わたしたちは、自分の欠点に目を向けがちだ。
そうすることで、自己評価を下げ、自信を失うことがある。
自分の思考により(勝手に)自己評価を下げたり、自信を失い萎縮することは、つまらないことだ。では、自分の欠点ばかり目についてしまう場合、わたしたちはどうすればいいのだろうか。
自分の欠点をめぐる思考を上手く取り扱えば、生きやすくなるだろう。
目次
欠点が目に付くのは
自分の欠点が目に付くのは、ある意味当たり前のことだ。
わたしたちは、他者との比較の中で生きているので、あの人と比べて自分はこれがダメ、あれがダメ、と思うことがある。自分の比較対象になる人は、「自分よりやや優れている」と感じる人なので、比較することで自分の欠点や至らない点を強く意識することになる。
※他者と比較することで、自分の立ち位置を確認する(他者をベンチマークとして利用する)、「自分を他人より優れていると感じたい」という思いがあるので、どうしても自分を他人と比べてしまう。
また、能力の高い人にもみられる傾向だが、普段から自分を過小評価する。
自分が達成した結果を「自分ができるのだから大したことはない」、「誰でもできることである」と評価し、自分の成果に対し厳しい目を向けることがある。これは謙遜ではない。他者からみれば「上出来だ」と思うことでも、自己の達成基準が高いので、自分は納得しないのだ。
その結果、自分の欠点ばかりが非対称的に目につきやすくなる。
自分の弱みを理解する
まずは、自分の欠点を理解したい。
ある程度生きていれば、誰しも自分の欠点を理解しているはずだ。
以前、気の置けない知り合いに「自分の欠点は~だ」と話したことがある。そうするとその人は、「よくわかっているじゃん」「お前が自分自身の欠点を理解していることに驚いた」という反応だった。「欠点を自分で理解しているのであれば直せよ」ということだったのかもしれない(笑)。
いずれにしても、サンプルがひとりではあるが、その人の反応から、他者からみても「やはり自分の欠点は~だ」ということになり、自分の欠点に対する理解がより深まったことがある。
あなたも、自分の欠点をよく又はなんとなくでも理解しているはずだ。
欠点を長所で打ち消す?
欠点を長所で打ち消せばいい、という考え方がある。
この考え方を単純に適用しても、自分の欠点に対する意識はどうにもならない。
有効なのは、「欠点の裏にある長所を見い出し、その長所を活用する」意識を持つことだ。
たとえば、内向的で人と打ち解けることができないことが欠点だとしよう。その裏にある長所とは、ひとりで黙々と(孤独を感じることなく)作業できたり、思考の海に深く潜ることができたり、人並み以上の感性や創造性、集中力を持つ、ということだ。
※もちろん、すべての人がそうではないが、そのような可能性が結構ある、ということだ。普通の人が外向きに使うリソースを、内向的な人は内向きに全振りすることができるためだ。
その結果、創造的に問題を解決できたり、コツコツ系の偉業を達成できたりする。
直せる欠点は直せばいい
もちろん、直せる欠点は直せばいい。
たとえば、ルックスに欠点がある、ということであれば…
口元であれば、歯列矯正や歯のホワイトニングをする、という方法があるし、眉毛の形を整えるだけでも、ルックスの改善につながる。また、自分に合う髪型やメイクを研究しプロの技や知恵を借りれば、ルックスにおける欠点は小さくなるだろう。
内面における欠点を直すのはむずかしいが、細分化すれば直せるものもある。
※問題を細分化し、問題から派生する行動を変えることから始めるといい。
自分の欠点を管理する
その後は、欠点を上手く管理したい。
管理の意味だが、「自分の欠点が(悪い意味で)活きる場面を作らない」ということだ。
たとえば、ボクサーには「自分の距離」というものがある。相手の攻撃を外しやすく、自分の攻撃が当たる距離(+角度)のことだが、両者の力量に大差がなければ、この距離をより適切に管理できる方が勝利する。ボクサーの場合は距離だが、この管理という考え方が大事なのだ。
私生活やビジネスでも同様で、自分の欠点が輝かないように適切に管理したい。
まず、自分の欠点が活きる場面に臨むことは極力やめたい。
たとえば、口下手で人前で話すと極度に緊張する、という人は、人前で話す機会を作る必要はない。挨拶等で、どうしてもそうしなければいけない、という場合は仕方がない。その場合は、簡単に、短く終わらせることを考える(限定することで管理する)。自分で選択できるのであれば、そのような機会はパスする。
婚活において、「自分のスペック(身長、学歴など)が欠点だ」ということであれば、
スペックが重視される場で勝負しない。(最初の段階で)スペックで弾かれるような場で勝負しても勝ち目はない。ではどこで勝負すればいいのか、といえば、リアルだ。職場とか、趣味の集まりとか、リアルな場で相手と面と向かえる場面で勝負すればいいのだ。
欠点を管理することで、欠点が輝かないように封じ込めればいいのだ。
欠点は欠点でいい
欠点は欠点でいいじゃない、と思う。
欠点を自己に包摂する努力は、人生に深みを与えるプロセスになる。
そのプロセスの中には、欠点を改善する努力、長所で補おうとする努力、欠点を管理する努力、さらには、思い悩む、道理を悟る、執着をすてる、あきらめる、受け入れる、折り合いを付ける、などの思考上の行為が含まれる。
また、改善した方がいいように見えて、改善しない方がいい欠点もある。
欠点があることで、長所が伸びている、というケースと、欠点を改善するよりは、欠点を管理する方がベターである、というケースだ。欠点を改善しようとしても、かなりのコストがかかり、なかなか上手くいかないことが多い。そうであれば、管理するスキルを上げた方がベターである、ということだ。
ゆえに、「欠点を改善する方がいいのかどうか」は、難しい問題になることがある。
まとめ
人は自分の欠点に目を向けることで、自ら自己評価を下げ、自信を失うことがある。
自分の負の思考だけで、萎縮して本来のちからを発揮できないとすれば、本当につまらないことだ。では、自分の欠点ばかり目についてしまう場合、わたしたちはどうすればいいのか。
今回の記事で強調したいのは、「欠点を管理することで包摂する」という考え方だ。
そのために、まず自分の欠点を理解する。自分である程度理解しているはずだが、他者に指摘してもらってもいい。そして、ある種の欠点(長所に影響を与えず独立しており、直せるもの)であれば速やかに直せばいい。その後は、欠点を管理する。さらには、欠点を上手く管理することで、包摂すればいい。自分の中で折り合いをつければいいのだ。
自分の欠点をめぐる思考を上手く取り扱えば、生きやすくなるはずだ。