あなたは、会話の中で「オウム返し」を使っているだろうか?
オウム返しとは、文字通り、相手の言葉をそのまま繰り返すことだ。
コミュニケーション能力の高い人は、「オウム返し」を適切に使っているはずだ。相手の「オウム返し」に上手にのせられて、どんどん話をした…という経験をしたことがある人もいると思う。
今回は、会話における「オウム返し」について書いてみたい。
目次
- 目次
- オウム返しのメリット
- 話を聞いています…という意思表示になる
- その話を聞きたい…というメッセージになる
- 好感度が上がる
- ダメなオウム返しがある
- 度が過ぎるオウム返しはNG
- ズレたオウム返しも…
- まとめ
オウム返しのメリット
「オウム返し」とは、相手が発した言葉をそのまま繰り返すことだ。
※ただし、若干変えるパターンもある。
なので、コミュニケーションのテクニックとしては、比較的簡単な部類に入る。相手の話を要約して確認する、などという方法と比べれば、シンプルで実践しやすい、というのが特長だ。
また、簡単がゆえに、気の利いた返しができないとき、とりあえず「オウム返し」でしのぐ、という技が使える。オウム返しをして時間をかせぎ、その間に気の利いたことを考えるのだ。
話を聞いています…という意思表示になる
話を聞いているのか聞いていないのかわからないような人と話すのは、ある意味苦痛だ。
※話し手が苦痛を感じれば、会話は当然盛り上がらない。
人には、「自分の話を聞いてもらいたい」という欲求があるが、そのようなタイプの人が相手の場合、その欲求が満たされないからだ。
したがって、話の聞き手になったときは、話し手の欲求を満たす振る舞いをすることが望ましい。
オウム返しをすれば、「あなたの話を聞いています」という意思表示になるので、話し手の欲求を満たすことができるのだ。
※話し手が(欲求を満たして)満足すれば、会話が盛り上がる可能性が高くなる。
その話を聞きたい…というメッセージになる
「オウム返し」は、「その話を聞きたい」というメッセージにもなる。
※その話に興味がある、というメッセージになる。
自分が話すときのことを考えればよくわかると思うが、相手が興味なさそうな雰囲気を醸し出していると、「話すのはもうやめようかな」、「話を切り上げた方がいいな」という気持ちになる。
逆に、相手が興味を示していると、「もっと話そう」という気持ちになる。
オウム返しは、「その話を聞きたい」というメッセージになるので、後者の「もっと話そう」という気持ちになるのだ。※「オウム返し」には、相手の話を促す、という効果もある。
好感度が上がる
「オウム返し」を上手に使えば、相手の自分に対する好感度が上がる。
先に述べたように、話し手が、1)話を聞いてくれている、2)話に興味を持ってくれている、と感じるためだ。また、(話し手は)それらの印象から、3)自分を肯定してくれている、と感じるはずだ。その感覚が、(相手の自分に対する)好感度を上げることになるのだ。
ダメなオウム返しがある
ただし、オウム返しのメリットを享受できるのは、上手に使った場合に限る。
ダメなオウム返しというのもあるのだ。
たとえば、相手が何かの費用対効果の話をしていたとしよう。そこで、「なるほど、費用対効果ですか!」というオウム返しがあれば、「費用対効果ねぇ~」というオウム返しもある。後者のオウム返しからは、「懐疑」、「批判・否定」、「上から目線」という印象を受ける。
やってしまうことがある
そんなオウム返しはしないよ、と思うかもしれないが、相手が自分より若く未熟な人物であった場合、知らず知らずのうちに、そのような(不適切な)オウム返しをしてしまうことがある。
また、相手の話が間違っている、と思ったときに、そうしてしまいがちになる。相手を軽くみている場合や、相手の話が間違っている、と思ったときは、注意した方がいいだろう。
度が過ぎるオウム返しはNG
これは、過ぎたるは猶及ばざるが如し、ということだ。
度が過ぎるオウム返しは、相手の神経を逆なでする。
たとえば、将棋番組の司会者が、オウム返しが多すぎる、として批判されたことがある。
解説者との歯車の合わない司会を続けておられます。
たとえば、解説者の言ったことのオウム返しを頻繁にする。今日の菅井・村山戦では「4八金だと▽7五角の筋が生じる。」に「▽7五角の筋が生じる。」、「攻め合いになるかもしれませんね。」に「攻め合いですか?」、「▽3一角はどこかに」に「どこかに?」、「後手玉が」に「後手玉が?」、「▲5一竜▽同金▲同竜のときにおそらく」に「おそらく」、「まだ詰まない」に「詰めろでない?」等
出典:【将棋】NHK杯戦の司会者清水市代氏の司会ぶりについて、みなさんは...
実際にその司会者のオウム返しが多すぎたかどうか、ということは別にして、人は「オウム返しが多すぎる」と感じたら、イラッとする、ということだ。オウム返しを多用された方は、妙に急かされている、からかわれている、小バカにされている、という気分になるのかもしれない。
※オウム返しが多すぎると、耳障りになるのだ。
ズレたオウム返しも…
ズレたオウム返しも好ましくない。
《オウム返しの悪い例》
Bさん、「昨日は、仕事でミスをしてしまって、凄く落ち込んでいるんだよ・・・・」
Cさん、「へえ~、昨日、仕事でミスをしたんだね!」
《オウム返しの良い例》
Bさん、「昨日は、仕事でミスをしてしまって、凄く落ち込んでいるんだよ・・・・」
Cさん、「そうかあ~、凄く落ち込んでいるんだね。」
出典:「オウム返しとは?」:もう悩まない!私の人生が楽しくなれた幸せの法則
Bさんは、「凄く落ち込んでいる」ということを伝えたかったのだが、Cさんは、「仕事でミスをした」という部分を拾って、オウム返しをした、という例だ。
Cさんは、Bさんがどんなミスをしたのか興味があるのではないだろうか?その気持ちはわかるが、Bさんがミスについて話したいのかどうかわからない。ミスの詳細を話したい、とは思っていないかもしれない。なので、この場合は、相手の感情に寄り添うオウム返しが適切だろう。
※自分の好奇心よりも、相手の気持ちを優先させることだ。
まとめ
今回は、会話における「オウム返し」について書いた。
コミュニケーション能力の高い人は、適切なオウム返しを用いている。
一方、そうでない人は、オウム返しを用いないか、不適切なオウム返しを使っている。前者であれば、(オウム返しのメリットを考え)適切なオウム返しを使うことを意識し、後者であれば、適切なそれに修正することだ。そうすれば、これまでよりコミュニケーションが上手く行くはずだ。
「会話のコツ|オウム返しをもっと効果的に使いたい」