あなたは、インタビューを受けたことがあるだろうか。
インタビューといえば、メディアにマイクを突きつけられるシーンを想像してしまうが、他者による面接などもインタビューだ。わたしは色々な面接はもちろんのこと、雑誌の取材も受けたことがあるが、インタビューを受けたあと、あれこれ反省したことを覚えている。
インタビューにおいて、相手の質問に上手に答えることは、結構むずかしいことなのだ(後でこう言えばよかった…と思うことがしばしばある)。
今回は、インタビュー等での質問に対する答え方について書いてみたい。
目次
- 目次
- 聞かれたことだけ答える
- ダメなインタビューになる場合もある
- 大事なことを話したい
- 大事なことを早めに話す
- 自分しか語れないことを
- 感謝は入れた方がいい
- 相手の期待にこたえる
- 一度受け取ったあとで自分の気持ちを
- 相手の質問を繰り返す
- 橋を渡して答える…という方法がある
- 橋をかけて自ら渡ろう
- まとめ
聞かれたことだけ答える
聞かれたことだけに答える、というパターンがある。
これは、聞かれたことに対し、「過不足なく的確に答える」という方法だが、この方法のメリットは、受け答えのテンポが良くなる、相手の質問をたくさん受けることができる、余計な話(相手が求めていない話や重要度の低い些末な話)や無駄なコメントをしなくてすむ、ということだ。
わたしはこれまで、どんなインタビューに対しても「この方法がいいのかな…」と思っていたが、必ずしもそうではなく、「ケース・バイ・ケースなのでは…」と思うようになった。
ダメなインタビューになる場合もある
質問者に力量(知識や経験)があり、質問を重ねることができる場合は、聞かれたことだけに答えていれば、形になる。だが、そうでない場合は、深みのないダメなインタビューになるのだ。
聞いて欲しいことを聞いてもらえず、そのまま終わる…ということがある。
※質問者の力量が、ボトルネックになるため。
また、聞かれたことに対し、過不足なく答えるだけだと、第三者にそっけない印象を与えることもある。主体性やおもしろみに欠けるとか、「この人は機械的だな…」という印象になるのだ。なので、内の仕事であればそれでいいのだが、第三者が絡むときは、不十分かもしれない。
大事なことを話したい
大事なことを話す、というのが基本だ。
そのためには、逆三角形(逆ピラミッド)を意識するといいだろう。
レスリングで金メダルをとった、川井梨紗子選手の印象的な言葉がある。
インタビュアーから「ずっと攻めてましたね」と質問されたときに、「これが自分が教えてもらったレスリングです」と答えたのだ。「これが自分が教えてもらったレスリングです」というのが彼女の結論(言いたいこと)であり、最も大事な部分なのだ。
その先の「どうして、そういうレスリングが教えられているのか」、「どうして、大舞台で教えどおりに実践できたのか」などについては、その後に時間があれば語ればいいのだ。
※結果、印象的なこの部分が編集で残ることになった。
大事なことを早めに話す
インタビューの冒頭で何を話すのか、というのは、とても大事なことだ。
この人は何を話すのだろうか…と、一番注目される部分だからだ。(冒頭の部分は)聞き手が最も集中している時間帯なのだ。
なので、そのときに大事なことを話すことだ。そうすれば、「大事なことを話しそびれた…」ということはなくなる。大事なことを話すために、逆三角形(逆ピラミッド)を意識したい。
※内容は、抽象 ⇒ 具体、でいいだろう。
自分しか語れないことを
自分しか語れないことを言った方がいいのではないか、と思う。
誰でも言えるようなありきたりの受け答えでは、おもしろくないためだ。
そうするためには、質問を一度頭の中に落とし込み、そこから自分が持ついろいろなフック付きの仕掛けを投げて(オリジナリティのある)答えを手繰り寄せる…という作業が必要になるだろう。
五輪ではメダリストが注目されるが、予選や一回戦で負けた選手にも「自分しか語れない」という言葉があるはずだ。彼らが感じたことを率直に話し、それを我々が聞けば、大きな学びになるはずだ。勝者の話だけ…という生存バイアスを正すためにも、負けた人にこそ語ってほしいと思う。
感謝は入れた方がいい
自分しか語れないことではないかもしれないが、感謝は入れた方がいい。
※感謝する対象がいれば、感謝を入れた方がいい。
感謝できる人には、人が集まり、好ましい人間関係の輪ができる。
相手を批判すれば、相手からも批判されるが、相手に感謝をすれば、相手からも感謝されるのだ。先に、感謝の気持ちを持つことは、相手の力や貢献、存在を認め、相手を尊重する、ということだ、と書いたが、相手を尊重すれば、相手からも尊重されるのだ。
出典:もっと感謝した方がいい理由
五輪でも、メダリストが指導者や支援者に感謝する…というシーンがあった。
サポートしてくれた人に感謝しているが、(照れなどで)それをなかなか表現できない人がいるが、そんな人は損をしていると思う。機会があれば、感謝の気持ちを表明した方がいいのだ。
※インタビューは、感謝をアウトプットする大きな機会になる。
相手の期待にこたえる
相手の期待にこたえることも必要かもしれない。
そのためには、相手が何を期待して質問しているのか…を読み取ることが必要だ。
※必ずしも、相手が期待している答えを返す、ということではない。
ただ、相手が称賛しているにもかかわらず、「大したことはありません」、「ほめられることではないのです」、「自分が意図した結果ではないので残念です」などと答えてしまうと、かみ合わないインタビューになってしまう。相手のほめや称賛に対しては、一度は受け取った方がいい。
一度受け取ったあとで自分の気持ちを
一度受け取った後、自分の気持ちを伝えればいいのだ。
せっかく相手がほめてくれているのに、「いやいや、大したことないですよ」と反応すれば、ほめた方は白けてしまう。たとえば、「素晴らしいプレゼンでしたね」とほめられて、「プレゼンが良くても、ビジネスにつながらないと、何の意味もないですから…」と答えると、相手は白けるだろう。感じも悪い(笑)
出典:批判などを自分の成長の糧にする
まず、「ありがとうございます」と受け、「今回は、自分が望んだ結果とは違う結果になり、残念に思いますが…」と言えばいい。次のある選手であれば、「次がんばります」ということで、ポジティブに締めればいいだろう。※ネガティブで終わると、両者の後味が悪くなってしまう。
相手の質問を繰り返す
応答テクニックになるが、質問を繰り返す、という方法がある。
質問の内容や、相手が何を期待して質問しているのかわからない場合に「質問を繰り返す」ということがあるかと思うが、それらがわかっていても、そうすることがある。
考える時間をかせぐためだ。
返答に詰まって黙り込む…というのは、印象が悪い。インタビューの最中に、妙な間があいてしまうことも、好ましくない。なので、質問を繰り返すことで、時間をかせげばいいのだ。質問を繰り返すことで、相手が(表現をやさしくして)質問し直してくれることもある。
そうなると、さらに考える時間をかせぐことができる。
橋を渡して答える…という方法がある
橋を渡して質問に答える、という秀逸な方法があるようだ。
これは、答えたくない、答え方がわからない質問などに有効な方法だ。
【質問】ある航空会社の幹部が、鉄道より飛行機の方が、日本では事故の死傷者の数が少ないと言っています。あなたのお考えはどうですか?
【出だしの返答】どういう前後関係で、そう言われたのかわからないので、コメントのしようがありません。
【ブリッジ】私が今いえることは、
【キーメッセージ】鉄道会社は、安全を何より大事にしていることです。これは、航空会社も含めてあらゆる輸送会社にとって、いちばん大事なことだと思います。
出典:誤解されない話し方、炎上しない答え方とは?
出だしの返答 ⇒ ブリッジ(橋) ⇒ キーメッセージ、の順になる。
やり方はこうだ。
まず、出だしの返答で、簡潔に答える(Yes、No、返答できない…など)。そして、意図的にブリッジ(橋)をかけ、自分が話したいキーメッセージにつないでしまう、という方法だ。
橋をかけて自ら渡ろう
この方法は、ブリッジ(橋)をかける部分がポイントだろう。
まず、出だしの返答で、相手の質問をシンプルに受ける。そして、ブリッジ(橋)で、「自分が話したいキーメッセージ」の部分へ橋をかけて自ら渡る、ということだ。そうすることで、自分が話したいことを話すことができる。(ある意味)我田引水的なテクニックだが、答えに窮する質問には有効なテクニックだと思う。※主体性のある答え方、とすることもできるだろう。
まとめ
今回は、インタビュー等での質問に対する答え方について書いてみた。
わたしはこれまで「聞かれたことだけに過不足なく答える、という方法がいいのかな…」と思っていたが、必ずしもそうではないだろう。基本をおさえつつ、ケース・バイ・ケースで、柔軟に対応できるようにしておいた方が良さそうだ。
インタビューの尺が長い場合は:PREP法について深く考える
支援者に感謝する、相手の話を頭から否定せず一度受け取る、大事なことは早めに言う、自分にしか語れないことを言う、ということは、どのケースでも使うことができるだろう。
今回の記事:「インタビュー等での質問に対する答え方」