スピーチの丸暗記が危ない理由と代替案
あなたは、スピーチを丸暗記する方だろうか。
そうするという人がいれば、丸暗記はしない…という人もいるだろう。
前者は、真面目で不安を感じやすいタイプ、とすることができるかもしれない。どちらがいいのか、というのはむずかしい問題だ。
一般には、スピーチの内容は丸暗記しない方がいい、とされるが、真面目で不安を感じやすいタイプの人がそうすると、自信を持ってスピーチに臨むことができなくなる可能性もあるだろう。
だが、単なる丸暗記よりはいい方法があると思う。丸暗記には大きめのリスクがあるためだ。今回は、スピーチの丸暗記が危ない理由と代替案について書いてみたい。
目次
丸暗記することがある
スピーチやプレゼンで話す内容を丸暗記することがある。
その理由は簡単で、丸暗記しないと不安になるのだ。丸暗記して、何度も練習を繰り返すことで、ようやく安心できる、ということがある。見出しだけ覚える、という方法もあるが、それでは不安になる。見出しは出てきても、それに続く言葉が出てこないのでは…と不安に感じるのだ。
スピーチの丸暗記にはリスクがある
逆に緊張してしまう
丸暗記のリスクだが、逆に本番で緊張してしまう…ということがある。
せっかく丸暗記したのだから、間違えてはいけない、間違えるのであれば丸暗記した意味がない…と感じるためだろうか。とにかく、「間違えてはいけない」というプレッシャーを強く自分にかけてしまうので、本番で過度に緊張してしまうのだ。
※丸暗記をすることは、自分に強くプレッシャーをかけることになる。
逆に、「まぁ、多少は間違ってもいいだろう」、「概ね言いたいことが伝われば、詰まってもかんでもとばしてもいいよね…」と失敗を許容していれば、それほど緊張はしないものだ。
頭が真っ白になりやすい
丸暗記に頼ると、頭が真っ白になりやすくなる。
ちょっとした言い間違いをしたり、かんだりとばしたりすると、猛烈に焦るのだ。暗記を再現する、という目的を上手く達成できない…と焦ってしまうのだ。
丸暗記をして練習を重ねる人は、真面目な人で完璧主義を採用している可能性がある。こういうタイプの人は、小さな間違いでも動揺してしまう。その動揺が焦りにつながり、蒼白になるのだ。
※小さな間違いでも、蟻の一穴になりやすい。
気持ちが伝わらないものに…
丸暗記に頼ると、気持ちが伝わらないスピーチやプレゼンになりがちだ。
その理由だが、1)必要以上に緊張してしまうため、2)記憶の再現に主なリソースを使うため、だろう。
2については、棒読みをする演者を考えるとわかりやすい。
以前、役者ではない有名人がドラマで演じるシーンを見たことがあるが、典型的な棒読みだった。あれでは何も伝わってこない。記憶の再現だけにリソースを使うとこうなりがちだ。
丸暗記のかわりに…
伝えることを優先する
丸暗記の再現ではなく、「伝えることを優先する」と考えたい。
スピーチやプレゼンでは、自分の思いを伝えることを最優先とする、と考える。なので、詰まるとかかむとか言いよどむ、のような小さな失敗はもちろんだが、話を飛ばしたり、話が前後したとしても、伝わればいいとする。
失敗はOK、伝わらないような大きな失敗さえしなければいい、と考えればいい。
あらすじを記憶する
あらすじは「粗筋」と書くが、細かめではなく粗めに筋を覚えておけばいい。
話の筋道をストーリーとして覚えておけばいいだろう。紙芝居として映像化しておく、というのもいい方法だ。その際は、今の絵と次の絵が無理なく理屈でつながるようにしたい。時系列でつなげてもいいし、因果関係でつなげてもいい。事実 ⇒ 感想でもいいし、大 ⇒ 中 ⇒ 小でもいい。
この絵の次はこの絵がくる、と理屈で理解できるようにしておけば覚えやすくなる。
結論から逆算して決める
あらすじを決めるときは、結論から逆算して決めればいい。
最後をこうする、と決めれば、(サッカーにたとえれば)最後のゴールするイメージが決まる、ということになる。あとは、どうやってそこまでボールを運ぶのか、という問題に専念すればいい。
ブログの記事を書くときも同様だ。
この記事の場合は、スピーチの丸暗記には問題があるのではないか ⇒ 丸暗記よりいい方法がある、というのが結論だ。そうすると、丸暗記の問題点と代替策、という内容が決まる。
超丸暗記をする
普通の丸暗記のかわりに、超丸暗記をする、という方法もある。
TEDスピーカーのひとりで、350万View数以上の人気スピーチを行った、ドクター・ジル・ボルトテイラーも、18分のスピーチに向けて200回ものリハーサルを行ったそうです。18分で200回。スピーチが長くなれば、リハーサルの回数も増やす必要があるでしょう。あえて単純計算するならば、1分につき、約11回の練習をする計算になります。もしみなさんが、3分間のスピーチをするならば、33回の練習です。1時間のスピーチなら、660回です
出典:優れたプレゼンテーターは想像を絶するほどの練習をこなす
超丸暗記というのは、わたしが作った造語だ。単なる丸暗記を超えるので超丸暗記とした。
引用にあるように、とにかく練習を繰り返す、ということだ。練習をうんざりするほど繰り返すことで、身体が言葉を覚え込む。そうすると、単純な記憶の再現にリソースを使う必要がなくなるため、余裕が生まれ「伝えること」にリソースを使うことができるようになる、ということだ。
丸暗記が危ない理由と代替案 - サマリー
まとめ
今回は、スピーチの丸暗記が危ない理由と代替案について書いてみた。
危ない理由は、1)逆に本番で緊張してしまう、2)頭が真っ白になりやすい、3) 気持ちが伝わらないものになりやすい、の3つだ。代替案は、1)伝えることを優先する(あらかじめ失敗を容認する)、2)あらすじを理屈が伴うイメージで記憶する、3)超丸暗記をする、の3つだ。
単純な丸暗記でスピーチを失敗してしまった…という人は、代替案を試してみてほしい。
丸暗記をしないと自信を持ってスピーチに臨むことができない、という人は、超丸暗記をすればいいと思う。それをしながらも、「伝えることを優先し失敗は容認する」という認知を持てば、失敗する余地がなくなるだろう。したがって、おのずとスピーチは成功することになる。
今回の記事:「スピーチの丸暗記が危ない理由と代替案」