少し前に「仕事ができない人の特徴7つ」という記事を書いた。
その中で述べた「仕事ができない人の特徴」は、1)整理整頓できない、2)行動できない、3)まわりの人とコミュニケーションをとらない、4)些末な仕事に注力する、5)考え方に問題がある、6)ネガティブな言葉が出る、7)生活のリズムが乱れている、の7つだ。
今回は、ピンポイントでひとつ書いてみたいと思う。
目次
- 目次
- 足りないから結果を出せない
- 足りないから結果が出ない…と思いがちになる
- 本当にそうなのか?
- 実際はそうでもない
- 将棋の例では…
- パフォーマンスが変わることも…
- リソースの影響を受ける人がいる
- 考えに柔軟性を欠く人も…
- リソースの差は結果の差にならない
- 工夫する
- まとめ
足りないから結果を出せない
ある著名な経営者が、「~が足りないから、結果を出すことができない」と口にする人は、仕事ができない人だ…という内容の発言をしている。
たとえば、「資金や人員、時間が足りないから、結果を出すことができない」という人のことだ。※この話には、かなり同意できる。
この話は、「仕事ができない人の特徴7つ」では、5番目の「考え方に問題がある」に該当する。
一見、「~が足りないから、結果を出すことができない」は正しいように見える。たとえば、10分で内容のあることを3,000字書け…といわれても無理な話だ。
その場合は、「時間が足りないので書けない」となる。物理的に無理なのだ。なので、仕事をする上で、「最低限のリソース」というものは必要になる。
足りないから結果が出ない…と思いがちになる
ただし、最低限のリソースがあるにもかかわらず、「~が足りないから、結果を出すことができない」と思ってしまうことがある。
たとえば、自分たちより規模の大きい会社を見ると、「人・モノ・金」すべてのリソースが自分たちを上回っていると感じ、自分たちにはそれらが足りないから大きな会社に勝てないのだ…という発想になる。
このことは、個人のレベルでも同じだ。
「自分にはコミュニケーション能力が足りないから、人脈を築くことができない」、「自分はルックスがイマイチだから、異性にモテない」という発想になる。
たまたま、逆境を跳ね返しているような例を目にすると、「あの人は特別だから…」、「自分とは違う、自分はああはできない」ということで安易に処理してしまう。
本当にそうなのか?
そんなときは、「本当にそうなのか?」と疑うことが必要だろう。
わたしは新卒で大企業に入ったので大企業出身になるが、(ある機会を利用し)中規模のベンチャーで働いた経験もある。両者を比べると、リソースの違いは明らかだ。
使っている機材の差で言うと、(わたしが実際に経験した例では)価格にしてかなりの差があった。ベンチャーが10万円の機材を使っているとすると、(同じ作業をするために)大企業では100~300万の機材を使っている…というイメージだ。
余談になるが、ベンチャーで働いてはじめて、大企業が(リソースの点で)いかに恵まれているか…ということに気が付いた。それまでは、そのことが当たり前だと思っていたのだ。
実際はそうでもない
これだけリソースに差があると、生産性に差がつき、明らかに結果に違いがでるのではないか…と思う。
誰だってそう思うだろう。しかし、実際はそうでもなかった。少なくともリソースの差ほど結果に差は出ないし、逆にベンチャーの方が優れている…という部分さえあったぐらいだ。
そのベンチャーには、足りない部分を工夫で補う、という精神があった。
将棋の例では…
将棋の例で考えてみよう。
将棋を指す場合のリソースは、持ち時間だろう。単純に考えれば、持ち時間が短ければ、考える時間が少なくなり指す手が雑になる。持ち時間が長ければ、じっくり考えることができるので、精度の高い「いい手」を指すことができる…となる。
この考えが正しければ、(プロのタイトル戦であれば)1日制の対局よりも、2日制の持ち時間の長い対局の方が、いい記譜(結果)が残る…ということになる。だが、そんな話は聞いたことがない。
持ち時間が短い棋戦では、秒読みに追われてポカが出やすくなる…ということはある。そのことを除けば、リソースの多寡に比例して対局者のパフォーマンスが変わる…ということはない。
パフォーマンスが変わることも…
だが、そういう場合もある。それは、初心者の場合だ。
将棋の強い人は、持ち時間(リソース)が少なくても、強さが変わることはない。持ち時間が少なくても、相変わらず強いのだ。だが初心者は、持ち時間にかなり影響を受けてしまう。初心者の場合は、秒読みに追い込まれるとパニックって、まともに考えられなくなってしまうのだ。
リソースの影響を受ける人がいる
リソースの影響を受けやすい人がいる…ということが見えてきた。
将棋で言えば、初心者の人で、ビジネスで言えば、リソースに依存している人…ということになるだろう。「リソースに依存している人」というのは、将棋の初心者と同じで、ビジネスに精通していない人、仕事を行うための最低限のリソースが多く必要な人…ということになる。
考えに柔軟性を欠く人も…
また、考えに柔軟性を欠く人もそうだ。
先に「ベンチャーが10万円の機材を使っているとすると、(同じ作業をするために)大企業では100~300万の機材を使っている…」と書いた。
問題は、数百万の最新鋭の機材を使って仕事をしていた人が、10万円の古い機材を使って(同様の)仕事をしなければいけない…となったとき、どう思うかだ。
こんな粗末な道具で、結果を出せるはずがない…と思い続ける人は、考えに柔軟性を欠くタイプの人だ。当初そういう思いに囚われるのは、ごく当たり前のことだと思うが、いつまでもそれではいけない(切り替えが必要だ)。
このタイプの人は、リソースの影響を受けやすく、仕事のできない人…ということになる。
リソースの差は結果の差にならない
リソースの差が、そのまま結果の差になるわけではない。
もちろん、「人・モノ・金」のリソースは、多い方が有利だ。
リソースの大小で、勝負が決することもあるだろう。だが、リソースの差が、そのまま結果の差になるわけではない。そのことには理由がある。
まず、リソースを利用する効率が違う…ということがある。
たとえば、大企業ではリソースを豊富に使えるため、脇が甘いところ(オーバースペック気味のところ)がある。
本来、「そこまでは必要ないよね」という部分にも、リソースを使う傾向がある。そういうところは見逃して、別のわかりやすいところで経費を絞る…という矛盾した傾向はあるのだが…これは別の話だ(笑)。
逆にベンチャーのようなところは、タイトで無駄がない。そのため余計なことができず、集中すべき部分に集中せざるを得ないような仕組みになっている。これはこれで、息苦しい部分はあるのだが(笑)。「リソースを利用する効率」という点から考えると、リソースが少ない方に軍配が上がる。
工夫する
リソースが少ない方は、よく考え工夫する。
わたしが働いたベンチャーでは、プロダクトを絞り込んで力を集中させたり、マンパワーを使わないような仕組み、誰がやってもある程度の品質が保証されるような仕組み、特定の人に依存しない仕組みを構築していた。
ベンチャーで仕事を始めたとき、大企業とのリソースの差にショックを受けたが、内情を知るにつれ、よく考えているな、練られているな…という印象を持つようになった。
リソースが少ない方は、そのことを補うために色々知恵を絞るのだ。つまり、先に述べた脇の甘さの問題(効率の問題)と今述べた工夫の問題で、リソースの差がそのまま結果の差にならないのだ。
まとめ
今回は、仕事のできない人の特徴をピンポイントで書いてみた。
「~が足りないから、結果を出すことができない」と口にする人は、仕事ができない人だし、口にしなくてもそう考える人は、仕事ができない人だ。なぜそうかと言うと、「~が足りないから、結果を出すことができない」とする人は、リソースに依存するタイプの人だからだ。
将棋の強い人は、持ち時間(リソース)が少なくても、強さが変わることはない…と書いたが、将棋の強い人を仕事のできる人に置き換えてもいいだろう。仕事のできる人は、リソースが少なくても仕事ができる。
だが、仕事のできない人は、リソースで底上げしてもらっていた分、それがなくなれば沈下する。そして、「~が足りないから、結果を出すことができない」となってしまうのだ。
また、「こんな粗末な環境で仕事ができるか」と思うタイプの人や「リソースの差が結果の差になる」と強く考える人も、仕事ができない人だ。これらのタイプの人は、リソースの差を補うために自ら行動しようとしないだろう。
その結果、リソースに恵まれた大企業では仕事がそれなりにできても、中小や個人では仕事ができない…ということになるのだ。※考え方に柔軟性を欠く人はそうなりがちだ。
今回の記事:「仕事のできない人の特徴|こんな人は仕事ができない」