スピーチやプレゼンなどで、緊張してあがることがあると思う。
試験であがる、スポーツの試合であがる、というケースもよくある。
そんなときは、あがって実力を発揮できなかった…となりがちだ。わたしも、大会前のトライアルで緊張し、ほとんど実力を発揮することができずメンバーから外される…という苦い経験をしたことがある。実は、本番より(不安が大きくなる)トライアルの方が緊張しあがるものなのだ。
今回は、緊張によるあがりの原因について書いてみたい。
目次
あがるとは
あがるとは、過度の緊張状態になることを指す。
その結果、顔が赤くなったり、逆に青ざめたり、表情が強張ったり、引きつったり、震えたり(手や口元+声が震えたり膝がガクガクしたり)、
頭が真っ白になったり、逆にわけがわからずスパークしたり(何かが閾値を超えた感覚になったり)…という状態になる。のどが渇く、冷や汗をかく、体がジワッと熱くなる、ということもある。
そして、状態にかかわらず、パフォーマンスが低下する、ということになる。あがってしまい、実力を発揮できなかった…ということは、勉強やスポーツ、プレゼンなどでもよくあることだ。
※英語では、Stage Fright(ステージ・フライト)という。
体で何が起こるのか
あがるとき、体の内部でどういう変化が起こるのだろうか。
わかりやすいのは、心拍数の変化だ。
緊張時は心拍数が多くなり変動も多くなる。そのため、心臓の鼓動を感じやすくなる。心拍数が増えるので、血圧が高くなる(変動も大きくなる)。※体温の上昇もあるのだろうと思う。
また、呼吸回数も多くなるようだ(呼吸が浅くなるのだろう)。
あがりの原因
失敗に対する不安
あがりの原因だが、まず、失敗に対する不安がある。
失敗は許されないが、失敗するのではないか…、結果が悪かったらどうしよう、取り返しがつかなくなるのでは…、失敗するのが怖い…と思うと、緊張が増す。失敗は許されない…と思えば思うほど緊張が高まり、あがりにつながる。
細長い板状の鉄板の上を歩くことを想像してみよう。
地面の上に置けば難なく渡れる板でも、高いビルの屋上で(隣接したビルへ)かけた板であれば、渡れない。普通の人ではとても渡れない。失敗に対する不安が大きくなりすぎるためだ。
不安が高まり、あがったときと同じ状態(体が強張る、足が震える)になる。
他者への過剰な意識
他者への意識によりあがる、ということもある。
たとえば、幼稚園児の前で話をしてもあがることはない。
園児の視線を負担に感じることはないし、園児からの評価が気になることもないからだ。だが、園児の後ろに保護者が立っているとどうだろうか。この場合は園児だけの場合より、あがりやすくなる。
保護者の視線が負担になったり、保護者の自分に対する評価が気になるためだ。失敗したら、嘲笑されるのではないか、自分に対する評価が落ちるのではないか…などと思い怖くなる。
自分を値踏みする視線を受けること自体が、あがりにつながったりする。
受け止め方は技量で変わる
ある社会心理学者が行った実験がある。
まず、車の運転手の集団を、A)ベテランの運転手、B)経験の浅い運転手、に分けた。そして、大勢の人が見守る状況でマニュアル車(運転手がギアチェンジを手動で行う)の運転をさせた。
その結果だが、Aのベテランの運転手たちは、見られることが適度なストレスになったのか、ギアチェンジのスピードが早くなりかつ正確になった。逆に、Bの経験の浅い運転手たちは、見られることが嫌なストレスになったのか、ギアチェンジが遅くなりかつ不正確になってしまった。
Aの運転手は見られることで気持ちが引き締まり、Bの運転手はあがってしまった。
勝手が違う…という感覚
いつもと勝手が違う…という感覚もあがりにつながる。
初めての場所で行動するときや初対面の人の前で何かするときは緊張する。初対面の人と話すときは比較的緊張する…という人も多いと思う。
たとえば、同じ場所でプレゼンをしても、聞く人が変われば緊張してあがる、ということがある。その場合は、微妙な雰囲気の違いを察知することで緊張が増しあがる…ということだろう。
勝手の違いが不安になりそれが自分の中で育つ、ということだろう。
当人の性格的なこと
当人の性格的なことが原因であがることがある。
人前に立つと、多くの視線を感じる。「この人は何を言うのだろう」という期待も感じる。
時には、「失敗しろ」という悪意を感じることがあるかもしれない(笑)。敏感すぎる人は、こういう刺激を認識するのが得意だし、自分で増幅するのも得意だ。その結果、緊張の水準が閾値を超え、過度な緊張につながる
出典:敏感すぎる人の心理と特徴7つ - 敏感すぎて緊張しやすい?
たとえば、敏感すぎる人だ。このタイプの人は、外部からの刺激を敏感にキャッチする。
そのため、他者からの視線を受けるだけでも負担に感じることがある。「大勢の人に注目される」と考えるだけで、そのことによる刺激(および自分の反応)を想像し、不安になったりする。
※怖くなり、ビクビクしてしまう。
外部からどんどん刺激を感じるため、そちらの方に意識を奪われ、自分のコントロールを失い、頭が真っ白になったり、何が何だかわからなくなり、スパークしたりする…ということになる。
自己卑下的な意識
自己卑下的な意識は、あがりを招く可能性がある。
自分を卑下する人は、自尊心が低く自分に自信がない。そのため、他人の承認を求める、という特徴がある。
自信がなく「失敗するだろうな…」と思っていれば、失敗する可能性が高くなる。スポーツでは実力が同程度でも、「わたし失敗しないので…」と思っている人と対戦すれば、まず負ける。
※自信満々の相手に対し、普段の実力を出すことができず、みじめに負ける。そのことがさらに自分を卑下することの燃料になり(自己卑下を後押しする)、悪循環が生まれてしまうのだ。
他人に承認を求めるので、自分がどう見られるのか…に意識を奪われる。そうすると、他者への意識が強くなり、自分をうまく統制することができなくなりあがる…ということになるのだ。
緊張によるあがりの原因 - サマリー
まとめ
今回は、緊張によるあがりの原因について書いてみた。
今回の記事で書いたあがりの原因は、1)失敗に対する不安、2)他者への過剰な意識、3)勝手が違う…という感覚、4)当人の性格的なこと(自己卑下的な意識など)、の4つだ。
このほかにも、責任感が原因になるともされる。
他人の期待を裏切ってはいけない、仲間のためにも勝たなくてはいけない…と思うと、緊張から体がかたくなりパフォーマンスが低下することがある。これは、最初の「失敗に対する不安」とリンクする話だ。失敗してはいけない…という意識が強くなりすぎるため、心が不安定になるのだ。
今回の記事:「緊張によるあがりの原因4つ」