ノンバーバルコミュニケーションという言葉を聞いたことがあると思う。
わたしたちは、誰かとコミュニケーションをとるとき、あまり意識していないが言語と非言語を用いてそうしている。両者は車の両輪のようなもので、双方のバランスがとれていなければ効果的なそれにはならない。
後者はかなり重要だ。たとえば、「目は口ほどに物を言う」、「成るか成らぬか目元で知れ」ということわざがあるが、これらは、非言語コミュニケーションの重要性を暗示するものだ。
今回は、その例について書いてみたい。
目次
その意味は…
ノンバーバルコミュニケーションとは、非言語コミュニケーションのことだ。
一般にコミュニケーションと言えば、言語によるそれを指すことが多いと思うが、人が行うコミュニケーションは、バーバルとノンバーバルの2種類ある(verbal と non-verbal)。
非言語コミュニケーションと聞けば、(言葉とは関係のない)ボディランゲージのことか…と思うが、言葉に密接に伴う口調や声色というものも、その構成要素になる。
非言語コミュニケーションの効果
ノンバーバルコミュニケーションの効果だが、ある意味バーバルより効果が高いとされる。
その意味だが、多くの情報が伝わるということと、受け手がその情報を真だと思うということだ。
たとえば、あなたがプレゼンをしたとしよう。自分では上手くできたかどうかわからない。そこで、Aさんにプレゼンの出来について聞いてみることにした。Aさんの答えはこうだった。
言語:「上手にできたと思います…」
非言語:表情が硬い、目を合わさない、そのひと言だけで沈黙する
こうであれば、非言語の方を信用すると思う(笑)。言語では取り繕ったり(傷つけないように)嘘をつくことができるが、非言語では相手に本当のことを伝えてしまう…ということだ。
ゆえに、ノンバーバルコミュニケーションは重要なのだ。
非言語コミュニケーションの例は…
相手との距離
ここからは、ノンバーバルコミュニケーションの例を考えてみよう。
まずは、相手ととる距離だ。普通に考えればわかると思うが、好きな人とは距離を詰めようとし、嫌いな人とは距離をとろうとする。余談になるが、会議などでそれぞれの人が陣取る位置を確認すれば、好き嫌いなどの人間関係がある程度わかるだろう(笑)。
この記事で詳しく書いたが、
友達であれば、45~120センチ程度になる。
この120センチというのは、相手の表情がはっきり読み取れる距離であり、相対する二人が手を伸ばせば届く距離になる。手を伸ばせばすぐに握手できる距離、としてもいいだろう。
あまり親しくない知人であれば、2メートル前後になる。
相手の表情はわかるが、すぐに握手できる距離ではない。友達関係でこれぐらいの距離をとられるのであれば、相手はこちらのことを親しい友達とは思っていないのかもしれない(笑)。
体の向き
相手と話をするとき、体の向きをどうするだろうか。
顔だけ相手に向けて話をする、という場合もあるだろう。
その場合は、「この話にあまり時間をとられたくない」と考えているときだ。なので、(話が終われば)すぐに元の体勢に戻れるように、顔だけ相手に向ける、ということになる。
その原因は、「話すよりほかのことがしたい」か「相手のことが嫌いなのであまり話したくない」ということだろう。何かに集中しているときに声をかけられると、前者の思いになることがある。
体を相手に向けよう
相手に嫌な思いをさせたくなければ、体をきちんと相手の方に向けたい。
※人を評価することを仕事にしているような人はよく見ている。体の向きはもちろん、つま先がどの方向を向いているのかまで見ているものだ(そういう認識でいれば間違いがないだろう)。
相対する姿勢
相対する姿勢というのは、前傾か後傾かどちらでもないか、ということだ。
やや前傾、前のめり、という姿勢は、「相手に対する関心」または「話の内容に対する関心」、「やる気」を示す。後傾は逆で、「関心がない」、「退屈・おもしろくないという感情」を示す。
以前、前のめりになって話をしていた人が、急に後傾になり、椅子の背に背中をつける…というシーンを見たことがある。この場合は、自分の話に相手が興味を示さなかったので(おもしろくないと思い)そうなった、ということだ。
どちらでもないは、中立とか冷静という印象を相手に与えるだろう。
相対時の表情
表情も、柔らかいか硬いかどちらでもないか、だ。
こちらが柔らかい表情をすると、相手のこちらに対する印象が良くなる。
相手からすれば、「自分が受け入れられた・尊重された…」という気持ちになるためだ。つまりは、承認欲求が満たされるために、印象が良くなるのだ。
硬い表情はその逆だ。こちらが硬い表情を見せると、相手は「拒否された・軽視された…」という気持ちになるため、相手のこちらに対する印象が悪くなる。なので、硬い表情がデフォルトになっている人は、(人と相対するときは)注意した方がいいだろう。どちらでもないは中立だ。
アイコンタクト
これは、会話中にアイコンタクトするかしないかだ。
以前の記事でも書いたが、アイコンタクトは二人の関係性の起点になる行動だ。なので、アイコンタクトしない人は、相手と関係を持ちたくない、関係を進めたくない、ということになる。
こちらがアイコンタクトをしなければ、相手は「自分と関係を持ちたくないのだな」、「嫌われているのではないか…」などと感じることになる。中にはシャイだからアイコンタクトできない、という人もいるのだが、(いい大人であれば)なかなかそういう風には理解してくれないだろう。
※未熟、自信不足、コミュニケーション下手、と理解されることもある。
非言語コミュニケーションの例 - サマリー
まとめ
今回は、ノンバーバルコミュニケーションの例について書いてみた。
今回の記事で書いた例は、1)相手との距離、2)体の向き、3)相対する姿勢、4)相対時の表情、5)アイコンタクト、の5つだ。このほかにも、少し触れたが口調や声色、さらには声の大きさなどというものもある(うなづきもそうだ)。
冒頭でも書いたが、わたしたちは言語と非言語を用いてコミュニケーションをとっている。
なので、何を言葉にして伝えるか、何を言葉以外で伝えるか、ということが問題になる。どこまで言葉で伝えて、どこから言葉以外で伝えるのか、という切り口で考えてみてもおもしろい。
※両者の組み合わせで、相乗的な効果を狙ってもおもしろいと思う。
今回の記事:「ノンバーバルコミュニケーションの例」