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人の心理や特徴を踏まえて合理的に行動したい

「人生がときめく片づけの魔法」のまとめ

今をときめく近藤麻理恵さんの著書を読んだ。

「人生がときめく片づけの魔法」という本だが、その英語版、「The Life-Changing Magic of Tidying Up」も、海外でかなり売れているようだ。その結果、彼女は、2015年にタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれている(アーティスト部門)。

今回は、「人生がときめく片づけの魔法」という本を読んだ感想を(内容に触れながら)まとめてみたい。ひと通り読んでいただければ、「ときめく片付け」がどういうものかわかるだろう。

※辛口の表現があるかもしれないが、「この本の内容を批判する」という意図で書いているのではない。

更新日:2018年9月18日

目次

 

リバウンドしない

絶対にリバウンドしない

近藤さんの片づけ法を実践すると、リバウンドしないそうだ。

ただし、前提となる条件がある。不要なモノを捨てたあとに、1)一気に、2)短期に、3)完璧に、片づけることだ。中途半端に整理整頓しただけでは、リバウンドするらしい。

※まずは捨てることが大事。捨てる ⇒ 収納場所を決める、という手順になる。

「短期」というのは、数日程度のオーダーかと思ったのだが、個人レッスンの場合、半年程度と書いている。なので、それぐらいでもいいのだろう。

「完璧に」というのは若干引っかかるが、ここではスルーする(後述する)。

片づけは(年に1度の?)祭り

彼女の「片づけ」の定義だが…片付けは「祭り」だとしている。

毎日するものではないという意味だ。日常の片づけは、使ったものを元の位置に戻すだけの行為であり、(片づけではなく)片づけた状態のメンテナンス、という意味合いで捉えているようだ。

なぜリバウンドしないのか?

ではなぜ、リバウンドしないのだろうか。

この疑問に対しては、1)完璧に片づいた状態を体験すると、もはや以前の散らかった状態には戻れない、2)適正量(カチッとポイント)にはまると、リバウンドしないものだ(このポイントは感覚でわかる)、という答えが用意されている。※経験則からのものだ。

本当にリバウンドしないのか?

近藤さんは「絶対」という言葉を使って、リバウンドしないと言い切っている。

その根拠は、1)顧客のリピート率が0、2)片づけのマインドを身につければ、元に戻ることはない(経験則?)、というものだ。※1)顧客のリピート率が0、については、完璧に片づけることができたクライアントに限る話のようだ。

ただし、それだけでリバウンドしないとは言い切れない

もし、リバウンドした場合、「この方法ではリバウンドする」と考えて、リピートしない、ということが考えられるからだ。この疑問を潰すような形で、顧客のフォローアップで確認しているとしているが、それを完全に行うことは困難だ。

※この本の内容は、ほとんど定性的なことなのだが、この部分は数少ない定量的なことになる。

マインドが変わるため

2)片づけのマインドを身につければ、元に戻ることはない、については、「絶対」は言い過ぎだが、根拠になり得るのかもしれない。

たとえば、夜型の生活をしていた人が、(自律的にマインドを変えて)朝型の生活をするようになれば、それを維持することは可能だ。※マインドを変える効果は侮れない。

完璧に片づけることが大事

最初にスルーした、前提条件の中にある「完璧に」という言葉だが、「完璧に」片づけられる人がどれだけいるのかな…というのが素朴な疑問だ。

完璧に片づけることができなければ、(前提が崩れることになるので)リバウンドするかもしれない、ということになる。

近藤さんの指導を受けた顧客の中にも、「卒業」できなかった人がいるそうなので、(当たり前だが)完璧に片づけられない人もいるのだろう。

とにかく、彼女の片づけ法を効果たらしめようと思えば、「完璧に片づけること」が大事だということがわかる。ただ、この「完璧に」というのは、エクスキューズにも使える。たとえば、リバウンドした理由として、「完璧に片づけていないからだ」と言えるためだ。

 

人生がときめく

片づけで人生が上手く行く

近藤さんは、片づけると、仕事や家庭などの人生全般が上手く行くと述べている。

家の中を「劇的に」片づけると、その人の考え方や生き方、人生も劇的に変わるそうだ。一気に短期に完璧に片づけをやり終えた人の人生は、間違いなくドラマチックに変化するそうだ。

※このことを「片づけの魔法」と呼んでいる。

人生がときめく…が本質

彼女の本の特徴は、ここにあるかもしれない。

「片付けをすれば人生が変わる」という話は、これまで聞いたことがない。

切り口に新規性がある。片づけにより、「モノを探す時間がなくなり、人生の時間を節約することができる」という話は聞くが、「人生が劇的に変わる」とまで言い切った本ははじめてだ。

※大胆にポジションをとった。

キャラとマッチしている…

さらに、彼女の不思議ちゃん的なキャラと、「片づけの魔法」というフレーズは、よくマッチしている。彼女には、今にも魔法のスティックを取り出して、振りそうな雰囲気があるのだ。

※「劇的」、「ドラマチック」、「魔法」など、言葉の使い方に特徴があるが、ターゲットを「掴む」ためのマーケティングの手法だろう。ターゲットは恐らく女性(20~30代)だ。

したがって、それぐらいの女性のハートに届くような言葉を、意図的に採用している。同時に、断定的な口調を多用することにより、彼女らの不安や疑問を払拭しようとしていることがわかる。

人生の問題がはっきりする

片づけというのは、過去に片をつける行為である。

過去に片をつけた結果、人生において必要なもの・不必要なもの、やるべきこと・やるべきでないことが、はっきりわかるようになるそうだ。

片づけをして部屋がキレイになる ⇒ 自分の内面に向き合うようになる ⇒ 問題(やるべきでないことなど)に気づく ⇒ 解決せざるを得なくなる、という理屈だ。

整理整頓が大切なのは確か

片づけをすることで、人生の問題が解決するのかどうかわからないが、「整理整頓する」という作業が大事なことは理解できる。

たとえば、机の上が乱雑なままでは、思考も発散してしまうのだ。近藤さんの主張のように、片づけにより思考がシンプルにまとまり、結果、要・不要がハッキリする、ということはあると思う。

行動との間にはギャップが…

ただし、最後の「気づく」と「解決行動をとる」の間には、大きなギャップがある。

問題に気づいたからといって、行動できるとは限らないからだ。※問題に気づくことはいいことだし行動するために必要なことだが、行動に至るかどうかはまた別の問題になる。

 

人生がときめく片づけの魔法 - サマリー

まとめ

「人生がときめく片づけの魔法」という本を読んだ感想をまとめてみた。

今回の記事で書いたのは、近藤さんの片づけ法を実践すると、1)絶対にリバウンドしない、2)仕事や家庭などの人生全般が上手く行く、ということだ。

ただし、完璧に片づけることが前提条件になる。

部屋は散らかるもの(エントロピーは増えるもの)なので、「絶対にリバウンドしない」は言い過ぎだと思う。だが、マインドを変えることで、近い形に持っていくことはできるかもしれない。

※自律的にマインドを変えると、大きく行動が変わる可能性がある。

この片づけを実践すれば、仕事や家庭などの人生全般が上手く行くかどうかはわからない。だが、整理整頓することが大事なことは確かで、それがいい流れを作るきっかけになるのかもしれない。

続きの記事:人生がときめく片づけの魔法の効果は…読んだ感想

今回の記事:「人生がときめく片づけの魔法」のまとめ

参考:人生がときめく片づけの魔法 (著)近藤麻理恵