あなたは、人に親切にする方だろうか。
困っている人がいれば、積極的に手を差し伸べる方だろうか。もっと言えば、利他の心(他者の利益を重んじる気持ち)というものを持ち合わせているだろうか。
人に親切にする、という人がいれば、不親切な人かも…という人もいると思う。電車の中で席を譲る人がいれば、譲らない人もいる。その状況を考えると、両者が存在することがよくわかる。今回は、利他の心を持ち、困っている人には親切にした方がいい、ということを書いてみたい。
目次
- 目次
- 親切にすると幸福度が上がる
- 自分の存在意義を確認できる
- 幸福度が人の雰囲気に影響する
- 親切は社会に対し良い影響を与える
- 情けは人のためならず
- 情けは人のためならずは成立する
- まわりからの評価が高くなる
- かけた情は水に流す
- まとめ
親切にすると幸福度が上がる
困っている人などに親切にすると、あなたの幸福度が上がる。
このことは、研究から明らかになっている。
心理学者ソニア・リュボミアスキー博士は、学生たちに「週に1日だけ、5つの親切をすること」を実行させました。すると、この単純な行動が人々を幸せになるという結果が出たのです。私たちは他人に親切にすると、自分の幸福感が高まるのです。
出典:知らなきゃ損! あなたの幸福度を上げる3つの方法
このことは、実感としてもわかることだ。
人に親切にすると、「良いことをした」ということで、こちらの気持ちも良くなる。
たとえば、道を歩いているときに、道に迷って困っている人から突然道を聞かれたとしよう。そのとき、道を教えることができて、相手を助けることができれば、「良いことをした」ということで、気分が良くなる。つまり、いくばくか「幸福度が上がる」ということになるのだ。
自分の存在意義を確認できる
自分の存在意義を確認できる、ということもある。
先に「良いことをした」ということで、気分が良くなる、と書いたが、幸福度が上がる原因は、それだけではないかもしれない。自分が他人から「アテにされた、頼りにされた」という若干のうれしさもあるだろうし、「それに応えることができた」という、満足感のようなものもあるだろう。
※人とのつながりを感じて、「うれしくなる」ということもあるだろう。
これらのことから、人に親切にすると、幸福度が上がるのだ。
幸福度が人の雰囲気に影響する
そう言えば、親切な人とそうでない人は、雰囲気が違うのかもしれない。
親切な人というのは、おおむね、穏やかで人当たりのいい雰囲気を醸し出している。逆に、不親切な人には、やや人を寄せ付けないような雰囲気がある。※人当たりは良くない感じがする。
この差の一部は、幸福度で説明できるのかもしれない。
親切な人は、親切な行為をすることが比較的多いので、幸福度が高くなる。幸福度が高くなれば、穏やかになるし、人当たりも良くなる。たとえば、恋人ができた…などで、幸福度の高い人は、もともと人当たりの良くない人でも、(そのときは)人当たりが良くなっているはずだ(笑)。
逆に不親切な人は、親切な人のように親切をすることで幸福度を高める、ということがない。なので、親切な人と比べると、幸福度が低く、人当たりが悪くなる…ということになる。
※人当たりのいい人には、親切な人が多いのかもしれない。
親切は社会に対し良い影響を与える
親切をすることは、社会に対し良い影響を与えることだ。
親切は連鎖する、ということがある。
あなたが誰かに親切にすると、親切にされた人は、誰かに親切にしようと考える。このことは、逆も成り立つ。あなたが誰かに不親切にすれば、不親切にされた人は、誰かに対しても不親切な態度をとりがちになる。これは、ある種の返報性の法則で、作用・反作用と言ってもいいだろう。
なので、他人に親切にすることは、やや大げさに言えば、社会に対し良い影響を与える善行であり、不親切にすることは、社会に対し悪い影響を与える悪行である、ということになるのだ。
社会に対し良い影響を与える人は、社会からも大切に扱われ、社会に対し悪い影響を与える人は、社会からは大切に扱われない。こういう考え方があるが、あながち間違いではないだろう。
社会に対し良い影響を与える行為であれば、積極的に行えばいいのだ。
情けは人のためならず
「情けは人のためならず」という言葉がある。
意味を誤解している人もいるようだが、人に親切にすることは自分のためになる、ということだ。人に親切にすると、「自分が損をするのではないか…」と思うかもしれない。
たとえば、自分が苦労して身につけた職務上の技術やノウハウを、後輩が困っているからといって、親切心から安易に与えてしまうと、「自分の損になるのではないか…」ということだ。
※職人は弟子に対し、手取り足取り親切に教えることはしない。
それはある意味、当然の感情だと思う。親切にされた方が、短期間で技術やノウハウを習得することで、親切にした人を追い抜いてしまう…ということがあるからだ。※親切心が仇になる?
情けは人のためならずは成立する
しかし、このようなケースを除けば、「情けは人のためならず」は成立する。
先に述べたように、困っている人に親切にすることで、自分の幸福度が上がる、ということがあるし、社会に対し良い影響を与える人は、社会からも大切に扱われる、ということもあるからだ。
※ただし、相手がエゴイストの場合は、親切心が仇になることがある。親切心がエゴイストに利用されこちらが消耗&疲弊し、親切にすべき人に対し、親切にできなくなる、ということがある。
まわりからの評価が高くなる
さらに、まわりからの評価が高くなる、ということがある。
先に、親切な人は、親切な行為をすることが比較的多いので、幸福度が高くなる。幸福度が高くなれば、穏やかになるし、人当たりも良くなる、と書いたが、それ故に、周囲からの評価が上がる。
また、親切を見ている人がいる。
これは、私の個人的な経験談だが、あるコンピュータールームで、操作がわからず困っている人を助けたことがある。その施設には、「ヘルプデスク」というものがあり、そこへ行ってわからないことを聞けばいいよ、と言うこともできたのだが、時間があったので、親切心から助けたのだ。
その後、こんなことがあった。後日、同じコンピュータールームで作業していたら、全く見知らぬ人から、「この前、困っている人を助けていた人だよね」と突然声をかけられた。おそらく、そのとき居合わせた人なのだろう。私は全く意識していなかったが、見ている人は、見ているのだ。
かけた情は水に流す
職場では、部下の動きを上司が見ている。
なので、積極的にまわりの人を助けようとする人は、高く評価されることになるだろう。もちろん、助けてもらった側からの評価も高くなるだろう。ただし、助けた相手から「お返しがない!」と怒ると、その相手からの評価は低くなる(笑)。その点だけは、注意した方がいいだろう。
※「かけた情けは水に流す」 ことが必要だ。さっさと忘れてしまおう(笑)。
まとめ
利他の心を持ち、困っている人には親切にした方がいい。
その理由だが(記事で述べたのは)、1)自分の幸福度が上がる、2)親切は社会に対し良い影響を与える、3)情けは人のためならず、4)まわりからの評価が高くなる、ということだ。
親切にする動機は、「純粋に、困っている人の力になりたいから」ということが一番いいとは思うが、「親切を行えば、まわり回って自分に返ってくるから…」ということでもいいと思う。
後者の動機は、利他の心とはやや矛盾するかもしれないが(笑)、多少動機が不純でも、親切にしないよりはいいことだ。また、不純な動機から入っても、利他的な行動を重ねるうちに、その楽しさやすばらしさに自ら気づく…ということもある。なので、積極的にそうすればいいのだ。
今回の記事:「利他の心を持つ|困っている人には親切にした方がいい」