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無駄なプライドは捨てた方がいいんじゃない?

田中恒成がすごい|ボクシング界にもう1人怪物がいた

時事書評・スポーツ

田中恒成というボクシングの選手をご存じだろうか。

年末に多くの試合が組まれたが、その中でも収穫だったのが田中恒成選手の試合だ。

彼は注目度では(現在のところ)「地方のスター選手」という扱いで、井上尚弥選手のように全国区のスターという扱いではない。だが、この試合をきっかけに、井上選手の後を追うことになるだろう。井上選手はモンスターと形容されるが、田中選手も「中京の怪物」という異名があるそうだ。だが、日本の怪物になる日も目前に迫っている。

田中恒成の実力は、間違いなく本物だ

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 目次

 田中恒成のフィジカルデータ

田中選手は現在21歳。身長は、164.1cm。19歳の時点で、162cmという報道がされている。したがって、この2年間で、2cm程度身長が伸びた…ということになる(まだ少し、伸びるかもしれない)。

年齢と身長をほかの軽量級の選手と比べてみよう。※身長昇順。

八重樫東 33歳 162cm
井上尚弥 23歳 163cm
田中恒成 21歳 164.1cm
----------------------------------------------------165cm
井岡一翔 27歳 165.6cm
田口良一 30歳 166cm
長谷川穂積 36歳 168.5cm ※引退
----------------------------------------------------170cm
山中慎介 34歳 171cm

身長は、井上尚弥井岡一翔の間になる。

 田中恒成の階級

田中恒成の階級を確認しておこう。

ミニマム級:
ライトフライ級: 田口良一、八重樫東(ミニマム、フライ制覇)、田中恒成(ミニマム制覇)
フライ級: 井岡一翔(ミニマム、ライトフライ制覇) ※50kg前後
スーパーフライ級: 井上尚弥(ライトフライ制覇)
バンタム級: 山中慎介
スーパーバンタム級: 長谷川穂積(バンタム、フェザー制覇) ※55kg前後
フェザー級:
スーパーフェザー級:
ライト級: ※60kg前後

現在はライトフライ級だが、今後上げていくことになる。

 最速で出世している

田中恒成の出世のスピードが異常に早い。

※高校3年のプロデビュー戦は、世界6位の相手に完勝だった。

アマ時代の実績こそ高校4冠と井上尚弥(7冠)に1歩譲るが、プロ入り後の実績はほぼ互角だ。プロ5戦目での世界王座獲得は、井上の6戦目より早く、二階級制覇はどちらも8戦目で同じだ(8戦目は日本最速記録)。

世界王座獲得については、井岡はプロ7戦目、山中と八重樫はプロ17戦目、田口はプロ24戦目。プロ5戦目がいかに早いか、よくわかるだろう。また、二階級制覇については、井上と同じ8戦目だが、年齢でいえば、井上を上回るスピード(井上より2か月早い)で達成している

これらのことから、最速で出世していることがわかる。

 逆算してスケジュールを組む

田中恒成の場合は、逆算して対戦スケジュールを組んでいるようだ。

畑中会長が、何戦目でどのレベル…と決めてスケジュールを組んでいるようだ。だから、5戦目で世界王座獲得、8戦目で二階級制覇という偉業を成し遂げることができたのだろう。

この逆算方式というのは、短い時間で大きな成果を得るために有効な手段だ。だが、理想優先で現実を無視した無理なスケジュールになったり、気持ちばかり焦って合理性を失ったり…ということがあり、結果を求めすぎて失敗する、というリスクもある。

だが田中恒成の場合は、能力が高いことと井上尚弥というお手本があったため、畑中会長が「逆算でいける」と判断したのだろう。そして、その判断は正解だった…ということになる。

※畑中会長が出世のスピードを求めるのは、名古屋のジムだから…ということもありそうだ。田中の知名度を高めるためのマーケティング戦略だ。

 強い相手と戦っている

田中恒成は今回、強い選手と二階級制覇をかけて戦った。

今のボクシングは、防衛を何回する…ということよりも、どんな選手と戦うのか…ということの方が重要だ穴王者を狙ってタイトルを獲得しても、それほど評価されない。

王者になったあと、強い相手を避けて自分より格下の選手とばかり戦っていると、ファンにソッポを向かれてしまう。逆に負けても、田口(井上尚弥に負け)、八重樫(ロマゴンに負け)のように、強い選手にチャレンジすれば、そのスピリットが評価されることになる。

今回、田中が強い選手と戦ったことは、高く評価できると思う。

 モイセス・フェンテス戦(二階級制覇)

今回の相手は、モイセス・フェンテス(31)。二階級制覇の元王者だ。

最終ラウンドとなった5回。田中はフエンテスをロープに押し込んで連打し、右を打ち込むとメキシカンはヒザが折れてダウン寸前。田中の更なる連打で崩れ落ちると、レフェリーはフェンテスを抱き抱え、即試合をストップした
出典:田中恒成8戦目で2階級制覇、フエンテスを5回TKO

田中恒成のベストファイトになった。

王座を返上したニエテスよりは落ちるが、かなり骨のある相手だ(ニエテスが王座を返上したため、王座決定戦となった)。戦前の予想では、田中恒成は苦戦するのでは…、負けるかもしれない…という予想が結構あった。だがふたを開けてみると、田中は5回1分52秒TKOで勝利した。難敵相手に圧勝した…ということになる。戦績は8戦8勝(5KO)。

 田中恒成の強み

田中恒成の強みは、どこにあるのだろうか。

井上尚弥の左フックには、バリエーションがある。
いきなり打つこともあるし、バックステップで誘ってから打つこともある。また、右を意識させて打つこともある。相手のパンチをスウェーでかわしてから、そのためを利用してカウンター気味に放つ左フックもある。バリエーションが豊富であるため、相手は対応がむずかしくなるのだ
出典:井上尚弥の強さの秘密|「ボクシングの井上」になる理由

井上同様、左フックがいいな…と感じた。

フェンテス戦でも、フェンテスの右に合わせるようなカウンターの左を当てている。いきなりの左フックも、なかなかのものだ。ボディーフック&アッパーも上手い。さらに、左のストレート系のパンチもいい。スピードがあり、上下の打ち分けも自在にできる。

今回私が「おっ!」と思ったのは、横にズレる動きだ。田中には横にズレて攻撃を仕掛ける、というユニークなパターンがある。この動きを入れると、動きが複雑になり相手は対応がむずかしくなる(カウンターによる被弾も防ぐことができる)。正面からズレることになるため、田中の方もパンチの精度が落ちるが、この動きを磨けば大変な武器になると思う。

もちろん、田中のボクサーとしての総合的な能力はかなり高い。

長谷川穂積が、ボクシングで大事なものは、「パンチ力」「スピード」「テクニック」「冷静さ」「勇気」の5つだ…とし、井上尚弥はすべてにおいて9点(10点満点)のレベルにある…としているが、田中恒成もそれに近いレベルにある。

 田中恒成の次戦と今後

田中恒成の次戦と今後は、どうなるのだろうか。

畑中会長は、防衛戦をはさんで、ビッグマッチを狙っているようだ(次戦は春になりそうだ)。現在、ライトフライ級には、 田口良一、八重樫東という日本人王者が君臨している。田中自身は、彼らと勝負したい…という気持ちを持っているようだ。もし、田中が田口と戦えば、井上 vs. 田口、八重樫と戦えば、井岡 vs. 八重樫…に準じるような形になり、田中が勝つのではないか…とみる。田中恒成には、それぐらいの力があるのだ。

・二階級制覇は目指すところではない

田中は、国内最速タイや二階級制覇は目指すところではない…という発言をしている。

5階級制覇もかかげているようだが、それにしても本当の意味で目指すところではないようだ。強い相手と戦っていれば、自然に結果はついてくる…ということだろうか。

このまま順調にいけば、田中はノニト・ドネアクラスの選手になるかもしれない(世界的な名選手になる可能性がある)。そのためには、マッチメークも重要だ。現在まで、畑中会長がチャレンジする気持ちを持って、上手にマッチメークしていると思う。なので、今後も期待できるだろう。

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 まとめ

田中恒成はすごい。

現在は、実力に知名度がついてきていない…という状態だが、今年中に(そのギャップは)修正されることになるだろう。今のボクシング界には、井上尚弥田中恒成という非常にポテンシャルの高い若手選手がいる。かなり恵まれた時代だと言っていいだろう。今後の両者に大注目だ。

今回の記事:「田中恒成がすごい|ボクシング界にもう1人怪物がいた」