人と比べると、自分が惨めになったり不幸になったりする。
だから、自己啓発ではそうすることはやめましょう…という話になる。
この話が間違っているとは思わない。人と比べることで差し引きマイナスになる人は、そうすることをやめた方がいい。だが、人と比べることは当たり前の心理だし、差し引きプラスにすることも可能だ。
差し引きプラスになるのであれば、むしろそうした方がいい…ということになる。
今回は、人と比べることは悪くない、という話をしたい。
当たり前のこと
人と比べることは、ごく当たり前のことだ。
相対的に評価しないと、自分の実力や自分が出した結果を評価できないためだ。
たとえば、テストで80点とっても、いいのか悪いのかよくわからない。データの平均値や中央値を知ることではじめて、データの分布をなんとなくイメージすることができ、いいのか悪いのか判断できるのだ。
※80点でも、平均値や中央値以下であれば、よくないという評価になるだろう。
誰と比べるのか
争いは同じレベルの者同士でしか発生しない、というフレーズがあるが、
比較も同様で、自分が比べる対象は、自分が所属する集団の人、ということになる。
<自分が所属する集団>というのは、狭義から広義までいろいろあるが、自分と属性が近くて、自分がライバル視する人、とすればいい。自分とバックグラウンドが異なり、畑違いの人と比べることはまずない。
わたしがブログの書き手として自分を他人と比べるとしたら、同じぐらいのキャリアの人とか、同じぐらいのPVの人、同じぐらい読者がいる人、ということになる。すなわち、ライバルだと感じる人になる。
そして、場合によっては、自分が惨めになったり不幸を感じることになる(笑)。
比べるメリットは
人と比べることのメリットは、まず、自分の立ち位置を知ることができるということだ。
人と比べることで、素早く自分の現在の立ち位置を知り、自分の実力を評価することができる。
そして、このままではまずい、という危機感を持ったり、もっとできるはずだから、もっと努力しよう…、どうも正しい努力から外れているようだ、やり方を見直そう…と、自分の行動を変えることができる。
もっと上を目指そう、自分が所属する集団を変えてみよう、とするきっかけになることもある。
※モチベーションの向上、もっといえば、自分の成長に資することがあるのだ。
比べるデメリットは
人と比べることには、当然デメリットもある。
たとえば、そうして深く落ち込む…ということだ。
あの人と比べて自分はだめだ…、自分にはあまり才能がない、これだけ差があると、努力しても意味がないのではないか…などと思い深く落ち込むと、ダウンサイドが大きくなるため、かなりのマイナスになる。
ネガティブは波及する
このように、ネガティブになることがなぜだめなのか、というと、
自分の能力に疑いを抱き自信を失ったり、努力しても仕方がないと思い、やる気がなくなり努力できなくなってしまうためだ。また、ネガティブな気持ちに対応するために、リソースを無駄に消費する、ということもある。
さらには、自分の雰囲気が悪くなるので、人間関係も悪くなる確率が高くなる。
※周囲に悪い影響を及ぼせば、自分の評価が下がる、ということもある。
デメリットが勝る人は…
要は、メリットとデメリットの比較になる。
デメリットが勝る人は、何らかの対策を考えた方がいい。
たとえば、他人のことを見ないようにする。他人のことをマメに調べて、羨んだり嫉妬して落ち込んだり…ということでは、リソースの二重の無駄遣いになる。完全に見ないようにはできない、という人は、調べる回数を減らせばいい。
羨んだり嫉妬したり…という場合は、「幸せそうで素晴らしい」に変換する。
そういうときの最善手は、素直に相手をたたえることだ。「こちらの見えないところで、相当努力したのだろう」として、相手をたたえればいい。自分から(その場に相手がいなくても、相手が喜ぶような)プラスの行動をとればいいのだ。
自分からポジティブな対応をすれば、ネガティブな感情に悩まされることはなくなる。
自分と比べるという方法も
自己啓発ではお約束の「自分と比べる」という方法もある。
成長は自己ベストを更新する営みだから、自分と比べることは正しいだろう。
だが、自分と比べて落ち込むこともある。ブログでも、あの頃は自己ベストを更新しまくりだったのに、今は全くだめだ…ということがある。PVなどを指標にすると、こういうことは普通に起こるのだ。
だから、自己ベストを更新できない場合は、別の指標に目を向ける。
ブログであれば、PVがだめなら、累積の記事数や読者数のような数字に注目してみる。何年か前に書いた記事を読んで、成長を感じる…ということでもいい。探せば、必ず成長している点があるものだ。
※昔書いた記事を読むと、今だとこうは書かないな…という点がある。
メリットだけを受け取る
今述べたように、ダウンサイドを消すことで、メリットだけを受け取ることができる。
ダウンサイドの消し方を知っていれば、人と比べても何ら問題はない。むしろプラスになるだろう。
人と比べて得た情報も、インプットには違いない。そのインプットを生かすも殺すも、あなた次第になる。人と比べて、安心感や満足感を得る、という生かし方もあるかもしれない。ただし、優越感を得る、という生かし方は、おすすめしないが。
何でもそうだが、ダウンサイドを減らして非対称にする、ということが大事になるのだ。
※落ち込みやすい人は、ダウンサイドが大きい(だめな)非対称になるので注意したい。
人と比べることは悪くない - サマリー
まとめ
今回は、人と比べることは悪くない、という話をした。
冒頭で書いたように、人と比べることで差し引きマイナスになる人は、そうすることをやめた方がいい。だが、人と比べることはごく当たり前の心理なので、そうすることはとてもむずかしいだろう。
そうであれば、そのデメリットを小さくして、差し引きプラスにすればいい。
そのやり方は、1)素直に相手をたたえる、2)自分と比べる、ということだ。
誰かを羨んだり嫉妬したり…という場合は、「すばらしい」に変換する。才能がすばらしい、努力がすばらしい、能力がすばらしい、運がすばらしい、何でもいい。そうすることが、この場合の最善手になる。
※実際にすばらしいのだから、素直になればたたえることができるはずだ。
直接相手に伝える必要はないが、素直に相手をたたえれば、(将来)自分もたたえてもらえる可能性が高くなる。また、自分からポジティブな行動をすれば、ネガティブな感情を打ち消すことができるだろう。
人と比べるデメリットを小さくして、そうすることを楽しんでみよう。
今回の記事:「人と比べることは悪くない」