みに直結する。そんなときは、まわりに「いい思い」を分け与えることだ。
映画『ゴッドファーザー PART Ⅲ』で、マイケルが仲間に利益を分け与える、というシーンがあった。あれは、仲間にいい思いを分け与え、嫉妬を抑える、敵にしない、足を引っ張られないようにする、という目論見から行ったことだ。
※いい思いを分けてもらえなかった人物は、マイケルの敵になった。
自分の近くにいるとあなたも得するよ、ということが相手に伝われば、「妬み」というものがなくなり、逆に力を貸してくれることもある。この場合は、マイナスがプラスに転化するので、大きな違いになるのだ。※マイナスをプラスに変えることができれば、大きな効果を生む。
妬む人を味方にする
妬む人を敵から味方にすればいい。
妬まれるとつい敵視してしまうが、相手を敵視してもいいことはない。もっと妬まれるだけだろう。
なので、相手を敵視せず、味方にすることを考える。今述べた、「得をさせる」ということもそうだ。自分を妬む人に得をさせることには抵抗があるかもしれないが、そうできれば相手は変わる。
自ら好意と敬意を与える
先に、自尊心の低い人が妬みやすい、と書いた。
そうであれば、相手をほめて持ち上げる、というのもいい手段だ。
また、コミュニケーションを積極的にとる、というのもいい方法だ。自尊心の低い人は、相手からあいさつされたり、話しかけられると、自分に価値を感じることができるためだ。
※妬む人は、相手との境界線がはっきりしない分、相手から影響を受けやすい。なので、こちらから好意と敬意を持って接すれば、それらが伝わりやすく比較的簡単に味方になってくれる。
同じ土俵に立たない
自分は妬む人のことが嫌いなので、懐柔なんて無理…という人もいるだろう。
そんな人はとりあえず、相手と同じ土俵に立たないことを目指したい。相手と同じ土俵に立つと、相手の妬みを嫌なものとして自分に取り込んでしまうためだ。
妬みから嫌味を言われたら、「~というのは、どういう意味ですか?」と冷静に返してもいい。
ケンカ腰ではなく、本当にわからないので、教えてほしい…という感じ返せば、相手は戸惑う。「そういう見方もありますか」、「そうですか~」と大人な感じでスルーしてもいい。
また、笑顔でスルーする、という方法もあるだろう。とにかく、相手の土俵に乗せられない、上がらない、ということが大事になる。余裕を忘れなければ、このような対応は可能だ。
まとめ
今回は、妬みや妬まれたときの対処法などについて書いてみた。
妬みやすい人というのは、他人との境界線がはっきりせず、自尊心の低い人だ。なので、近くにそういう人がいる場合は、妬みに注意する必要があるだろう。
今回の記事で書いた妬みの対処法は、1)妬まれないようにする、2)まわりに得をさせる、3)妬む人を味方にする、4)同じ土俵に立たない、の4つだ。
妬む人はどこにでもいるので、そういう人を味方につけるスキルを身につけておけば、人生において大変なプラスになることは間違いない。一生役立つスキルになるだろう。
そこまでできない、という人は、そういう人の存在を、自分にとってマイナスにならないようにする必要がある。妬む人を無害化するスキルを身につけておけば、被害はないだろう。
今回の記事:「嫉妬が絡む視線が気になる…妬まれたときの対処法4つ」