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なぜ映画館に学生の割引があるのか?

同じビジネスでも、ジャンルにより、「学生割引」がある場合とない場合がある。このことについては、それが当たり前として子供のころから育ってきたので、特に考えたり疑問に思ったり…ということはないはずだ。今回は、あえてこの問題について考えてみたい。

 割引の有無には合理的な理由がある 

シネコンやテーマパークなど娯楽の消費については、学生割引というものがある。

一方で、カフェやレストランなど食の消費については、学生割引を設定しているお店はほとんどない(あるとすれば、後述の割引客が普通の客を駆逐する…といった問題がないケースだ)。この差はどこからくるのだろうか?結果的に、学生にやさしいビジネスと厳しい(?)ビジネスがあるのはなぜか?そこには何か、合理的な理由があるはずだ。

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 映画館の学生割引

映画館の大人の料金が1800円である場合、学生には以下のような割引が適用される。

小学生 1000円
中学生 1000円
高校生 1500円
大学生 1500円

出典:ウィキペディア

 そして、昨年の平均入場料金は1285円だそうだ。

日本映画製作者連盟の発表によると、2014年の平均入場料金は1285円です(2013年は1246円、2012年は1258円、2011年は1252円でした)。興行収入を入場者数で割った数字ですが、中高生が含まれているとはいえ、1800円で見るというのは高いということを認識してください。
出典:映画を安く見る方法 (Ver.3.02)

このデータからかなり多くの人が、割引の恩恵を受けていると考えられる。※映画館には学生割引だけではなく、さまざまな割引制度があり、それらすべてが利用された結果のデータである。

特に学生が割引の恩恵を受けていると考えられるが、映画館のオーナーは、自分が若いときに(費用面で)映画をみるのに苦労した経験などがあり、学生にやさしいのだろうか?それとも、目先の利益よりも、映画館まで足を運ぶ映画ファンを作ることを優先しているのだろうか?

 カフェやレストランに学生割引はない

一方、食の消費ビジネスであるカフェやレストランには、学生割引はほとんどない。

同様に、学生割引を導入している映画館であっても、映画館の中の売店には学生割引がない。この事実をみると、映画館のオーナーが学生にやさしい説がちょっと揺らいでくる(笑)。

カフェやレストランに学生割引がないというのは、割引しなくても利益の最大化ができているからだろうか?映画館の中の売店に学生割引がないというのは、(そこには競合する店舗もないので)仮に高くても売れるからだろうか?割引の手続きが煩雑になって、コストがかかるからだろうか?

映画館とカフェやレストランでは、何らかの違いがありそうだ。

 学生の観客を増やせば映画館は儲かる

(割引しても)学生の観客を増やせば映画館は儲かる、という事実がある。

定価の1800円支払って入場してくれる観客が多ければ、それより低い入場料しか支払わない学生の観客を増やす必要はない。※収益の点から考えると、そうなる。

しかし、実際には1800円支払う観客でシネコンなどのキャパが一杯になる…ということはない。大ヒットの映画など、散発的には「ある」可能性があるが、ならせばなくなるということだ。

なので、その空いた部分を(割引しても)学生で埋めた方が利益が大きくなるのだ。

 なぜ割引の対象を大人にしないのか?

ここで、なぜ、割引の対象を大人にしないのか?という疑問が出てくる。

おおもとの1800円を1700円や1600円にすればいいのではないか?そうすれば、入場者が増えて、利益も増えるのではないか?という疑問だ。余談だが、1800円は高いと思う。

だが大人の場合は、価格を少し下げても、それに見合う効果は期待できない。

1800円が1600円になったから、映画に行こう…という社会人は少ないだろう。社会人と学生とでは、100円、200円の捉え方が違うのだ。大人は学生と比べると、価格に対してそれほど敏感ではないのだ。※大人には、些少の金額より時間の方が大事、という面もある。

学生と大人では、使えるお金の大きさが違うので、当たり前といえば当たり前だ。※ただし、大人でもシニアの場合は割引がある。おそらく、「時間がある」という点で学生と共通点があるからだろう。時間については後述する。

 価格弾力性

経済用語に、「価格弾力性」というものがある。

価格弾力性とは価格変更に対する需要の反応の尺度をいう。価格の変化率に対して需要の変化率が高いほど弾力的であり、低ければその逆となる。
出典:コトバンク

価格弾力性=需要の変化率/価格の変化率、で表される。

この値が「1」より大きければ、「弾力性がある」という。

たとえば、価格を10%下げて、需要が15%上がったのであれば、価格弾力性は1.5になる。この場合は、弾力性があるということになる。※マイナスは無視し、絶対値で考える。

価格に対する「敏感さ」と表現してもいいと思う。

 学生の価格弾力性は大きい

学生にとって、映画館で映画をみるための費用は大きい。

単純に、社会人と比べて学生の方が使えるお金が少ないからだ。したがって、映画料金が上がれば需要が比較的大きく減ることが予想される。今の学割適用後の1500円が1800円になると、映画をみるのはやめよう…と考える学生が一気に増えるのだ。

学生は価格に対して敏感なのだ。

また、学生にはお金がなくても時間はある。社会人と比べれば、何かの娯楽に時間を消費している時間が長い。なので、映画料金が安いとなれば、シネコンに足を運ぶ回数が増えるはずだ。したがって、価格が下がれば需要が比較的大きく増えることが予想される。

なので、学生の映画料金に対する価格弾力性は「1」を超える。

 カフェやレストランに学生割引がない理由

カフェやレストランに割引がない理由だが、おそらくキャパの問題がある。

たとえば、レストランはある決まった時間帯に混み合う。そのとき、割引料金で食事をしている人たちが一定の割合で存在すると、利益が減るのだ。※正規料金の客がはじき出されるため。

また、割引を導入したために客数が増えて、(ランチ時などに)待たされるような状態になると、客は逃げてしまう。逃げる客というのは、時間のある学生ではなく、時間単価の高い社会人だ。いい客が逃げてしまうのであれば、利益面ではマイナスになる。

つまり…学生割引を導入するのであれば、学生の客数を増やさなければいけないが、学生の客数を増やすと社会人の客数が減る、というジレンマがある。利益を出すためには、社会人の客数が減る以上に学生の客数を増やせばいいのだが、キャパの問題があり難しい。

要は、学生割引を導入しても利益が増えないため、それがないのだ。

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 まとめ

なぜ映画館に学生の割引があるのか?として、ビジネスにおける割引について書いた。

ポイントはこうだ。

まず、割引をするのであれば、価格に敏感な顧客層を切り出し(市場分割)、そこをターゲットにしなければいけない。割引をすると客単価が落ちるが、それを補うために「客数」を増やすことが必須になるからだ(価格に敏感な顧客でないとそうならない)。なので、価格弾力性の高い顧客層を対象に割引する必要がある。

ただし、キャパとの兼ね合いを考える必要がある。

キャパの関係で、割引客が正規料金を支払っている顧客を駆逐してしまう…ということでは、割引をする意味がない。乗り物などで、(繁忙期に)割引の権利を持っていても行使できない場合があるが、これは、そのような事態を避けるために行っていることだ。

つまり、価格に敏感な顧客層を切り出すことができ、キャパの問題をクリアできるのであれば、割引を考えてもいい…ということになる。今度何か割引を使ったときに、このことが正しいのか自分の頭で考えてみてほしい。※カフェやレストランでも使える時間帯を制限すれば、学生割引を導入することは可能かもしれない。

以上、ビジネスにおける割引について書いてみた。何か参考になれば幸いだ。