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住民税の非課税限度額とは|わかりやすく整理する

住民税には、非課税限度額というものがある。

合計所得金額(均等割)または、総所得金額等の合計金額(所得割)が、双方とも各非課税限度額以内であれば、住民税が非課税になる、という限度額のことだ。「合計所得金額と総所得金額等の合計金額の違いは?」ということになるが、とりあえずここでは流してほしい(後述する)。

今回は、この住民税が0になる限度額について書いてみたい。

目次

住民税の基礎知識

住民税のイメージ

住民税は、行政サービスにかかる費用を賄うための税金だ。

行政サービスを提供するのは、市町村および都道府県だ。なので、住民税は「市町村民税」と「都道県民税」から成る。※両者を分けて支払うわけではないので、普段意識することはないと思う。

※所得割では、市町村民税が6%、 都道県民税が4%(計10%)になる。

住民税には「所得割」と「均等割」がある

住民税には「所得割」と「均等割」というものがある。

まず、「所得割」だが、これは所得の金額に応じる割り当てのことだ。なので、所得が多くなれば、(後述する「均等割」とは異なり)当然、所得割の金額が大きくなる。

次に、「均等割」だが、税金を負担する能力のある人に対する均等な割り当てのことだ。均等な割り当てなので、基本的には「所得」は関係ない。ただし、非課税限度額を算出する場合は、所得を利用する。なので、そのラインを超える場合は、所得は関係ない、とすれば正確だろう。

住民税の計算方法は

住民税の計算式は、住民税の金額=均等割額+所得割額、となる。

均等割額は現在5千円で、所得割額は「(所得金額-所得控除)*税率(10%)-税額控除」で求めることができる。最初の「所得金額」とは、「収入金額-必要経費」のことだ。そこから「所得控除」を引くと、「課税標準額」になる。

この「課税標準額」に税率(10%)を掛けて、「税額控除」を引けば、「所得割額」を求めることができる。控除が2つあってややこしいが、所得から引くものが「所得控除」、税率を掛けた税額(計算後の税額)から引くものが「税額控除」である、と覚えておけばいいだろう。

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均等割の非課税限度額

均等割の非課税限度額から確認しよう。

均等割の非課税限度額は、前年の「合計所得金額」により示される。「〇万円*(1+扶養人数)+〇万円」という形になる。「1」は本人を表し、「扶養人数」は、控除対象配偶者と扶養親族数の合計人数のことだ。つまり、変数は「扶養人数」になる。

先の計算式で〇万円と書いたのは、自治体により金額が変わるためだ。級地制度(物価などの差を生活保護基準に反映させることを目的とした制度)による区分けに基づき金額が変わる。

級地制度による区分けは、1~3級地まである。自分が住んでいる自治体が何級地かは、「級地制度」で確認できる。ページを開き、[Ctrl]+「F」で、検索してみればいいだろう。 

シミュレーション(2級地)してみる

均等割の非課税限度額を、(金額的にも)真ん中の2級地で考えてみよう。

2級地の場合は、非課税限度額=31.5万円*(1+扶養人数)+18.9万円、となる。ただし、扶養人数が0のとき(本人のみのとき)は、末尾の18.9万円の加算はない。

扶養人数0:31.5万円   非課税限度給与収入:96.5万円
扶養人数1:81.9万円   非課税限度給与収入:146.9万円
扶養人数2:113.4万円  非課税限度給与収入:187.999万円

※扶養人数1までは、単純に給与所得控除の65万円を足せばいい。

所得割の非課税限度額

次に、所得割の非課税限度額を確認しよう。

所得割の非課税限度額は、前年の「総所得金額等」により示される。これは、「35万*(1+扶養人数)+32万円」と決まっている。均等割のように、級地による金額の差はない。

※均等割と同様に、本人のみのときは、末尾の32万円の加算はない。

均等割と同様に、シミュレーションしてみよう。

扶養人数0:35万円   非課税限度給与収入:100万円
扶養人数1:102万円  非課税限度給与収入:170.3999万円
扶養人数2:137万円  非課税限度給与収入:221.5999万円

※本人のみの場合は、単純に給与所得控除の65万円を足せばいい。

合計所得金額と総所得金額等の違い

均等割は「合計所得金額」を用い、所得割は「総所得金額等」を用いている。

両者の違いだが、「合計所得金額」⇒(損失の繰越控除)⇒「総所得金額等」という形になるので、「合計所得金額」をビフォー、「総所得金額等」をアフターとしていいだろう。

損失の繰越控除がなければ、両者は同額になる。損失の繰越控除があれば、ビフォーの「合計所得金額」の方が大きくなるはずだ。ここで言う「損失」とは、純・雑損失のことだ。

16歳未満の子供の取り扱い

16歳未満の子供(年少扶養親族)は、扶養控除の対象外となっている。

なので、住民税には関係ないだろう、と思ってしまうが、住民税の非課税限度額を算定する場合に、関係してくる。均等割も所得割も「〇万円*(1+扶養人数)+〇万円」という計算式だが、16歳未満の子供をこの扶養人数に入れることができるのだ

所得割の場合、1人入れるだけで、67万円も限度額がアップする。なので、申告書に16歳未満の扶養親族を書くかどうかは問題で、それにより住民税がかかる・かからないが決まる場合もあるのだ。共働きの場合、必ずしも「子供は夫の扶養に入れておけばいいや…」とはならない。

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まとめ

今回は、住民税の非課税限度額について書いてみた。

もし住民税を0にする働き方をしたい、ということであれば、均等割を0にする働き方、ということになる。扶養人数0(本人のみ)の場合は、給与収入を96.5万円以下にする、扶養人数1の場合は、給与収入を146.9万円以下にするように働く、ということだ(2級地の場合)。

16歳未満の子供がいる場合は、扶養控除の対象外なので関係ない…と思ってはいけない。上で述べたように関係は大ありだ。共働きの場合は、夫婦どちらの扶養に入れるのか検討する必要があるだろう。※年少扶養親族は、「扶養控除等申告書」の「住民税に関する事項」欄に記入する。

今回の記事:「住民税の非課税限度額とは|わかりやすく整理する」