多くの人が、「情けは人のためならず」という言葉を知っていると思います。
意味を勘違いしている人もいるようですが、人に親切にすれば(情けをかければ)、その人のためになるだけではなく、(長いスパンで見れば)自分のためにもなるよ、という意味です。
※善行を重ねることにより、良い評判が形成されるから…でしょうかね。
今回は、この「情けは人のためならず」について書いてみたいと思います。言葉の意味だけではなく、どういう場合に機能するのか・しないのか…ということを考えてみたいと思います。
※人に情けをかけることは、その人のためにならない…という意味ではありません。
目次
- 目次
- 与えることは戦略的に考える
- 与えて損をしているのでは…と思う
- 与えて失敗するパターンがある
- かけた情けは水に流す
- 受けた恩は忘れずに…
- エゴイストに注意する
- 情けは人のためならずを機能させる - サマリー
与えることは戦略的に考える
あなたは、人に与える方ですか?それとも、与えない方でしょうか。
情けは人のためならずの言葉どおり、他人に与える人が成功するのは間違いないでしょう。
しかし、これは必要条件であって、十分条件ではありません。他人に利用され食い物にされるのもまた、「与える人」なのです。あなた次第で、どちらにも転ぶ可能性があります。
※与えて大失敗する場合もあります。
未満のものしか返ってこない
まず、人に与える場合は、気を付けなければいけないことがあります。
人に与える ⇒ 与えた人からは、それ未満のものしか返ってこない、(少しでも返ってくればいい方で)全く返ってこない場合もある、ということです。※ただし、間接的に与えた以上のものが返ってくる、ということは普通にあります(長い目で評価する必要があります)。
与えて損をしているのでは…と思う
この場合、自分は与えることで「損」をしているのではないか…という思いに囚われます。
与えることにより、自分の貴重な知識や時間を投資しているので、無理もありません。ある意味、当然のことです。相手が恩知らずのような人物で、腹立たしく思うこともあるかもしれません。
ちなみにわたしも、そのような思いに囚われたことがあります(恩知らずかよ…と思ったことがあります)。また逆に、相手に腹立たしい思いをさせたことがあるかもしれません。恩知らずだと思われたこともあるでしょう。この場合は、自覚することがむずかしいのですが…。
与えて失敗するパターンがある
しかし、ここで立腹してしまうと、与えたことに意味がなくなります。
※「情けは人のためならず」が成立しないパターンです。
相手からも感謝されずに、骨折り損のくたびれもうけ…ということになります。さらに、相手との人間関係が悪くなるかもしれません。与えた相手から悪評を流される可能性すら出てきます。
そうなると、与えたことがプラスどころか、大きなマイナスになってしまいます。
なので、与えた相手からなにもお返しがないからと言って、怒ってはいけません。お返しのない相手に(恩知らずと)腹を立てることは、非常にまずいことだ…と認識しておきましょう。もし、あなたが不義理に対し憤り、腹を立てるタイプであれば、最初から与えない方がいいでしょう。
腹を立てると、「情けは人のためならず」は成立しないのです。
かけた情けは水に流す
「かけた情けは水に流す」という言葉をご存じでしょうか。
与えるときに必要になるのが、「かけた情けは水に流す」という考え方です。与えたことは相手に対する「貸し」とはしない、見返りを期待しない、ということです。
※これができれば理想的です。
教科書的なキレイな話をしましたが、自分が損をするから見返りがなくても腹を立てない、と考えても構いません。不純な動機かもしれませんが、結果は同じです。むしろこの考え方の方が実践しやすいかもしれません。自分の利益に対する感度が高ければ、それを利用すればいいのです。
※「かけた情は水に流す」で、「情けは人のためならず」が成立します。
受けた恩は忘れずに…
余談になりますが、「受けた恩」は忘れないようにしましょう。
つまり、「かけた情けは水に流し、受けた恩は石に刻め」を実践することです。
もし、これができれば、あなたは大きく成長できると思います。人生において大切な人脈を作りやすくなりますし、豊かな人脈サークルの中で、互恵関係というものを築くことができます。
※「受けた恩」は「掛けた情け」よりも忘れやすいので、注意が必要です。
エゴイストに注意する
人を見極めて与えることが大事
次に、「誰にでも与える人になるな」ということです。
与える時は、相手を選ばなければいけません。「どうも、自分の好意をいいように利用されているな…」と感じたら、その相手とは距離をとります。判断の際は自分の直感を信じましょう。
いわゆる一定の割合で存在する「エゴイスト」に与えることは、あなたにとってマイナスになります。あなたが彼らの食い物になってしまう…ということです。あなたは疲弊し、誰に対しても与えることをやめてしまうかもしれません。なので、自己中心的な人には注意すべきです。
エゴイストには成立しない
エゴイストに対しては、「情けは人のためならず」が成立しません。
昔はもっと人に与えていたのに、年齢を経るに連れて(人に利用されるのが嫌で)自己中になっているかも…そう思うことはありませんか?
人は損失に敏感なので、与えて失敗すると、もう与えるのはやめようか…となりがちです。※情けをかけることで、嫌な思いをしたり、自分が傷つくのは嫌だ…という気持ちがあります。
しかしそうなると、成功からはどんどん遠ざかります。その轍を踏まないためにも、エゴイストに与えてはいけません。※与えることにも、それなりの戦略が必要になります。
情けは人のためならずを機能させる - サマリー
まとめ
今回は、「情けは人のためならず」について書きました。
情けは人のためならず、という考え方は有効な考え方なので、その考えに基づき行動すればいいと思います。ただし、そうするのであれば、「情けは人のためならず」を機能させなければいけません。その考え方がすばらしいからといって、むやみに実践しても成功しません。
情けは人のためならず、が成立しないケースは、大きく考えて2つあります。1)お返しがないことに(恩知らずと)腹を立てる場合、2)エゴイストに情けをかける場合、です。
なので、この二点に注意する必要があります。
この人は自分を利用しているな…、エゴイストだな…と感じたら、情けをかけることをやめましょう。また、自分の親切に対し「見返りがない」ということで、腹を立てるのはやめましょう。
情けは人のためならず、を機能させるためには、「かけた情は水に流す」という精神が必要になります。また、「受けた恩は石に刻む」ということも合わせて実践すると、なおいいでしょう。
改善を続けることが大事
では、「あなたはそうできているのか?」と問われれば、「現時点では不十分です」という答えになります(笑)。
こちらの好意に対し何のお返しもなければ、「非常識な人だな…」と思いますし、受けた恩はどうしても忘れやすくなります。ただこの人間関係の力学を理解してからは、少しづつ改善の方向に進んでいると思います。そして改善を続けることが、大事なことだと認識しています。
今回の記事:恩知らず!はNG…「情けは人のためならず」を機能させる