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守破離を利用したい|普遍的な手段として使う

守破離をご存じだろうか。

修行における進化の段階を説明したものだ。

一流の仕事をしようと思えば、「離」という段階に自分を進めなければいけない。だが、それはかんたんなことではない。「守」が不十分なまま「破」に進み、行き詰る…という人が多いのではないか。

「離」まで自分を進めることができる人は、ほんの一握りにすぎない。

今回は、「守破離」について書いてみたい。

守破離とは

守破離とは、修行における段階(ステージ)を示したものだ。

修業における段階を示したもの。
「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。
出典:デジタル大辞泉

まず、基本をよく学び身に付ける(基本の型を身に付ける)。

次に、基本の型を自分用にカスタマイズすることで、進化・発展させる。その努力が閾値に達すれば、(イノベーションがおこり)自分の型がオリジナルとして認知されるようになる、ということだ。

この守破離は普遍的な手段になるので、仕事や勉強で意識して使えばいい。

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守破離を実践する

「守」はむずかしい

最初にくるのは「守」だが、「守」はとってもむずかしい。

たとえば、あなたは評価の確立した古典・名著を積極的に読むだろうか。

無数の手あかのついた古い本は読む気にならない、という人が多いのではないか。目の前に(同じジャンルの)古典とベストセラーがあれば、今話題になっているベストセラーの方を選ぶ、という人が多いと思う。

人は新しいものを好み、新しいものに価値がある、と思いがちなのだ。この感覚が、新しいものに飛びついたり、すぐに目移りするという行動を生みだし、基本をおろそかにすることにつながる。

新しいものに価値を感じると、先人の知恵を軽視することになりがちだ。

感情が邪魔をする

また、人には好き嫌いや固定観念がある。

そのため、先人の知恵を受け入れない、指導者のいうことを聞かない、ということがある。

基礎を学ぶことなど、退屈でつまらないことだ…ゆえに嫌いだ、と感じていると、そうなってしまう。また、指導者のいうことが正しいとは限らない、と疑いの気持ちをもっていても、いうことを聞けなくなる。

※自分の好きなように、自分のやり方でやりたい…と思ってもそうなる。

Stay foolish に

だから、「守」のステージをいい成績でクリアすることは、とてもむずかしい。

自分の好き勝手にやってうまくいかず、「守」に戻ってくる、という人もいると思う。

※その場合は、かなりの時間のロスになる。

この段階でうまくやるためには、素直に・愚直になることだ。

ジョブズが有名にした言葉に「Stay hungry」、「Stay foolish」というものがある。このステージでは、自分が知らないことを知り、<謙虚に素直に愚直に>なることが必要になるのだ。

※もちろん、なぜ?と考えてもいいが、否定したりあら探しのようなことはしない。

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基本の大切さを理解する

基本が大事なことは、わかっていると思う。だが、本当の意味でわかっているだろうか。

基本というのは、応用の必要条件になる。

基礎的なことは地味でおもしろみに欠けるので、手を抜きたくなるが、基礎の構築にリソースをかけ厚みを築くことが、後の飛躍につながることになる。※「急がば回れ」ということになる。

また、基礎は応用に比べれば特化していないので、汎用的に使える、ということがある。

ある専門家が、専門外の分野のことについても的確なコメントをすることがある。この人は万能なのか…と思ってしまうが、(そうではなく)自分の専門分野の基礎から得た知見を利用しているのだ。

一流の人ほど基礎を重視し大事にする傾向がある。素直に彼らの真似をすればいいのだ。

「破」を実践する

「破」では、基本の型を自分用にカスタマイズし発展させる。

このステージでは、あらゆる試行錯誤をしていいのだろうと思う。

前段階では、好き嫌いのような感情を封印したが、ここでは感情を利用してもいい。「好き」とか「得意」というものをキーにして打ち手を引き寄せ、試行錯誤すればいい。そうすれば、自分らしい型というものが自然にできるだろう。

もちろん、この段階では、新しいものを取り入れるといい。

昔のあるテレビ時代劇をみると、その時代の世相をうまく脚本に取り入れていることに気付くことがある。当時の制作者は、新しいものを取り入れコンテンツにすることで、「破」を実践していたのだ。

※ここは、創造に踏み出すステージになる。

「離」を実践する

前段階の努力が閾値に達すれば、自分の型がオリジナルになる。

イノベーションに成功した、ということになる。

ボクシングの話だが、ロマチェンコという超一流のボクサーがいる。

彼は「離」に達したボクサーだ。彼の手足は短く、従来の常識では、ボクサーとして恵まれた体型である、とすることはできない。だが彼は、基本を踏まえた上で、自分の体躯を活かすスタイルを求め続けた。

 

 

 

その結果が今のスタイルだ。

縦横無尽の複雑なステップ+細かい上体の動きに多彩なパンチを組み合わせ、対戦相手が対応できないようなスタイルを創り上げた。彼は、攻撃の手段として手しか使わない(長い歴史のある)ボクシングでも、イノベーションの可能性がまだまだあることを証明した。

あなたの専門分野でも、驚くようなイノベーションの可能性があるはずだ。

 

守破離を利用する - サマリー

まとめ

今回は、「守破離」について書いてみた。

あなたが一流の仕事をしようと思えば、「離」という段階に自分を進めなければいけない。

だがそれは、簡単なことではない。わたし自身のことを考えても、「守」が十分ではないのではないか、「破」の段階で道に迷っているのではないか、「離」は全く見えない…と思うことがある。

まずは「守」だ。

この段階では、謙虚に素直に愚直になって学ぼう。会社員であれば、「何でわたしがこんな仕事をしなければいけないのか…」と思わないことだ。Stay foolish を肝に銘じておけばいい。

読書では、評価の確立した古典・名著を積極的に読みたい。

「破」の段階では、基本の型を自分の色で染めつつ発展させる。

この段階では、どんどん試行錯誤すればいい。「好き」とか「得意」というものをキーにして打ち手を引き寄せ、試行錯誤すればいいだろう。そうすれば、たいへんな努力も楽しいものになるだろう。

プロセスを楽しみながら、「離」に向かって粘り強く歩みを進めたい。

今回の記事:「守破離を利用したい」