上手に人の話を聞きたい、というニーズがあると思う。
話の聞き方が、コミュニケーションの成否に大きくかかわってくるためだ。
上手に人の話を聞くことは、案外むずかしい。仮に、その聞き方を(知識として)知っていたとしても、実践するのはむずかしい。それは、目先の我欲とのせめぎ合いが発生するためだ。
今回は、「上手な話の聞き方」について書いてみたい。
目次
嫌われる会話行動を
上手に話を聞こうと思えば、人に嫌われる会話行動をしない、ということから始めた方がいい。
会話におけるマイナスを潰す、地雷を回避する、というアプローチだ。
※ダウンサイドをカットする、と考えてもいい。
このアプローチから入る理由だが、1)マイナスのことは比較的はっきりしている、2)プラスが人に与える影響よりも、マイナスが人に与える影響の方がかなり大きい、ということだ。
たとえば、相手が自分に対し好ましい態度をとったからといって、いっぺんに好きになる、ということはあまりない。だが、マイナスの態度をとれば、いっぺんに嫌いになることがある。
「~する」よりも、「~しない」の方が実践しやすい、ということもある。
嫌われる会話行動は
目線と表情
目線と表情に関する「嫌われる聞き方」は、
相手と目を合わせない、表情をほとんど変えない(無表情である)、ということだ。
こちらが話したとき、相手が目を合わさないと、「この人は自分と話したくないのかな」と思う。
また、相手が無表情であってもそう思う。どちらの場合も、「こちらに好意を持っていないのではないか」、「こちらの言うことを聞きたくない、もしくは否定したいのでは…」と感じるのだ。
なので、これらの好ましくない行動を避ける必要がある。
死んだ魚のような
以前、死んだ魚のような表情(無表情)をした女性を見たことがある。
以前、書店に併設されたカフェにいた時、隣にカップルが座っていた。その時の女性の顔がまさしくそんな「冷淡な顔」だった(笑)。別れ話でもしているのか…と思ったら、男性が女性に告白するところだった。その男性は、全くその女性のボディランゲージを読めていなかったのだ
出典:好意のサインを見落とすな!会話中にわかる脈ありの態度4つ
その女性は、男性の話を聞きたくない、否定したい…と思っていたはずだ。
事実、「NO」と言い否定したのだが、そういう気持ちになるとそういう表情になる。
もともと表情が乏しい、笑顔になれない、という人もいる。また、シャイだから相手の目を見ることができない、表情が強張る、という人もいるだろう。こういうタイプの人は、地雷を踏む状態になるので、上手に話を聞くことができない。意識して改善に取り組む必要があるだろう。
腕組みなどをする
相手が話しているときに、腕組み、足組みはしない方がいいだろう。
腕組みが相手に与える印象は、「こちらを警戒している」、「こちらの話す態度や言うことが気に入らない」、「偉そう、上から目線だ」ということになる。ネガティブな印象しかないのだ。
相手の話をそのまま受け入れることができず、自分でよく考えたい、というときも腕組みをしたくなるが、相手にポジティブな印象を与えたい場合は、避けた方がいいだろう(戦略的に使う方法はあるが)。
腕組みが癖になっている人は、注意した方がいい。
メモを取らない
話を聞くときにメモを取った方がいい、という状況がある。
具体的には、(自分より詳しい人に)何かを教えてもらう、という状況になる。
教える方には、何度も同じことを言いたくない、という気持ちがある。だから、「メモを取ってほしい」と思う。記憶できる簡単なことであればいいが、複雑なことになるとそういう気持ちが強くなる。
そこで、聞き手が話し手の期待に反しメモを取らないと、「せっかく大事な話をしているのにな…」、「大事な話だと思っていないのではないか」、と思い、やや気分を害することになる。
相づちを打たない
相手の話に対し相づちを打たないと、「こちらの話を聞いているのか?」となる。
昔の話だが、相手の話(説明)に対し、別のことを考えていて相づちを打たなかったことがある。
そのとき相手は、(話しながら)こちらを探るような目線を送ってきたが、「わたしの話を聞いているのか?」ということだったと思う。その答えは、「すみません、聞いていませんでした」だ。
自分が話しているとき相手が相づちを打たないと、不安になったり、「もう話をやめた方がいいのではないか…」と思ったりもする。なので、「相づちを打たない」という会話行動はNGになる。
興味を持たない
上手に話を聞こうと思えば、「話に興味を持たない」はNGだ。
相手の話に興味を持たなければ、「聞こう」という気持ちがなくなってしまう。
そうなると、「早く話が終わらないかな~」と思い、無反応になったり、別のことを考えだしたり、相づちを打っても、「とりあえず打っておけばいい」といういいかげんな相づちになる。
自分本位になる
抽象的に言うと、会話における自分本位の言動が嫌われる会話行動になる。
ここまで書いたことはすべて、その行動に含まれる。
さらには、相手の話を半ば無視する(反応しない)、適切に受けない、話の腰を折る、話題を強引に変える、相手の話題をスティールして自分の話に持っていく、という行動も自分本位の行動だ。
話が終わっていないのに、被せてくる人もいる。被せられて話をやめる人もいるが、被せを無視して最後まで話す人もいる。このバトルは面白いが、被せることは自分本位の行動で好ましくない。
上手な話の聞き方とは
まとめ
今回は、上手な話の聞き方について書いてみた。
相手の話を上手に聞くためには、嫌われる会話行動をしない、というアプローチで入ればいい。
嫌われる会話行動とは、1)目を合わせない・無表情である、2)腕組みをする、3)(メモが必要な会話で)メモを取らない、4)相づちを打たない、5)相手の話に興味を持たない、6)自分本位になる、の6つだ。
冒頭で書いたように、人の話を上手に聞くことはむずかしい。
目先の我欲を優先して自分本位になるためだ。
その落とし穴を回避するためには、1)しないことを決めて守る、2)目先の我欲を求めることが実は損に繋がると知る、ことだろう。まずは、すべきではないことをしない、を実践したい。
今回の記事:「上手な話の聞き方とは…嫌われる会話行動を潰す」