人を変えたい…と思うことがあるだろう。
この手の話でよくあるのは、他人を変えることはできないので、「自分が変わればいい」とするものだ。この理屈は理解できる。人を変えようとしても変わらない。だから、自分の認知を変えることで対応しよう…とする手段になる。
だが、やり方次第で人を変えることはできる。
あなたにも、他人の言動で自分の気持ちが変わった、自分の行動を変えた、という経験があると思う。他人の言葉が自分の心に響けば、気持ちが変わり、行動が変わり、ひいては自分が変わることがあるのだ。
今回は、他人を変える方法を3つ書いてみたい。
目次
人を変えたい…
他人を変えたいと思う
「他人の言動を変えたい」と思うことがあるだろう。
たとえば、自分が他人の言動で直接被害を受ける場合だ。
いつも仕事でミスをして、そのミスの尻拭いをさせられる…でも本人は、悪びれる様子もなく感謝もない、ということであれば、大抵の人はイラッとするだろう。ある人から自分が直接被害を受ける、といういうようなことが続けば、その人のことを嫌いになるのは自然だ。※直接被害には臭い(体臭・タバコ)も含まれる。
出典:人を嫌う理由
他人のミスの尻拭いをさせられるケースでは、「何とかしてくれ」と思うはずだ。
まず、他人に迷惑をかけるようなミスをするな、ミスを減らせ、と思うだろうが、経験不足などでミスを防げないのなら、せめてフォローしてくれた人に「感謝ぐらいしろよ」ということだ。
喫煙のケースもそうだ。
社内の禁煙場所で喫煙をしている人がいれば、「やめてくれ」と思うだろう。「どうして社内のルールを守らないのか…」ということもあるし、自身の健康の問題にも関係してくるためだ。
間接的な被害でも…
間接的な被害でも、「他人の言動を変えたい」と思うことがある。
自分が直接被害を受けなくても、間接被害で人を嫌いになるケースもある。たとえば、不快な気分が顔や態度、言葉に出てしまう人がいる。イラッとしたら感情的になったり、電話を叩きつける(モノにあたる)タイプの人だ。他人に八つ当たりをすることもある。※間接被害には貧乏ゆすりなどの悪癖も含まれる。
出典:人を嫌う理由
他人の言動で自分が悪い影響を受けると、「やめてくれ」と思うだろう。
これは、間接被害と言えるかどうかわからないが…
この前、たまたま立小便をしている人を見かけた。今の時代にそんなことをする人がいるのか(昭和か)…と、少し唖然としたが、すぐに「そのようなことは、やめてほしい…」という気持ちになった。しかもその場所は、多くの人の目につく道路沿いの民家の壁だった。
「他人の言動を変えたい」と思うことは、結構あるのだ。
人を変えることは困難
よく言われるように、他人を変えることはむずかしいと思う。
※ただし、不可能だとは思わない(やり方については後述する)。
なぜ他人を変えることがむずかしいのか…と考えると、1)本人が変えない方にメリットを感じる、2)感情的な反発がある、3)そもそも変えようと思っていない、などの理由を思いつく。
1)本人が変えない方にメリットを感じる、について、たとえば先に述べた、社内の禁煙場所で喫煙をする、という例で考えてみよう。※そもそもなぜ、禁煙場所で喫煙するのだろうか?
メリット・感情・軽視
社内の禁煙場所で喫煙をすることには、大変なメリットを感じている(仕事をしながら喫煙するのがいい)。一方で、社内のルールを破ることになり、注意されたり、嫌な顔をする人もいる。ルールを破る、他人の不興を買う、ということがデメリットになる。
これらのメリット、デメリットを天秤にかけ、メリットの方が大きいと判断する、ということだ。
人に指図されたくない
2)感情的な反発がある、については、
人には「他人に言われて変えたくない」という気持ちがある。
子供が親から「勉強しなさい」と言われて、反発を覚えることと同じだ。要は、「自律性を侵害された」、「尊重されていない」と感じるため、「他人に言われて変えたくない」と思う。
3)そもそも変えようと思っていない、については、自分の言動が(そもそも)問題だとは思っていない、多少の問題意識はあるが、特に重要なことだとは思っていない、ということだ。
これらの理由があるため、他人の行動を変えることはむずかしいのだ。
自分を変えればいいは
よくある話だが、では「自分を変えればいい」とすることがある。
他人が変わらないのであれば、自分を変えればいいのでは、とする考え方だ。このことについて、少し考えてみたいと思う。
ひとつは、他人の言動に対する受け止め方を変える、ということだ。
たとえば、先の他人のミスの尻拭いをさせられるケースで、せめてフォローしてくれた人に「感謝ぐらいしろよ」と思うのであれば、「かけた情は水に流す」という考え方を採用することで、苛立ちを抑えることができる。※相手の感謝や見返りを、最初から期待しない、ということだ。
これは、「やさしくなる」、「柔軟になる」ということでもあるだろう。
人を変える方法3つ
自分の影響力を増やす
影響力を持つことで、他人を変えることができるようになる。
ここで言う影響力とは、社会的な地位や社内的な地位のことではない。
どれが一番かと言われれば、「人間性」かもしれない。能力が高くても、それに見合う影響力を持たない人はたくさんいる。能力が高くても、自分本位の人物が持つ影響力はかなり限定される。
出典:自分の影響力を高めるには?
人間性のことだ。
自身の人間性を高めることで、他人に対し影響力を持つことができるようになるのだ。
人は、自分が尊敬できる人からの言葉というのは、素直に聞くものだ。まだ若く未熟で尖がっている、という人でも、自分が信頼している人や尊敬している人の言葉は、比較的素直に聞くはずだ。
一朝一夕にはいかないが、自分の影響力を高めれば、他人を変えることが可能になる。
相手に気づきを与える
気づきを与えれば、そこから他人が自律的に変わる…ということがある。
先に述べたように、変えない方にメリットを感じるから「変わらない」という人がいる。
この人たちは、「変えた方が得になる」と自分で理解すれば、自律的に変わる可能性がある。そうであれば、「変えた方が得になるよ」という情報などを、こちらが与えてあげればいいのだ。
部下の言動を変えたければ:部下の指導|部下のミスを注意する方法
たとえば、ネガティブな発言が多かった人が、何らかのきっかけでその種の発言をしなくなる…ということがある。これは、誰かに叱られた…というわけではなく、本人に「これではまずい」という気づきがあったためだ。あなたも、自分で気づいて言動を改めた…ということがあると思う。
人は気づけば、自ら変わることができる。ゆえに、気づきを与えてあげればいい。
Iメッセージで伝える
もう少し手っ取り早い方法で考えてみよう。
直接人に、「やめてくれ」、「こうしてくれ」と言っても、効果は薄い。
ひとつには、先に述べたように、言われた方が、「自律性を侵害された」、「尊重されていない」と感じ、(言われた方に)感情的な反発が生じるためだ。なので、伝え方を工夫する必要がある。
それは、Iメッセージで伝える、ということだ。
あなたが「こうしてくれ」ではなく、主語を「わたし」にして伝えるのだ。
痴漢の被害にあったとき、「やめて!」ではなく、「嫌だ!」と言う方が効果がある、と耳にしたことがある。「嫌だ!」というのは、「わたしは嫌だ!」ということで、Iメッセージになる。
Iメッセージで伝えると、相手の自律性を侵害せずに、強く相手に伝わるのだ。
※自分の不快感を伝える、という方法は有効なのだ。
たとえば、「勉強しなさい」よりは、「あなたが勉強しないことを、わたしはとても残念に思う」という伝え方をした方が、効果があるということだ(笑)。※効果を検証してみてください。
他人を変える方法 - サマリー
まとめ
今回は、他人を変える方法について書いた。
たしかに、他人を変えることはむずかしい。変えようとして変わるものではない。
だが、「他人は変えられない」という決めつけはおかしい。少なくとも、(こちら次第で)他人の気持ちや行動を変えることはできるはずだ。※コアの部分は変わらなくても、それ以外の部分には変わる余地がある。
他人の行動を変えるためには、自律的に変えてもらう必要がある。そのためには、上から目線で「こうしろ、ああしろ」ということではなく、本人にそれとなく気づきを与える必要がある。
たとえば、ネガティブな発言や行動をする人がいれば、それらの言動はあなたのマイナスになりますよ…ということを(柔らかく)相手に知らしめることができれば、変わるきっかけになる。
そのためには、Iメッセージで伝える…という手段も有効だ。
今回の記事:「人を変える方法」