読書しても身にならない…と思うことがないだろうか。
たくさん本を読んでいるのに身にならない…というときは、読書の質に問題がある。せっかく本を読むのであれば、「質」を高めたい。「質」を高めれば、「量*質」の値が大きくなるからだ。
その結果、読書の効果が高くなる。
しかし、このことには意外と気がつきにくい。質よりも(何冊読破などの)量の方に目が行ってしまうからだ。※量は数値で測ることができるので、わかりやすい…ということがある。
今回は、読書の効果を質的な面から高める方法について書いてみたい。
目次
まえがきを読む
本の著者が、「はじめに」というセクションを設けて、「まえがき」を書くことがある。
まえがきは、いわゆる「つかみ」の部分なので、著者はかなり力を入れるはずだ。
本を手に取った(潜在)読者が、まえがきを読んで、「おもしろくない」、「求めているものと違う」と感じたら、そこで離れてしまうからだ。
著者はまえがきで、この本はどのような本なのか、誰に向けて書いているのか、読めばどんないいことがあるのか、などについて語る。まえがきは、量的には短いものなので、本の内容の大要約と言っていいかもしれない。※エッセンスが詰まっているわけだ。
目次と合わせて読む
この「まえがき」と「目次」を合わせて読むことで、頭の中で目的地がはっきりする。
そして、そこに至るまでのマップができる(話が見える…ということだ)。目的地がはっきりせず、なんだかよくわからん…という場合は、そこで読むのをやめてもいい。
このことは、結論から話す人の話がわかりやすいのと同じことだ。
最初に、抽象的でも「こういう結論になる」ということがわかると、話が見えやすく、「結論を導く根拠は何か?」、「事例はあるのか?」、「こういう反論もできる」などと、自然な形で思考を前に進めることができる。
なので、読書の質を上げようと思えば、「まえがき」や「目次」を読むことが必須になる。
全部読もうとしない
本を買ったら「全部(全ページ)読むものだ」と思い込んでいる人がいる。
おそらく、せっかくお金を出して買ったのだから、「全部読まないと、もったいない」という意識があるのだろう。これは、映画館でチケットを買って観た映画が心底つまらなくても、最後まで観ないと気が済まない、という心理と同じだ。
本の場合は、図書館で借りた本でも、「全部読まないと、もったいない」という意識が働く。なので、この「全部読まないと損をする…」という意識は、相当強いものなのだろう。
もったいないは間違い
だがこの行動は、サンクコストの点から間違いだと言える。
サンクコストについては、この記事で書いているので、参考にしてほしい。
※「もったいない」は、いらないのだ。
読むのが苦痛だという場合は…
読むのが苦痛だと感じるのであれば、理由がある。
1)そのことについては、わかりきっている、2)テーマに関心がない、3)テーマに関心はあるが、難しすぎる、理由はほかにもあると思うが、パッと思いつくのはこの3つだ。
わかりきっていることをクドクド説明されても、苦痛でしかない。興味のないものは、読む気がしない、興味があっても、難解で読みにくければ苦痛になる、ということだ。
自分が「読みたい」と欲しているときに読めば、一番(吸収率が高く)効率がいい。
喉が渇いたときに水を飲めば、一番おいしく感じる…ということと同じだ。興味はあるが難解で読みにくい、と感じるのであれば、まだ読む時期が到来していないのだろう。それが来るまで寝かせておくのも、ひとつの手段だ。吸収率の悪い時期に、無理に読むこともないだろう。
同時読みをする
「本の同時読み」については、以前書いたことがある。
私はよく本を3~4冊同時読みをする。違う筆者のもので、ジャンルもバラバラだ。同時読みの目的は、1)多方面から多様な情報を集める、2)常識(定説)を知る、3)相乗効果を得る、ということだ
出典:ブログ記事の質を上げる方法
そのとき、2)常識(定説)を知る、について、
違う筆者で違うジャンルの本でも、同じようなことを示唆している場合があり、それを常識(意見の総体)と考えてもいいのではないか…とした。また、このときは、ジャンルがバラバラのものを読むとしたが、同ジャンルの本でもいいと思う。
読み比べをする
多様な情報を集めるは、たとえば、高血圧の人が降圧剤に関する情報を取りたいのであれば、降圧剤に肯定的な著者の本と否定的な著者の本を読み比べるといいだろう。
そうすることで、どこに意見の相違があるのか、クリアになるだろう。本の中で根拠が示されている場合でも、著者は(立場にかかわらず)自説に有利なデータしか示さない。したがって、本質を見極めるためには、異なる意見の著者の本を読み比べることが必要なのだ。
繰り返し読む
繰り返し読めば、総じて読書の質は上がる。
「繰り返し読む」には、寝かせる期間の長さにより、二つの方法がある。
1)数日~数週間おいて読む
2)数ヶ月~数年おいて読む
1)数日~数週間おいて読む、については、難しいけれど、二回読めば内容を理解できそうだ…と感じたときに行う。そのように感じたときは、二回読まないと損だ。二回目の読書においてはじめて、本の内容を吸収できるからだ。
※二回読めば、一回目の読書も無駄にならない。
定期的に繰り返す
2)数ヶ月~数年おいて読む、については、(自分的に名著であれば)定期的に行いたい。なぜなら、本に書いてあることは変わらないが、外部環境や自分が変わるからだ。
ほんの数ヶ月でも、自分の興味・関心が変化していることがある。また、視点や考え方・捉え方も変化していることがあるからだ。
つまり、全く同じインプットでも、自身の変化などにより、(インプットから得られる)アウトプットが変わる可能性がある、ということだ(新たな気づきがあるのも、自分が変化しているせいなのだ)。簡単に読書と言うが、読み手の工夫次第で、質は上がるし奥が深くなる。
読書の質を高める方法 - サマリー
まとめ
今回は、読書の質を高める方法について書いた。
1)まえがきを読む、2)全部読もうとしない、3)同時読みをする、4)繰り返し読む、の4つになる。個人的にはすべて行っているが、「まだやり方が甘いな…」とも感じている。
全部読もうとしないについてだが、どんな本でも100ページまでは読むようにしている(つい面白くなるのでは…と読んでしまう)。本当であれば、もう少し早く見切れるような気もする(笑)。
もう少し突き詰めて行えば、今より効果的な読書になるかもしれない。
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今回の記事:「読書の質を今より少し高める方法」