不器用な生き方をやめたい

人の心理や特徴を踏まえて合理的に行動したい

SWOT分析で個人の生き方の戦略を策定する

わたしがSWOTを初めて知ったのは、ケーススタディに使うフレームワークとして学んだ時だった。

そのとき、強み(S)と弱み(W)はわかるが、機会(O)と脅威(T)の分析の仕方がよくわからないな…と思ったことを覚えている。

わたしは、この分析を個人のより良い判断や意思決定に使えると考えている。

今回は、(個人に役立つ)SWOT分析について書いてみたい。

目次

 

SWOT 分析の目的は

端的に言えば、「己を知る」、「己の活かし方を知る」ことだ。

わたしたちは、己を知ることで、人生においてより良い判断や意思決定ができるようになる。

格言に「己を知りうる者は賢者なり」、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」、というものがある。自分自身のことをよく知らなければ、より良い判断や意思決定(自分にとって最善の決定)はできないものなのだ。

だから、SWOT 分析で自分自身を分析することには意義がある。

 

 

 

己を知らなければ失敗する

自分の特長や特徴にマッチしない選択をすると、大抵上手くいかない。

たとえば、あがり症でコミュ力の低い人が、スピーチやプレゼンをしても上手く行かない。

※このタイプの人にそれらの機会は、後に述べる機会(O)ではない。

自分ひとりの時間やスペースを大事にする人が、他人とルームシェアしても上手くいかない。自律性を重んじ、ひとりでコツコツ積み重ねることが好きな人が、チームで仕事をしてもなかなか上手くいかない。

自分の特長や特徴と選択した行動にギャップがあれば、当然のように失敗するのだ。

まずは「強み」を分析する

SWOTの「S」は、Strength のことで「強み」ということだ。

自分にとって最善の決定をしたり、決断を下すためには、自分の「強み」を知る必要がある。自分の「強み」が活きる決定や決断であれば、(何であろうと)成功する確率が高くなるからだ。

誰にでも、「強みらしきもの」があるはずだ。

たとえば、「まだ若くて体力がある」、「若くはないが経験と知恵がある」、「人と話すことが苦にならない」、「書くことが好きである」、「ある程度の人脈がある」、「勘がいい」、「行動力がある」、「ものごとを論理的に考えることができる」、「読書が好きである」など、いろいろな切り口で<強み>を集めるといい。

強みは気付きにくい

自分の<強み>というのは、自分では気付きにくい。

<強み>というのは、ポジティブなことであるためだ(人はポジティブなことより、ネガティブなことに強く反応する)。

さらに、客観的に評価して<強み>であっても、自分では<普通のこと>であると認識している。

だから、特に<強み>だと思わずに、スルーしていることが多い。自分の能力をメタ認知で評価することができれば、わかるのだが…。

ゆえに、自分の特徴を挙げてみる、という感覚でリストアップしてみよう。

つぎに「弱み」を分析する

SWOTの「W」は、Weakness のことで「弱み」ということだ。

弱みは強みに比べると、挙げやすいだろう。

たとえば、「協調性がない」、「人にあまり好かれない」、「よい人間関係を築けない」、「自分の考えを上手く表現することができない」、「コミュニケーション能力が低い」、「感情的になりやすい」、「考える時間が長く行動が遅い」、「決めたことを続けることができない」、「同じミスを繰り返す」、「上達するまでに人一倍時間がかかる」、「ネガティブになりやすい」、「人脈がない」など、いろいろあるだろう。

強みよりはどんどん出てくると思うが(笑)、それが当たり前で気に病むことはない。

機会の分析とは

SWOTの「O」は、Opportunity のことで「機会」ということだ。

機会というとわかりにくいが、要は自分にとっての<チャンス>ということだ。

さて、自分にとってどんなチャンスがあるだろうか。自分にとって<追い風>とは何か、という視点で考えるとわかりやすい。

たとえば、話すことが好きで人に伝えたいことがある人にとっては、動画配信の一般化が追い風になるだろう。わたしは投資系の動画をよくみるが、中にはテレビに出ている専門家より、内容のあることを話している人がいる。この種の人は、動画配信の一般化が追い風になり、知名度を高め影響力を持つことができるようになる。

この<機会>を考えるときは、自分の<強み>から何が追い風になるのか、と考える。

そして、その追い風に乗るにはどうすればいいのか、と考える。

脅威の分析とは

SWOTの「T」は、Threat のことで「脅威」ということだ。

機会の「追い風」に対し、脅威は「向かい風」ということになる。

たとえば、「会議で発言しない人には価値がない」という価値観が広がりつつあるのであれば、そういうタイプの人には逆風になる。終身雇用が崩れつつあるのであれば、終身雇用を前提としてライフプランを立てる人には、その変化が脅威になる。

SWOTのTとはやや意味合いが違うが、誰かの自分に対するオファーというのも、脅威になることがある。(受けると)自分の弱みが露呈してしまうようなオファーは、脅威になるのだ。

この<脅威>を考えるときは、自分の<弱み>から何が向かい風になるのか、と考える。

そして、その向かい風を受け流すにはどうすればいいのか、と考える。

個々の分析だけでは…

SWOTの各要素の分析だけでは不十分である。

SWOT分析をするときは、各要素の分析だけやって「終了」となりがちだ。

これが、やりがちな間違いだ。この分析をすることは、自分にとってより良い判断や意思決定をするための必要条件にすぎないのだ。とはいえ、ベースになる分析がしっかりできていないと先に進めないので、しっかりやっておきたい。

 

 

 

ポアンカレは「人が事実を用いて科学を作るのは、石を用いて家を造るようなものである」
「事実の集積が科学でないことは、石の集積が家でないのと同様である」と述べている。

分析を行った=石が集まった、ということであり、そこから石の組み立て作業が必要になる。

この分析の結果をどう活用するかが、とても重要になってくるのだ。

※ここから先は、たとえば「クロス分析」に進む。

まとめ

今回は、(個人に役立つ)SWOT分析について書いてみた。

SWOT分析の目的は己を知ることであり、より良い判断や意思決定に繋がるものだ。

※「己を知りうる者は賢者なり」、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」

強みは案外自分では気付きにくいので、人に指摘してもらったり、誰かにほめられたことを思い出したり、弱みから考えるといい。強みと弱みは表裏一体なので、弱みをひっくり返して考える…というアプローチは有効だ。

機会は「追い風」であり、脅威は「向かい風」と考えるといい。

順風にしろ逆風にしろ、自分でコントロールすることはできないので、いずれも外部要因になる。

SWOTの各要素の分析だけでは不十分だ。

ここで終わりにせずに、(分析結果を)組み立てる作業に移行する必要がある。そうすれば、ビジネスのみならず個人レベルでも、より良い判断や意思決定に繋げることができるだろう。

その組み立てる作業を通じて、これからの人生の戦略を策定すればいい。

今回の記事:「SWOT 分析で個人の生き方の戦略を策定する」