相手の言葉に対し、何も言えない…というシチュエーションがある。
咄嗟のことで上手く言い返せなかったり、我慢すると、あとで「こう言い返せばよかった」と後悔したり、自分にイライラすることもある。会議では、自分の意見を否定されたとき、上手く反論できない、ということがある。そんなときは、自分の不甲斐なさが嫌になったりする(笑)。
今回は、言い返す方法について書いてみたい。
目次
必要があるかどうか考える
まずは、反応する必要があるかどうか考えたい。
相手により、言い返さない方がいい、という場合もあるだろう。以前、課長が副社長に叱責される場面にいたことがある。普段は強気で饒舌な課長なのだが、副社長の叱責には、だんまりを通していた。十分反論できたはずだが、そうすると自分の不利益になると考えたためだ。
内容により、言い返す必要がないこともある。揚げ足取りのような話や、些末で自分にとって重要でない話については、強く反応する必要はないだろう。細かいことまで逐一反応していると、泥仕合になってしまうためだ。逆に重要な話であれば、もちろん反応する必要がある。
※まずは、相手と内容を考えて、必要性を判断したい。
オウム返しの質問で返す
オウム返しの質問で返す、という方法がある。
相手に否定的なことを言われるとイラッとし、つい反射的に言い返したくなるが、その感情は一度抑える。そして質問モードに入り、「〇〇ですか?」、「〇〇していますか?」と尋ねる。
たとえば、仕事のことで「間違いは多いし、スピードも遅いな」と言われたら、「間違いが多いですか?」、「そんなにスピードが遅いですか?」と尋ねる。オウム返しの質問で返されると、相手はやや戸惑うかひるむのだ。文句を言った相手からの予期せぬ切り返しに、やや驚くのだ。
※自分が冷静になれる、相手の真意がわかる、というメリットもある。
相手の根拠を責める
言い返すときは、相手の根拠を責める、というのが王道だ。
人は主観だけで話す、ということがよくある。そういう話で責められたら、「あなたの意見はわかりますが、その意見の根拠となる事実はありますか」と切り返す。適切な事実があれば、相手の意見を取り入れてもいいが、なければ取り入れる必要はない(根拠の曖昧さを責めればいい)。
自分の経験を根拠だとする人がいれば、「個人的な経験は根拠になり得るが、事実よりは弱いと思う」、「ひとつの事例を一般化することには、無理があるのでは」と反論することができる。経験を客観的に証明することはできないし、サンプル数1のものを一般化することはできない。
イエス・アンド法で返す
会議などで言い返すときは、イエス・アンド法を使えばいい。
イエス・バット法が有名だが、イエス・バットというと、(イエスの部分はいいのだが)「でも」や「しかし」から反論する、というイメージがある。なので、イエス・アンドに比べると、印象が悪くなる。「でも」や「しかし」という言葉は、相手をイラつかせる言葉なのだ。
※自分が否定されたような気持ちになる。
なので、イエスと相手の話を受け止めたあとに、(否定の接続詞を入れずに)私はこう思いますと、自分の意見を述べる。その前に、「議論を発展させるためにあえて言いますが…」という前置きを入れてもいいだろう。こうすれば、相手に不快な思いをさせずに反論することができる。
言い返さないという方法もある
あえて言い返さない、という方法もある。
この沈黙には、こちらが不快になっていることを相手に知ってもらう、相手の発言が不適切であることに(自分で)気付いてもらう、という意図がある。
また、そのことについて、あなたと争うつもりはありません、あなたほど大事なことだとは思っていません、という意思を表示することにもなる。
先に述べた課長の沈黙は、「あなたと争うつもりはありません」という沈黙だ。要は、白旗をあげる例を除くと、「あなたの言葉を(重要な言葉として)受け取りませんよ」ということだ。
子供が理不尽な駄々をこねているときスルーする、という方法がある。
これはあえて「言わない」という方法だ。叱りつけると駄々がエスカレートすることがあるので、沈黙は有効な対処の方法だ(沈黙することで、結果がよくなる)。
まとめ
今回は、言い返す方法について書いてみた。
今回の記事で書いたのは、1)オウム返しの質問で返す、2)相手の根拠を責める、3)イエス・アンド法で返す、の3つだ。これらに加え、あえて言い返さない、という選択肢もある。
相手の話や言葉に対し、言い返すことのできない人は、フラストレーションがたまると思うが、そういう選択をしている、ともいえる。そう考えれば、気持ちが楽になるかもしれない。結果的に何も言えず、そうなっているとしても、それが賢明な選択である、という場合もあるのだ。
それでも、反論したいときはあるだろう。会議の場などでは、反論できないと会議の質が落ちたり、自分の評価が下がることもある。そんなときは、今回の方法を使えばいいと思う。
今回の記事:「言い返す方法3つ|日常会話から会議まで使えます」