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色あせない「アリーマイラブ」のおもしろさ

「アリーマイラブ」をシーズン1から見返している。

アメリカのドラマには、おもしろいドラマがたくさんある。だが、「刺さるドラマ」というのは、一握りにすぎない。刺さるドラマを言い換えれば、心の琴線に刺さって、抜けなくなるドラマのことだ。そのひとつが、今回紹介する「アリーマイラブ(原題:Ally McBeal)」だ。

このドラマがアメリカで放送されたのは1997~2002年なので、今では古い作品になってしまった。だがこのドラマをみると、今でも気持ちが強く揺さぶられたり、深く考えさせられたり…ということが普通にある。今回は、その「アリーマイラブ」のおもしろさを探ってみたい。

※個別には、シーズン1の1話と4話を対象にする。

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 目次

 アリーがとても魅力的

アリー

以下、ネタバレがあるので注意してほしい。

前回、シーズン1をちゃんとみたのは、10年以上前のことになる。このドラマは、20年前のドラマなのだが、思ったより古さを感じないことに驚いた。映像の粗さやスーツの型、PCに古さを感じるぐらいで、ストーリーやキャラに古さを感じることはない(CGも古く感じなかった)。

やはり主役のアリーがとても魅力的だ。やせ気味だが容姿端麗で、ハーバード卒の弁護士とエリートながら、仕事ではセクハラされる、軽視される、顧客との会議で上手く話せない、私生活では特別な相手との不本意な別れを引きずる、胸が小さいなどの問題やコンプレックスを抱えている。

※ミニスカはインパクトがあるし、感情の起伏にもインパクトがある(笑)。

その特別な相手(ビリー)と偶然同じ事務所で働くことになるが、再会を喜ぶ間もなく「実は結婚している…」と打ち明けられ動揺する。アリーは、ビリーと一緒に働くことは「全然問題ない」と強がるが、(ショックを受けており)実は心の中でビリーへの想い、動揺・葛藤がある…という不安定な状態だ。こういう経験がなくても、アリーの想いや葛藤に共感できる人は多いはずだ。

※この不安定さも魅力になっていて、放っておけないキャラだ。

 ほかのキャストにも魅力がある

第1話に出てくるキーパーソンは、ビリーとリチャード、エレインだ。

あと、ビリーの妻であるジョージアも初回に登場している(後に登場するというイメージがあったので、意外だった)。全員わかりやすいキャラだが、「とってつけた感」というものがない。キャラを濃くしてわかりやすくする…ということは重要なことだが、とってつけたようになってしまうと失敗する。このドラマでは、はまり役という形で各役者が演じているので、成功している。

ビリーは甘くて優しい二枚目で、アリーとは特別な絆で結ばれている。リチャードは「お金がすべて」というフィッシュ哲学を持っている。お金に幸せがついてくる…という考え方を信奉しているが、実は仲間を想う気持ちもある。嫌なできごとは早送りして未来の視点から見ればいい…という何気に優れたフィッシュ哲学も持っている。「bygones(前向きに)」が口癖だ。エレインは、事務所内のゴシップ好きで耳が早く、自己顕示欲も旺盛なキャラとして描かれている。

※エレインの言動が、スパイスのようなアクセントになっている。

・目線が変わった

余談だが、ドラマをみる自分の目線が変わっていることに気が付いた。以前は、ほぼアリー目線だったが、今はビリーや事務所の経営者であるリチャードの目線でもみている。リチャードの目線では、アリーのような個性豊かな人材を活かすにはどうすればいいのか、どうコミュニケーションをとれば効果的なのか…という目で見ている(笑)。アリーは、歯ごたえのある人材だと思う。

 コミカルな表現がおもしろい

アリーといえば、コミカルな表現に特徴がある。

感情をCGで表現する、というシーンがよくある。胸に矢がドンドンドンと突き刺さるような表現やエレインの頭が大きくなる表現、ゴミ収集車にゴミとして放り込まれる表現、後に登場するダンシング・ベイビーもそうだ。穴に落ちるシーンもあっただろうか…色々なパターンがあった。

舌がビローンと伸びる表現やお腹に風穴があく表現もあった(笑)。このドラマの演出は、デフォルメ(誇張して表現すること)をテーマにしていると思うが、このCGの表現もその一環だ。キャスティングや性格付けにも、デフォルメが窺える(おもしろくわかりやすくするのが目的だ)。

・音楽がすばらしい

またこのドラマは、音楽がすばらしい。

ヴォンダ・シェパードの歌もいいし、それ以外の曲もいい。そのときの心情にマッチした曲が、上手に挿入されているのだ(シンクロが深みを与えている)。仕事が終わったあと、生歌が流れるバーで飲むシーンは、個人的に好きなシーンだ。スペシャルゲストが持ち歌を歌うシーンもある。

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 シーズン1の第1話

シーズン1の第1話というのは、制作が力を入れるところだ。

本のまえがきのような部分で、ここがおもしろくなければ、次からみてもらえないからだ。アリーの場合はここで、事務所をやめる、その原因になったセクハラ訴訟、リチャードとの再会&再就職、昔の恋人ビリーとの再会、ビリーの妻であるジョージアとの出会い&バトルなどのテーマが盛り込まれている(アリーの激動の1週間を描いている)。エレインとの出会いもあった(笑)。

※1話は、てんこ盛りの話題を上手くスピーディーに処理した…という感じだ。

印象に強く残る第1話だった。たとえば、上司のセクハラを告発したら自分がやめるはめに…というのは、理不尽な話で印象に残る話だ。後に上司をはめてやり返す作戦も見事だ。アリーのビリーに対する想いやジョージアとのバトルあたりも、共感できる人は多いだろう(ジョージアに共感する人もいると思う)。特に、アリーの「ビリーに対する想い」は、後々まで布石として働く。

それにしても、アリー役のキャリスタ・フロックハートの演技が見事だ。このドラマは、アリーの感情表現が見どころになるが、キャリスタは(素の自分とは違う)アリーになりきって見事に演じている。彼女の演技力がこのドラマにリアリティを与え、一流の作品にしているのだ。

 シーズン1の第4話

アリーの不倫相手だった大学の教授が亡くなる、という話だ。

この第4話にはアリーのおもしろさが詰まっているので、特に取り上げたい。この話を見返すまで、アリーに不倫の経験があったことをすっかり忘れていた(ロースクール3年次の話)。

アリーは何も知らない教授の奥さんに弔辞を頼まれるが、激しく動揺しビリーのところに駆け込む。アリーの交際相手のロニーやジョージアは、そのことが気に入らない。喉のポリープがどうのと弔辞を断ろうとするが、結局引き受けるはめに…。ところが、アリーが不倫相手だったことが奥さんにバレ、弔辞はキャンセルになる…という話だ。アリーの激しい動揺ぶりが見どころ。

ジョンの買春とアリーの不倫という対比がおもしろい(アリーは2話で(ジョンの主張を認めず)ジョンの買春にダメ出ししたが、自分の不倫は正当化する)。また、自分のことで頭が一杯になると、ロニーやジョージアの気持ちを考えず突っ走る…というダメっぷりも素敵だ(笑)。

通夜の際の教授の娘さんの睨みで不倫がバレるシーンは、シリアスだけどおもしろい。弔辞がキャンセルになったにもかかわらず、名前を呼ばれ(躊躇しながらも)肩を落とし出て行こうとしたら「マクビールさんは欠席のため、キャンセルになりました」と言われ通路の途中で立ち止まり、戻ろうとしたら「いるようなのでお願いします」と再度Uターンするシーンは正にコント。

弔辞では、アリーが苦し紛れに場にそぐわないことを言って(ロストした)、みんなが「こりゃダメだ…」と下を向くシーンがおもしろい。そこから立て直し、良いスピーチにするアリーの手腕も見どころだ。エレインのフェイスブラはまんまコントだし(大勢の人がジムでフェイスブラをして走るシーンを入れるところがすごい)、エレインが教授の奥さんがいるところで「Dead Professor」と言ってしまい、平然とリカバリーするシーンも笑える。

また、アリーがロニーの名前をワザと間違えて呼んだり、最後のビリーとのダンスのシーンで、二人とも歌詞を間違えて覚えている、という小ネタまである(曲が流れるので視聴者にわかる仕掛け)。このようにクスッと笑える小ネタが満載だし、見せ方も洗練されているのだ。

※1話では、エレインがビリーの秘書にビリーの部屋に入ろうとしとがめられたとき(ドアは閉まっていると言われた)、「ドアノブを押せば入れるよ」として強引に入った…なんてこともあった。こういうちょっとしたウイットに富む会話がおもしろいのだ。

 キャストが再集合したシーン

ドラマ終了後、キャストが再集合したシーンがある。


ET Reunites With the Casts of 'Ally McBeal', 'Freaks and Geeks' & More at the TV Land Awards!

2015年のことだ。アリー役のキャリスタ・フロックハートは、50歳になっていたはずだが、あまり変わっていないことに驚く。ほかのキャストも、当時のイメージどおりで変わっていない。キャリスタは、「アリーマイラブ」の撮影当時、(1日15時間労働という)ストレスから食事がとれなくなり、摂食障害になっていたそうだ。ハイテンション+セリフが多い役で大変だったのだろう。※キャリスタは、キャラがアリーとはかなり違うのでその点でも大変だっただろう。

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 まとめ

今回は、「アリーマイラブ」のおもしろさについて書いてみた。

このドラマは、ひとことで言えば、弁護士の「ラブコメディドラマ」(又は弁護士コメディドラマ)ということになるのかもしれないが、表現としては不十分だ。社会の問題や不条理をテーマにすることもあれば、恋愛だけではなく友情や精神的な苦悩を描く人間ドラマという側面も色濃くある。最初にストーリーに古さがない、と書いたが、人にまつわるテーマは今も昔も変わらないのだ。

※まだこのドラマをみていない人はラッキーだ。たのしみがたくさんある(笑)。

今回の記事:「色あせない「アリーマイラブ」のおもしろさ」

Photo credit: yellowblade67 via Visual hunt / CC BY