不器用な生き方をやめたい

人の心理や特徴を踏まえて合理的に行動したい

損切りできない人の心理を説明する

損切りできない…ということがないだろうか。

損切りといえば、株式投資などの投資をイメージすると思うが、恋愛やビジネスでもあることだ。

将来性のないビジネスにしがみついたり、将来が見えない相手とズルズル付き合ってしまった…ということがないだろうか。そんなときの結果は、たいてい良くない。リソースを有効に使うことができなくなるためだ。だが、そのことに気付いても、損切りできない…ということがある。

今回は、損切りできない人の心理について書いてみたい。

目次

損切りはむずかしい

損切りはとてもむずかしいことだ。

見込みがなければ、傷の浅いうちにさっさと負けた方がいい。

そして、残っているリソースを見込みのあるものに使った方がいい、ということはわかる。頭で損切りをした方がいい、ということがわかっていても、実際にやるとなるとむずかしくなるのだ(笑)。

損が嫌、もし好転したら…

ではなぜ、実践の段になると、損切りがむずかしくなるのだろうか。

直感的に考えると、「損をするのがかなり嫌だ」、「損の確定はできるだけ先送りしたい」、「損を確定したあとに、状況が好転したら後悔するではないか…」、「自分の見方が正しく、相場が間違っている」などという気持ちが、損切りをむずかしくしていることがわかる。

※得と損に対する評価の違い(感じ方の違い)もあるだろう。

 

損切りできない人の心理は

損の痛みを感じる

まず、損の痛みが大きい、ということがある。

同額であれば、得する満足より損する痛みの方が大きい。1万円得したときと、1万円損したときを比べると、損をしたときの方がインパクトが大きいのだ(得と損の感じ方には、非対称性があるのだ)。

得が大きくないと行動しない

50%の確率で、1万円得する/損する、という賭けがあるとしよう。

あなたはこの賭けを受けるだろうか。たいていの人は、損のことを考え受けようとしない。だが、50%の確率で、2.25万円得する/1万円損する、という条件であれば受ける(これは、かなりの好条件になる)。それほど、損の痛みを大きく感じ、それを怖がる…ということだ。

※損の痛みを大きく感じるので、損をするのが嫌なのだ。

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損を確定したくない

また、損を確定したくない、という心理がある。

A)確実に1万円損する
B)25%の確率で4万円損するが、75%の確率で損しない

という選択肢があるとしよう。

あなたはどちらを選ぶだろうか。

たいていの人は、Bの方を選ぶ。自ら損を確定したくないという気持ちがあることと、損をチャラにする確率が75%もあるのであれば、(たとえ4万円損するリスクがあっても)そちらに賭けてみよう…と考えるためだ。

※期待値が同じなので、選択には差がない。

損を先送りしたい

損を先送りしたい、という心理もある。

嫌なことは先送りしたい…に通じる話かもしれない(笑)。

損を確定したくないから先送りする、ということになるのだが、ほかにも理由がある。

損を先送りして(相場の反転など状況の変化で)損がチャラになったり、少しでも得に変わることがある。わたしたちはこのインパクトを、とても強く感じてしまうのだ。

含み益のある株が上昇し利益が拡大するのと、含み損のある株が上昇し、含み損が減っていく過程を比較すると、同じ程度の上昇であっても、後者の方がうれしく感じる。

こういうこともあるので、先送りしたい…となる。

相場が間違っていると思う

相場が間違っているので、そのうち反転するだろう…と思う。

ファンダメンタル分析をした結果、これぐらいのレンジで株価が動くだろう…とすることがある。だが、それを超えて株価が動くことがある。そんなときは、今、目にしている「株価が正しい」とは思わずに、「今の株価は間違っている」と思う。

そして、そのうち是正されるだろう…と思うのだ。これが正しいこともあるので厄介だが(笑)、そう考えるとロスカットラインを超えても、ロスカットできなくなる。自分の分析を否定することになるためだ。自分の分析に自信があればあるほど、損切りできなくなる。

※この場合は、認知的不協和状態になることもある(自信がゆらぐ)。

保有効果に囚われる

保有効果というものがある。

自分が所有するものに対し、「手放したくない」と感じることがないだろうか。

自分が所有するものには高い価値があり、もし手放すのであれば、それを買うよりも高い価格で売りたい…と思うことがあると思う。この「手放したくない」と感じる心理現象を保有効果という。

投資であれば、自分が立てたポジションに保有効果がはたらく。調査や分析をし、よく考えてそのポジションをたてたのであれば、保有効果は強くなるだろう。そうなると、簡単に損切りしたくない…となるのだ。

※損は論外で、ある程度得しないかぎり、動きたくなくなるのだ。

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どうでもいいと思う

損が大きくなると、もはやどうでもいいと思う(笑)。

含み損に転落してしばらくは、とても苦しい。心理的に痛みが一番大きくなる時期であるためだ。数万円の損であっても、かなりダメージを受ける。損切りをした方がいいのかどうか…ということで心悩ます時期でもあり、心労が大きくなる。

だが、含み損が大きくなると、損に対する感度が落ちるため、(以前よりは)どうでもよくなる。金額が大きすぎて損切りもできないため、ある意味開き直りのようになってしまうのだ。

損切りなど(ある意味)どうでもよくなり、そのまま放置してしまうのだ。

 

損切りできない人の心理 - サマリー

まとめ

今回は、損切りできない人の心理について書いてみた。

今回の記事で書いたのは、1)損の痛みを強く感じる、2)損を確定したくない、3)損を先送りしたい、4)相場が間違っていると思う、5)保有効果に囚われる、6)どうでもいいと思う、の6つだ。

損切りがいかにむずかしいことか、ということがわかる。

損切りは人の心理に反する行動になるので、むずかしいのだ(上級者でも、心理的な影響から完全に逃れることはできない)。逆にいえば、人の心理を介在させない仕組みで投資をすれば、損切りはできる、ということになる。※機械的損切りがそれにあたる。

今回の記事:「損切りできない人の心理を説明する」