バンドワゴン効果とは - 押し広げて考える
バンドワゴン効果という心理学の用語を聞いたことがあると思う。
バンドワゴンとは、楽隊車のことだ。
音楽隊が楽しげな音楽を演奏しながら賑やかに進んでいる。
当初は、その様子を道端で傍観している人が多かったが、楽隊車と一緒に楽しそうに歩く人が何人か出現すると、傍観していた人の中から、それに続く人が出る。臨界点を超えると、みんなが我先にとばかり、楽隊車に近づき<賑やかし>になる。
※投資では、わらわら人が集まり、「提灯をつける」という表現になる。
今回は、この効果について<押し広げて>考えてみたいと思う。
目次
バンドワゴン効果
バンドワゴン効果とは
バンドワゴン効果の意味から確認しよう。
バンドワゴン効果とは、ある選択肢を多数が選択している現象が、その選択肢を選択する者を更に増大させる効果(Wikipedia)というものである。
ある選択肢を多くの人が選ぶ状況が、人の行動に影響を及ぼす…ということだ。
※バンドワゴンとは、音楽隊を乗せたワゴン(楽隊車)のこと。
バンドワゴン効果の具体例
わたしたちは、バンドワゴン効果にどっぷり浸っている。
たとえば、商品やサービスを選ぶとき、多くの人が選んでいるものを選びたくなる。
ネットで商品を買うとき、1)評価がない・または少ないもの、2)評価がたくさんあり、その内容が悪くないもの、があれば後者を選ぶ。「売り上げナンバーワン」には興味を持つ(だから、売り手はその種の宣伝文句をよく使う)。
Amazon で映画を探すときは、評価数(+内容)を参考にする。アカデミー賞受賞作品を探すこともあるだろう。
いずれにしても、多くの人の鑑賞に堪える作品であれば、みて損はないだろう…と考える。書籍でも同じことだ。多様性を有する十分な評価数があれば、他人の評価を集合知として利用することができる。
※偽りの評価にだまされなければ、合理的な行動とすることができる。
他者の動きに乗じる
他者の動きに乗じる、ということはよくあることだ。
たとえば、株式会社の経営者であれば、
ある有名な会社が株主総会のお土産を廃止した。その流れが徐々に広がっているようだ…と認識すると、コストの削減になるし、公平性の確保にもつながる。と、廃止する理由を探し、うちもやめようか…となる。
子供の教育にしても同じだ。
近所の同級生の子供が塾に行きはじめたことを聞くと、自分の子供も塾に行かせようか…となる。自分の子供と同年代の大多数が習いごとをしている、と聞くと、自分の子供にも何か習いごとを…となる。
自分に近しい他者が動きを見せると、何かしら影響を受けるのだ。
投資における例
株やFXなどの投資においても、バンドワゴン効果が存在する。
Velez と Capra の説明を借りると、そのプロセスは以下のとおりだ。
1)バンドワゴンのうしろで、少数の人たちが楽しんでいる。
2)バンドワゴンは次第に傍観者をひきつけ、パレードの参加者が増えていく。
3)最初にいた少数の参加者が、パレードから離れる。
4)混雑のため、バンドワゴンの進行が遅くなる。
5)バンドワゴンの進行が遅くなったため、さらに混雑がひどくなる。
6)バンドワゴンが停止する。
7)前進できなくなったワゴンは、バックし数人をなぎ倒す。
8)演奏が終わり、ワゴンが乱暴にバックする。
9)パニックが生じる。
投資はこの繰り返しである、ということだ。
スイングトレードでは
スイングトレードでは、上記の2)の段階で参加する。
そうすると、利益率が高くなる。
1)で参加するのはむずかしいし、参加できても期間内に期待通りの方向に動かない、ということがある(スイングトレードは短期間である)。だから、参加者が増え始めたことを見計らって参加すればいいのだ。
※これはスイングトレードに限る話で、中長期の投資であれば話は少し変わる。
リーダーとフォロワー
バンドワゴン効果が生じる場には、リーダーとフォロワーがいる。
最初に(ある意味馬鹿になり)突然踊り出した人がいる。
その人はその時点ではリーダーではなく、<ただの変人>の方に近いだろう。
その人をリーダーにするのは、その最初に踊り出した人にいち早く反応し、フォロワーになった人だ。バンドワゴンの例で言うと、1)のバンドワゴンのうしろにいる少数の人たちだ。
触媒的な役割を演じる人がいなければ、変人は変人のままでリーダーは誕生しない。
上手な使い方は
投資において、この効果を上手く使うにはどうしたらいいのか。
※スイングトレードなど、短期の投資を除く。
端的に言えば、初期のフォロワーになることだ。ワゴンのうしろで楽しむ少数の人たちに入ることだ。
影響力のない個人の投資家がリーダーになることはできない。だが、初期のフォロワーになることは(難易度はそれなりに高いが)可能だ。
「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」という相場の格言があるが、悲観の中で相場が生まれたら、いち早くフォロワーになることだ。
※相場が生まれたかどうかの判断は、自分の感情+テクニカル分析が主になるだろう。日々、全体の相場と個別銘柄の動向をウオッチしながら判断を下すしかない。
もちろん、すかさずフォロワーになっても、相場が育たない場合もある。そんなときは、潔く損切りするしかない。この人はリーダーになる、と思っても、そうならないことは普通にあることだ。
※暴落後の悲観を狙うとおもしろい。
バンドワゴン効果とは - サマリー
まとめ
今回は、バンドワゴン効果について<押し広げて>考えてみた。
バンドワゴン効果とは、ある選択肢を多数が選択している現象が、その選択肢を選択する者を更に増大させる効果(Wikipedia)というものである。
ある選択肢を多くの人が選ぶ状況が、人の行動に影響を及ぼす…ということだ。
たとえば、流行っているお店に行こうかな…と思うが、閑古鳥が鳴いているお店に行こうかな…とは思わない。多数が選択するのであれば、<はずれ>ではなくそれなりの価値がある、と思う。
その多数に多様性がありフェアであれば、集合知となるのでそれを利用すればいい。
投資では、バンドワゴン効果により過熱してきた…という状態で参加するのは悪手になる。
過熱した状態で、バンドワゴンの進行に変調が見られる…と感じたときは、速やかにバンドワゴンから離れた方がいいだろう。最後のパニックに巻き込まれないようにしたい(傍観できるようにしておく)。
バブルを作るのがこの効果であり、行き過ぎると必然的にはじけることを肝に銘じておく。
今回の記事:「バンドワゴン効果とは」