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田中恒成がすごい|ボクシング界にもう1人怪物がいた

田中恒成というボクシングの選手をご存じだろうか。

田中恒成選手は、現在のところ「地方のスター選手」という扱いで、井上尚弥選手のように全国区のスターという扱いではない。だが今後は、井上選手の後を追うことになるだろう。

※2017年9月に全国放送デビューを果たした。田中恒成を田中恒星というワードで検索している人も多いが、このことも知名度の上昇とともにそのうち修正されるだろう。

井上尚弥選手はモンスターと形容されるが、田中恒成選手も「中京の怪物」という異名があるそうだ。だが、日本の怪物になる日も目前に迫っている。田中恒成の実力は本物だ。

※この記事は、随時アップデートします。

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目次

パランポン戦でダメージを負う

年末の田口選手との統一戦の前哨戦にあたる試合だったが…

田中恒成にとり、苦しい試合になった。初回からその兆しは見えた。田中の動きはシャープだったが、パランポンのパンチを額で受けたのだろうか、田中の額が赤くなる。終了間際には、ショートの右を受けダウンを喫する(田中恒成にとり、人生2度目のダウン)。

パランポンは攻守の技術がしっかりしている。上体が柔らかくよく動き反応が早い。肩の関節も柔らかく体幹が強いので、速くて硬いパンチがスムーズに出る。パンチの硬さという点では、田中を上回る。メンタルも強く、この一戦にかける気持ちが見える。

田中の左目は徐々にはれ上がり、3回ぐらいからは傍目にもハッキリわかるようになる。4回には右目もカットする。両目をやられたせいだろうか、硬いジャブをよくもらう。それでもボディーをきかし、9回に仕留めたのはさすがだが、ダメージは深かった。

田中恒成のフィジカルデータ

田中選手は現在21歳(執筆時)。身長は、164.1cm。19歳の時点で、162cmという報道がされている。したがって、この2年間で、2cm程度身長が伸びた…ということになる(まだ少し、伸びるかもしれない)。

年齢と身長をほかの軽量級の選手と比べてみよう。※身長昇順。

八重樫東 33歳 162cm
井上尚弥 23歳 163cm
田中恒成 21歳 164.1cm
----------------------------------------------------165cm
井岡一翔 27歳 165.6cm
田口良一 30歳 166cm
長谷川穂積 36歳 168.5cm ※引退
----------------------------------------------------170cm
山中慎介 34歳 171cm

身長は、井上尚弥井岡一翔の間になる。

田中恒成の階級

田中恒成の階級を確認しておこう。

ミニマム級:
ライトフライ級: 田口良一、八重樫東(ミニマム、フライ制覇)、田中恒成(ミニマム制覇)
フライ級: 井岡一翔(ミニマム、ライトフライ制覇) ※50kg前後
スーパーフライ級: 井上尚弥(ライトフライ制覇)
バンタム級: 山中慎介
スーパーバンタム級: 長谷川穂積(バンタム、フェザー制覇) ※55kg前後
フェザー級:
スーパーフェザー級:
ライト級: ※60kg前後

現在はライトフライ級だが、今後上げていくことになる。

田中恒成は最速で出世している

田中恒成の出世のスピードがかなり早い。

※高校3年のプロデビュー戦は、世界6位の相手に完勝だった。

アマ時代の実績こそ高校4冠と井上尚弥(7冠)に1歩譲るが、プロ入り後の実績はほぼ互角だ。プロ5戦目での世界王座獲得は、井上の6戦目より早く、二階級制覇はどちらも8戦目で同じだ(8戦目は日本最速記録)。

世界王座獲得については、井岡はプロ7戦目、山中と八重樫はプロ17戦目、田口はプロ24戦目。プロ5戦目がいかに早いか、よくわかるだろう。また、二階級制覇については、井上と同じ8戦目だが、年齢でいえば、井上を上回るスピード(井上より2か月早い)で達成している

これらのことから、最速で出世していることがわかる。

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逆算してスケジュールを組む

田中恒成の場合は、逆算して対戦スケジュールを組んでいるようだ。

畑中会長が、何戦目でどのレベル…と決めてスケジュールを組んでいるようだ。だから、5戦目で世界王座獲得、8戦目で二階級制覇という偉業を成し遂げることができたのだろう。

この逆算方式というのは、短い時間で大きな成果を得るために有効な手段だ。だが、理想優先で現実を無視した無理なスケジュールになったり、気持ちばかり焦って合理性を失ったり…ということがあり、結果を求めすぎて失敗する、というリスクもある。

だが田中恒成の場合は、能力が高いことと井上尚弥というお手本があったため、畑中会長が「逆算でいける」と判断したのだろう。そして、その判断は正解だった…ということになる。

※畑中会長が出世のスピードを求めるのは、名古屋のジムだから…ということもありそうだ。田中恒成知名度を高めるためのマーケティング戦略だ。

田中恒成は強い相手と戦っている

田中恒成は今回、強い選手と二階級制覇をかけて戦った。

今のボクシングは、防衛を何回する…ということよりも、どんな選手と戦うのか…ということの方が重要だ穴王者を狙ってタイトルを獲得しても、それほど評価されない。

王者になったあと、強い相手を避けて自分より格下の選手とばかり戦っていると、ファンにソッポを向かれてしまうだろう。逆に負けても、田口選手(井上尚弥に負け)、八重樫選手(ロマゴンに負け)のように、強い選手にチャレンジすれば、そのスピリットが評価されることになる。

今回、田中が強い選手と戦ったことは、高く評価できると思う。

モイセス・フェンテス戦(二階級制覇)

今回の相手は、モイセス・フェンテス(31)。二階級制覇の元王者だ。

最終ラウンドとなった5回。田中はフエンテスをロープに押し込んで連打し、右を打ち込むとメキシカンはヒザが折れてダウン寸前。田中の更なる連打で崩れ落ちると、レフェリーはフェンテスを抱き抱え、即試合をストップした
出典:田中恒成8戦目で2階級制覇、フエンテスを5回TKO

田中恒成のベストファイトになった。

王座を返上したニエテスよりは落ちるが、かなり骨のある相手だ(ニエテスが王座を返上したため、王座決定戦となった)。戦前の予想では、田中恒成は苦戦するのではないか、負けるかもしれない…という予想が結構あった。だがふたを開けてみると、田中は5回1分52秒TKOで勝利した。難敵相手に圧勝した…ということになる。戦績は8戦8勝(5KO)。

田中恒成の強み

田中恒成の強みは、どこにあるのだろうか。

井上尚弥の左フックには、バリエーションがある。
いきなり打つこともあるし、バックステップで誘ってから打つこともある。また、右を意識させて打つこともある。相手のパンチをスウェーでかわしてから、そのためを利用してカウンター気味に放つ左フックもある。バリエーションが豊富であるため、相手は対応がむずかしくなるのだ
出典:井上尚弥の強さの秘密|「ボクシングの井上」になる理由

井上同様、左フックがいいな…と感じた。

フェンテス戦でも、フェンテスの右に合わせるようなカウンターの左を当てている。いきなりの左フックも、なかなかのものだ。ボディーフック&アッパーも上手い。さらに、左のストレート系のパンチもいい。スピードがあり、上下の打ち分けも自在にできる。

今回私が「!」と思ったのは、横にズレる動きだ。田中には横にズレて攻撃を仕掛ける、というロマチェンコばりのユニークなパターンがある。

この動きを入れると、動きが複雑になり相手は対応がむずかしくなる(カウンターによる被弾も防ぐことができる)。この動きを磨けば、大変な武器になると思う。

田中恒成は総合力が高い

もちろん、田中のボクサーとしての総合的な能力はかなり高い。

長谷川穂積が、ボクシングで大事なものは、「パンチ力」「スピード」「テクニック」「冷静さ」「勇気」の5つだ…とし、井上尚弥はすべてにおいて9点(10点満点)のレベルにある…としているが、田中恒成もそれに近いレベルにある。

田中恒成の次戦と今後

田中恒成の次戦と今後は、どうなるのだろうか。

畑中会長は、防衛戦をはさんで、ビッグマッチを狙っているようだ(次戦は春になりそうだ)。現在、ライトフライ級には、 田口良一、八重樫東という日本人王者が君臨している。

注:執筆当時の情報。八重樫は失冠している。

田中自身は、彼らと勝負したい…という気持ちを持っているようだ。もし、田中が田口と戦えば、井上 vs. 田口、八重樫と戦えば、井岡 vs. 八重樫…に準じるような形になり、田中が勝つのではないか…とみる。田中恒成には、それぐらいの力があるのだ。

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二階級制覇は目指すところではない

田中は、国内最速タイや二階級制覇は目指すところではない…という発言をしている。

5階級制覇もかかげているようだが、それにしても本当の意味で目指すところではないようだ。強い相手と戦っていれば、自然に結果はついてくる…ということだろうか。

順調にいけば、田中はノニト・ドネアクラスの選手になるかもしれない(世界的な名選手になる可能性がある)。そのためには、マッチメークも重要だ。現在まで、畑中会長がチャレンジする気持ちを持って、上手にマッチメークしていると思う。なので、今後も期待できるだろう。

まとめ

田中恒成は、すごい可能性を持つ選手だと思う。

現在は、実力に知名度がついてきていない…という状態だが、今年中に(そのギャップは)修正されるだろう。※冒頭のアップデート部でも書いたが、田中恒成は、井上尚弥のアメリカデビューの3日後に、全国放送デビューを果たした。放送の最高視聴率は、2ケタに乗ったそうだ。

田口選手との統一戦の前に、速くて硬いパンチを持つパランポン相手に激戦を演じ、ダメージを負ってしまったが、そうなったことは仕方がない。半年ぐらいかけてダメージを抜いてほしい。そして、打たれずに打つボクシングを取り戻してほしい。ここは「急がば回れ」の局面だろう。

今回の記事:「田中恒成がすごい|ボクシング界にもう1人怪物がいた」