持ち株が新高値をとってきた…ということがある。
そんなときは、株価が買値より上昇しているので、うれしい気分になるだろう(笑)。
この場合、あなたは(利益を確定するチャンスとして)売るだろうか。それとも、売りたくても、しばらく様子を見るだろうか。新高値をどう解釈して、投資行動すればいいのだろうか?
高値を更新した株の「その後」は、どうなるのだろうか…。
今回は、株の新高値について書いてみたい。
目次
新高値とは
株の新高値とは、どういう意味だろうか?
新高値は、主に株式市場で使われる用語で、相場が上昇して過去の高値を越えた(抜いた)時の値段(新値)のことをいいます。これは、過去一定期間における値段の最高値を更新した時に使われ、個別銘柄でいうこともあれば、株価指数でいうこともあります。
出典:新高値
新高値とは、過去の高値を越えた時の値段(新値)のことをいう。
年初来高値など
ここで問題になるのが、「過去の高値」だ。過去とはいつのことを指すのだろうか?
一般に、スパンの短い順に書くと、以下のようになる。
・年初来高値 ⇒ 今年の高値
・昨年来高値 ⇒ 昨年以降の高値
・上場来高値 ⇒ 上場以来の高値
なので、新高値だけでは、どの高値のことを指すのかわからない。
サイトで検索するときなどは、どの高値なのか、はっきりさせておく必要がある。※サイトでは、年初来高値や 昨年来高値を使うことが多いようだ。また、直近1年間の高値を使う場合もある。
どういう意味があるのか
では、この新値にはどういう意味があるのだろうか?
新高値をとることは、新しいステージに入ったことを意味する、という考え方がある。
新しく高値をとるためには、その新値を正当化するための(これまでとは次元の違う)材料が必要になるからだ。何らかの(これまでとは異なる)特別な材料があるから、新高値をとることができたのであり、その材料は、「業績の大きな伸びに対する期待」であることが多い。
※自社株買いなどの株価政策で、新高値をとることもあるかもしれない。
潮目が大きく変わるポイント
業績の伸びに対する期待、というのは、いろいろあると思う。
たとえば、商品やサービスに大ヒットの兆しが見えたり、思わぬ他社との提携であったり、適切な値上げにより、業績がグッと伸びることが予想されたり…ということだ。※ただし、無理気味の連想の場合もある。
いわば、新高値は、「潮目が大きく変わるポイント」ということになる。
新高値のその後は?
新高値をとった後どうなる?
では、 新高値をとった後、株価はどうなるのだろうか?
個別の銘柄で、具体的に見てみたい。
DeNA(2432)の場合
DeNAの場合は、
2014年11月につけた高値(1575円)を2015年3月に大陽線で超えて、新高値(2099円)をつけている。その後、2651円を高値にして調整し、再度高値に挑戦している(?)…という状況だ。
新高値後の伸びは、26.3%だった。新高値を起点とした上昇期間は68日。後の2銘柄に比べると、小さめの上昇だった。ただし、まだ続いている可能性がある。※週足の終値ベース。
サイゼリヤ(7581)は伸びた
サイゼリヤの場合は、
2014年1月につけた高値(1312円)を2014年7月に超えて、新高値(1372円)をつけている。その後、3045円を高値にして調整し、現在は下落基調にある…という状況だ。
新高値後の伸びは、122.4%だった。新高値を起点とした上昇期間は530日。
現在進行形の銘柄についてもふれておこう。
雪印メグミルク(2270)は
雪印メグミルクの場合は、
2015年1月につけた高値(1623円)を2015年7月に超えて、新高値(1946円)をつけている。その後、3165円を高値にして調整したが、現在再び高値をとってきた…という状況だ。
新高値後の最初の頂点までの伸びは、62.6%だった。
新高値を起点とした上昇期間は140日。現在までの上昇期間は301日。もし、サイゼリヤ並に上昇するのであれば、あと半年ぐらいは上昇トレンドを維持することになる。※念のために申し上げるが、そのような保証はない。また、期間の取り方などには任意性がある。
評価する力が必要になる
勝ち馬に乗るということ
こう見てみると…
新高値で買う、ということは、「勝ち馬に乗る」ということかもしれない。
その時点で買えば、そこからでも上昇が期待できそうだからだ。
効果的なマーケティングになる
新高値をとれば、投資家から注目されることになる。
投資家に対して、効果的なマーケティングにもなるのだ。
新高値をとったから、買ってみよう…と思う投資家は、少なからずいるはずだ。※逆に株の初心者では、「高くなったから売ろう」と思う人がいるかもしれないが、それ以外の人は、それまで売ろうと思っていた人でも、「新高値をとったから、少し様子を見よう」となると思う。
新高値を買うことには、「勝ち馬に乗る」という側面があるのだ。
ただし…
新高値をとった後、上昇する銘柄は目立つ。
なので、先に挙げたようにその例を簡単に出せるが…
新高値をとったものの、その後それほど伸びず、逆に新高値をとったときの株価よりも下がってしまった…という例を過小評価している可能性がある。つまり、バイアスがかかっている可能性があるのだ。
※そんな株には注目しないし、事例を見てもすぐに忘れてしまう。
新高値の理由を評価する
また、新高値をとった理由が問題だ。
成長の道筋が見えてきた、今後の成長につながりそうなネタやビジネスモデルが、はっきりしてきた…ということであればいい。
だが、話題先行で一見派手だけど、「実際どうなるかは、やってみないとわからないよね…」、「業績に結びつくかどうかはわからない…」というレベルの話であれば、早期にヘタる可能性がある。新高値で買うのであれば、その理由を評価する力が必要なのだ。
※突発的な出来事からの連想による新高値も、ポシャりやすい。
つまるところ、新高値の材料が、将来の業績にどの程度結びつくかを見極めることが大事なのだ。この点に自信のない人や損切りができない人は、手を出さない方が無難だ。
株の新高値を考える - サマリー
まとめ
今回は、株の新高値について書いた。
新高値は、「潮目が大きく変わるポイント」なので、持ち株であればあわてて利益確定のために売る必要はなく、様子見が正解だろう。もちろん、新高値をとった理由にもよるが、業績が理由の場合はホールドだ。
※慌てて売ると、後の大きな上昇を見て損した気分になることがある(笑)。
新高値を新規に買いに行く、という手段もあるだろう。
ただこの場合は、理由が話題先行の一過性のものではないこと、来期の業績が好調であること、株価水準が高すぎないこと、などの条件をクリアすることが必要だ。損切りをキッチリできる、という人であれば別だが、そうでない人は新高値の本質を見極める努力をした方がいいだろう。
今回の記事:「株の新高値をどう考えればいいのか」