スピーチのコツ|内容編
あなたは、人前でのスピーチが得意な方だろうか。
突然、何かの集まりで指名され、スピーチをするように言われたとき、できるだろうか。「ちょっとそれは勘弁してほしい」、「事前に内容を準備をしていないと無理だ」と思う人も多いと思う。
たしかに、突然のスピーチはむずかしい。だがそれは、「スピーチのコツを知らないから…」ということもある。スピーチのコツを知っていれば、咄嗟のことでも、ある程度は何とかなるものだ。
今回は、スピーチのコツ(内容編)について、書いてみたい。
目次
スピーチのコツ
まず型を理解する
スピーチには「型」がある。基本形といってもいいだろう。
スピーチが得意な人はこの型を知っているが、苦手な人は知らない。
なので、スピーチの苦手な人が、いきなりスピーチをするように促されると、あたふたして混乱してしまう。パニック状態で、「何を話せばいいのか…」と頭を抱えることになってしまうのだ。
以下、スピーチの型(基本形)について説明したい。基本形を知った上でアレンジするといい。
冒頭部
スピーチの出だし
スピーチの出だしの部分をどうするか。これは結構大きな問題だ。
もしかすると、話し手にとっては最も緊張する場面かもしれない。聞き手が、この人はどういう人なのだろうか、何を話すのだろうか、聞く価値があるのだろうか…と注目するためだ。
※この聞き手の注目が、プレッシャーになることがある。
冒頭部では、「聞き手に対し、あいさつをする」という目的がある。
あいさつなので、落ち着いていてもいいが、明るくにこやかに声を出したい。これは、普段のあいさつと同じことだ。明るくにこやかにあいさつした方が、好感を持たれやすいためだ。
お礼・感謝が無難
具体的には、「感謝」が無難で(数も)多いだろう。
具体的には、「お招きいただきありがとうございます」、「お集まりいただきありがとうございます」、「スピーチの機会をいただき、ありがとうございます」というようなものだ。
スピーチが上手な人になると、ちょっとしたエピソードを語る人もいる。
例えば、「今日ここに来るまでに、こういうことがありまして…」というようなものだ。「暑いですね」という話をして、「(なので)上着を脱いで、スピーチさせていただきます」という小技を使う人もいる(笑)。※この場合は、「緊張して暑くなってきたので…」でもいい。
うなづいてもらう
この冒頭部で大事なのは、「聞き手に肯定してもらう」ということだ。
ここで聞き手に肯定してもらえれば、その後の話を聞いてもらえるからだ。ここで否定されると、その後の話を(外面はともかく、心の中では)聞いてもらえず、スピーチは失敗に終わる。
聞き手に肯定してもらうためには、聞き手に共感してもらわなければいけない。
感謝であれば、聞き手の共感が得られるし、聞き手が「暑い」と感じているのであれば、「暑いですね」という話をして、「上着を脱いで、スピーチさせていただきます」という小技は、(フォーマルな場以外では)実に有効になる(笑)。※普通の人は、感謝から入るのが無難だろう。
本題部
序破急でいい
冒頭を上手く乗り切れば、次に本題に入る。
よく、「起承転結」といわれるが、わたしは「序破急」の方がいいと思う。
簡潔にまとめることができるためだ。
私的な解釈では、前書き ⇒ 展開(本題部) ⇒ 結論、ということだ。
※起承転結であれば、起・承転(本題部)・結と、3つのパートにわければいい。
スピーチでは、前書きの部分は、(たとえば)事実関係に相当する。ある事実関係を指摘することで、次の「展開」につなげる。展開につながる事実関係なので、「前ふり」に相当する。
伝えたいことを述べる
展開部で、事実関係に対する自分の考えや解釈を述べる。
※ここがスピーチの醍醐味だ。
聞き手が「いいスピーチだな」と思うかどうかは、主にこの部分にかかっている。話し手が自分の知性や感性、オリジナリティを発揮できる場面だ。ここは、話し手が最も伝えたい部分になる。
したがって、よく内容を推敲すべきだ。例文やスピーチが上手な人の真似をしてみたり、普段から良質のインプットを心がけるということが、必要になるだろう。最も大事なのは、自分が伝えたいことは何か、についてよく考えることだ。このことについては、自問自答を重ねる必要がある。
考えや解釈の根拠を…
必要であれば、自分の考えや解釈の根拠を述べる。
「そう考える理由は、背景は~」ということだ。そうすることで、聞き手はより深く話し手の主張を理解・納得することができるし、理解・納得できれば「満足する」ということになる。
なかなかいいスピーチだったね、ということになるのだ。
結論部
肯定的に締めたい
結論部は、「締め」の部分だ。
ここでは、新しい情報はいらない。これまでの話をベースに、「肯定的に締める」ということになる。
もし前段で伏線があれば回収する。
たとえば、スピーチの冒頭部で、「緊張して暑くなってきましたので、上着を脱いで、スピーチさせていただきます」と言ったのであれば、「ようやく緊張が解けましたので、上着を着させていただきます」と伏線を回収すればいいだろう(笑)。
伏線云々はともかく、肯定的に締める、ということが一番大事だ。
※聞き手の後味を良くする、ということだ。
伝えることを明確に
スピーチでは、伝えたいことを明確にする必要がある。
伝えたいことが明確になれば、スピーチの8割は完成したも同然だ。
結婚式のスピーチであれば、当然お祝いの気持ちを伝える…ということになるが、お祝いの気持ちを自分なりにどのように伝えるのか…という部分まで、明確にする必要がある。感謝の気持ちであれば、その感謝の気持ちをどのように伝えるか…ということだ。
※上で述べた、「展開」の部分の話だ。
そのレベルまで明確にすれば、「前ふり」である事実をどうすればいいのか、どの事実を取り上げればいいのか…ということがおのずと決まってくる(逆算することでおのずと決まるのだ)。
※なので、ここを真っ先に考える必要がある。
そのほか
ネーミングする
伝えたいことが明確になったら、「○○スピーチ」と、スピーチにネーミングしてもいいだろう。
伝えたい内容からエッセンスを取り出して、ネーミングすればいいのだ。ネーミングすると、スピーチが自分の中ではっきりする。何のためのスピーチなのか、ということがはっきりするのだ。
ひとつにしたい
スピーチでは、伝えることは「ひとつ」でいいだろう。
プレゼンではないので、大抵の場合ひとつで事足りる。
それが3つ4つとなると、詰め込み過ぎで、内容が浅くなってしまうためだ。
結婚披露宴のスピーチであれば、(たとえば)「新郎(新婦)の知られざる素晴らしい部分を伝える」こととする。そして、そのための具体的なエピソードも1つでいい(多くても2つだ)。
スピーチのコツ|内容編 - サマリー
まとめ
今回は、スピーチのコツ(内容編)について、書いてみた。
スピーチの基本形(型)を理解しておけば、突然スピーチを依頼されても、ある程度のレベルでスピーチをすることはできるだろう。型にしたがえば、だれがやってもある程度の質になる。
ただし、伝えたいことがなければ、(型を知っていても)上手なスピーチをすることはできない。他人が共感してくれるスピーチにはならない。仏作って魂入れず、になってしまうためだ。
※スピーチでは、伝えたいことを明確にすることが最も重要だ。
締めについて補足しておくと、普通のケースでは締めはシンプルでいい。
お聞き苦しい点があったかと思いますが…のようなエクスキューズはいらない。ただし、内容が乏しい場合は、「伝えたい思いはたくさんあるのですが、上手く言葉に表現できません」というエクスキューズを入れる。そして、「本当にお世話になり、ありがとうございました」と締めればいいのだ。
今回の記事:「スピーチのコツ|内容編」