メンタルブロックという言葉を聞いたことがあるだろうか。
その言葉の意味は後段で説明するが、一般にはメンタルブロックは外した方がいい、とされる。
メンタルブロックは自然に生成(形成)されるものなのだが、それには大きなデメリットがあるためだ。なので、定期的にメンタルブロックをチェックし、余計なものがあれば、外した方がいいのかもしれない。今回は、メンタルブロックの外し方について書いてみたい。
目次
メンタルブロックとは
まずは、メンタルブロックという言葉の意味だが…
ひと言でいえば、「固定観念による意識の壁」ということだ。
「行動を抑止する・妨げる壁」、「心理的な障害・バリア」と表現してもいいだろう。「自分には無理だ…」、「自分にはできない…」、「自分には向いていないからやめよう…」などとネガティブに考え、行動にブレーキを踏むことがないだろうか。それは、自分が作り上げた壁を目の前にして、ブレーキを踏んだ…ということだ。※メンタルブロックは外した方がいい、とされる。
なぜメンタルブロックが問題なのか
ではなぜ、メンタルブロックが問題なのだろうか。
メンタルブロックは、自分の経験やまわりからのフィードバックにより(時間をかけて)形成されるそうだ。
なので、必ずしも的外れのことではなく、自分を守るために築いた防波堤のようなものである…と考えることができる。この防波堤に、どんな問題があるのだろうか。
ひとつは、壁を築くことで、守りの意識が強くなりすぎる…ということだ。
「これもダメ」、「あれもダメ」ということでどんどん壁を設置すると、前方の見通しは悪くなるし、自分が進む道や動ける範囲も限られてくる。また、複数の壁を築かない場合でも、ひとつの壁を分厚く高く大きくすることに腐心することがある。
つまり、壁を築くと自分を守ることが人生の主目的になってしまい、後ろに引きこもって小さく狭い場所で生きるしか道がなくなってしまうのだ。※行動が制約を受け、行動できなくなるのだ。
行動できない人になる
たとえば、会議で発言できない…ということがある。
その場合のメンタルブロックは、「自分にはまだ発言する資格がない」、「自分が発言するのは出過ぎたことだ」、「自分の意見には価値がない」、「まだ意見がまとまっていないので話したくない」、「不十分な発言ならしない方がマシ」などということだろうか。
会議の席にいながら、自分の目の前にドンドンドン見えない壁を築いているのだ。
このような壁を築けば築くほど、発言できなくなってしまう。ほかの行動でも同じことだ。意中の異性に告白できない理由など、挙げようと思えばいくらでも挙げることができる。
しかし、そうすればそうするほど、行動からほど遠くなってしまうのだ。この場合は、永遠に告白できないだろう。行動できなくなる…というデメリットは、かなり大きいのだ。
メンタルブロックの外し方
ここからは、メンタルブロックの外し方について考えてみたい。
まずはメタ認知を使って、自分の現状を客観的に観察&把握してみたい。
自分は行動できる方だろうか、それとも行動できない方だろうか…、自分はチャレンジする方だろうか、チャレンジしない方だろうか…、積極的な方だろうか、消極的な方だろうか…と、大きな部分(傾向)から考えてみればいいだろう。
行動できない、チャンレジしない、消極的だ…ということであれば、その原因をしばし考えてみよう。
行動やチャレンジを妨げるメンタルブロックを、すでにたくさん築いているはずだ。そして、「これはちょっと問題だな」、「攻守のバランスが悪いよね…」、「改善が必要だな…」と気づけばいいと思う。自己の気づきが、メンタルブロックを外す起点になるのだ。
自己否定しない
基本的なことだが、自己否定しないことが大事だ。
メンタルブロックで悩む人は、ただでさえ「自分には無理だ…」、「自分にはできない…」とネガティブに考えがちなのに、さらに自己否定によりネガティブを加えてどうするのか…という話だ(笑)。
メンタルブロックをたくさん抱えている…ということも、個性には違いない。メンタルブロックを外そうとかその状態を改善しようと思うのはいいが、今の自分はダメだ…と思う必要はない。
改善する余地はあっても、ダメな人ではない。問題を抱えている人ではあるが、多かれ少なかれ人は誰でも問題を抱えている…ぐらいの感覚でいいだろう。自己否定をしても、いいことはないのだ。
個別撃破する
自分の問題を把握したら、一気に変えようとする人がいる。
メンタルブロックの問題であれば、一度にメンタルブロックを取っ払おうとしてしまう。
そんなことができればいいが、現実的ではない。一度に(または短期間に)メンタルブロックを取っ払おうとしても、それができないということがわかり、一気にやる気を失くしてしまう…というのがオチだ。なので、おすすめは壁の「個別撃破」だ。
リーズナブルかどうか検証する
リーズナブルか否かを検証して、壁を個別撃破したい。
たとえば、先に述べた会議の例だと、「自分にはまだ発言する資格がない」、「自分が発言するのは出過ぎたことだ」、「自分の意見には価値がない」、「まだ意見がまとまっていないので話したくない」、「不十分な発言ならしない方がマシ」というメンタルブロックがあった。
これらを一度に取り除く、ということはむずかしい。なので、「意見がまとまっていないので話したくない」というメンタルブロックに絞ってみる。これは、完璧主義者にありがちのことだ。私も「意見がまとまっていないので発言を控えます」と会議の場で言ったことがある。
※今から思えば、突っ張ったやや恥ずかしい発言だ。
しかしこれは間違いだろう。
会議に参加するのであれば、「発言して意見を述べる」ということが大事だ。このことをよく考えれば、「意見がまとまっていなくても、今言えることを話した方がいい」となるだろう。
「まだ意見がまとまっていないのですが~」ということで、今考えていることを話すことは十分可能だ。また、質問して誰かの意見を掘り下げたり、誰かの意見に賛成することはできるだろう。
このように、個々にリーズナブルか否かを検証して、壁を個別撃破すればいい。
メンタルブロックを疑ってみる
先に書いたようにメンタルブロックは、自分の経験やまわりからのフィードバックにより(時間をかけて)形成されるが、正しいものもあれば、自己の認知の歪みから生じるものもある。
後者は「羮(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」というような話だ。
たとえば、ある会社の株を買ったあと、その会社にトラブルが発生し、大きな損をしたとしよう。投資歴が浅いほど、また、損をした金額が大きければ大きいほど、意気消沈し「自分は投資に向いていない」、「投資はやめた方がいい」という壁を作る。
これは、認知の歪みから生じる壁だ。
投資先の会社にトラブルが発生する、ということは、普通に「ある」ことだ。事前にファンダメンタル分析を行うなどで、その確率を下げることはできるが、0にすることはできない。なので、たまたま「当たる」ということはあるのだ。たまたま当たったから、「自分は投資に向いていない」とするのは誤りだ。
また、思い込みということもある。
まわりからのフィードバックを重く受け止めすぎると、「そうなんだ…」と強い思い込みになり、ことあるごとに「やっぱりな…」とそれを自分で強化することになる。こうなると、悪い意味で自分に「馴染む」ということになり、正否は関係なくなってしまうのだ。なので、「認知の歪みから生じた壁では?」、「本当に正しいのか?」と疑ってみることが必要だ。
確率を意識する
すでにできているメンタルブロックを外す、ということではないが、新たにメンタルブロックを作らないようにする、ということも大事だ。※これも広義の意味では、メンタルブロックを外すということになる。
何か嫌なことがあり、「自分を守るために壁を築こう…」と思ったら、「そういうこともある」と思った方がいい。
たとえば、あいさつをしてもあいさつを返してくれない人がいる。
少数だが、そのような人はいるのだ。あいさつを返さない人は、昔もいたし今もいるし将来もいるのだ。そんな人にぶつかるかどうかは、確率の問題だ。ぶつかったら、「当然そういうこともあるだろう」、「結局確率の問題だね」ということで淡々と処理すればいいのだ。
自分を守るために、いちいち壁を築く必要はないのだ(笑)。
まとめ
今回は、メンタルブロックの外し方について書いてみた。
今回の記事で述べたメンタルブロックの外し方は、1)自己否定しない、2)個別撃破する、3)リーズナブルかどうか検証する、4)メンタルブロックを疑ってみる、5)確率を意識する、の5つだ。
自分を変えようとして失敗する典型的なパターンがある。
それは意気込んで、一気に全部変えようとしてしまうことだ。一気に全部変えることはまず不可能だし、できたとしても少し気味が悪いし無理がある(笑)。地道な改善を積み重ねて変える方が自然だし、そのプロセスを楽しむこともできるだろう。
※プロセスを楽しめることは、ある意味ラッキーなのだ(人生が豊かになる)。
メンタルブロックを外すことに、チャレンジしてみてはどうだろうか。
今回の記事:「心の壁を壊す|メンタルブロックの外し方5つ」